トピックス

2018.09.11更新

 もう20年ほど前になる。下町の借地人のおばあさんから地主から明け渡しの裁判を起こされたとの相談があった。自宅の前を駐車場にして貸していたところ契約違反だと言われたとのことで、早速受任し現地を見に行った。駐車場にしてもう10年ほど経つとのことで地主のところから丸見えの状態であるのに地主からは今回初めて文句を言われたとのことで地主の少なくとも黙示の承諾があったとも言えそうな事案であった。裁判が2回ほど進行した時、おばあさんが入院したとの連絡をいただいたのでお見舞いに行った。行ってみると病院の至る所に●●さんのお部屋はこちらですとおばあさんの名前を書いた張り紙があった。話を聞いてもどうも忘れてしまったのか要領を得た答えがない。仕方がないので、裁判所で裁判官に報告したところ、裁判官はとても困った顔になり、結局その裁判は地主側が取り下げて終了した。おばあさんは認知症だったと思われる。この事件がきっかけとなり、認知症の人の事件=成年後見事件を結構多くやってきた。今はさらにその前段階にも弁護士が関与するシステムができており、さらにその前の段階のホームロイヤーという制度も始まった。年を取るということで不当に権利が侵害されることがないよう取り組んでいきたい。

弁護士 髙畑拓

 

関連:後見についての悩み

投稿者: 東京合同法律事務所

2018.09.10更新

市橋耕太弁護士のコメントが弁護士ドットコムで紹介されました。

弁護士ドットコム:「教員に「変形労働時間制」は現状追認だ 「給特法」見直しなくして働き方改革なし」https://www.bengo4.com/c_5/n_8490/

学校の先生方の長時間労働が以前から問題になっています。

昭和46年に制定された給特法※1 の規定により、①生徒の実習、②学校行事、③職員会議、④非常災害等、の4項目以外には時間外労働を命じることができないことになっているのですが、ここには部活動や授業の準備などが含まれていません。残業代を支払わない代わりに給料月額の4%に相当する「教職調整額」を支給するという規定により、部活動の指導や教材作成にいくら時間を割いても残業代は支払われず、長時間労働の原因となっています。

文科省は、「働き方改革」として繁忙期には1日の労働時間を8時間に縛られずに決めて良いとする変形労働時間制を教員にも導入しようしています。1年中、長時間労働が生じている学校現場の実態に対して「繁忙期なのだから1日10時間働かせても良いのだ」と現状を追認するもので、過労死の危険さえあるものです。

真に教員の長時間労働を是正するには、労働時間を抑制し管理するインセンティブを失わせている給特法について正面から議論し、また、一人ひとりの教員の業務の総量を減らす方法を検討すべきです。

 

※1:法律の正式名称は「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」といいます。

投稿者: 東京合同法律事務所

2018.09.07更新

2016年の刑事訴訟法改正により、取調べの録音・録画の義務化が2019年6月までに施行されることとなりました。

しかし、その対象事件は、公判請求全事件の3%弱にすぎません。

そこで、足利事件と今市事件を取り上げ、改正法の対象事件の範囲ではなぜ問題なのかを明らかにします。

そして、全事件での可視化の実現に向けて、これからの刑事司法のあり方を一緒に考えたいと思います。

東京合同法律事務所の 弁護士 泉澤章 が、足利事件の再審弁護人としてお話します。

是非ご参加下さい。

日時:2018年9月25日(火)午後6時30分~午後8時30分(午後6時15分会場)

場所:弁護士会館2階講堂クレオ(千代田区霞が関1-1-3)

 

取調べの全件可視化を求める市民集会PDF

 

取調べの全件可視化を求める市民集会

 

投稿者: 東京合同法律事務所

2018.08.25更新

① 改正相続法の施行日は2019年7月13日まで

 本年(2018)年7月、民法(相続法)が改正されました。昨年(2017年)5月に民法(債権法)が改正されたのに続き、2年続けて民法が大きく変わることになりました。
 施行時期を見ると、改正債権法の施行が2020年4月1日であるのに対し、改正相続法の施行は2019年7月13日までの日とされており、相続法の施行まで1年を切っています。
 相続法の改正について、報道では配偶者居住権の創設が取り上げられることが多いですが、個人的に実務への影響が大きいのは遺留分の改正ではないかと思います。今回の改正で遺留分制度が大きく変わることになりました。

② これまでの遺留分制度
 これまでは、相続人が、遺留分を遺言などで遺産を取得した人から取り戻そうとするとき、不動産など遺産の一部を物として取り戻すものとされていました(物権的効果)。遺留分の請求を受ける側で金銭で支払うことを申し出ることはできましたが(価格弁償)、遺留分を請求する側で金銭による支払いを求めることはできませんでした。
 しかし、これでは権利が共有となって紛争が解決しないという問題があります。また、権利関係を複雑にしてしまうという問題もありました。
 例えば、遺留分行使の結果、兄弟で不動産を、兄の持分1億1123万分の9268万1758、妹の持分1億1123万分の1854万8242で共有するといったケースがありました。私も実際にこのような判決を取って登記を移転したことがあります。

③ 改正後の遺留分制度
 今回の改正では、遺留分の権利を金銭で請求できるものとしました(金銭債権化)。その結果、遺留分の行使として、〇〇万円を支払えという請求ができるようになります。シンプルになってよいと思いますが、今後これまでにはなかった次のような問題点も出て来ることになると思います。
 遺留分を請求する側としては、〇〇万円を払えという判決を得たとしても、相手方に現金や預金がなければ、すぐに金銭を回収することはできません。相手方の不動産等を差押えて、競売にかけるなどの手続を別途取らなければなりません。
 遺留分を請求される側としては、これまでは遺産である不動産の名義を移せばよかったところ、改正後は、そうはいかないことになります。金銭債権化により、遺産以外の自分の預金や自宅も差押えの対象となります。評価額が高いがすぐに売れないような不動産を遺言等で取得した場合、自己の財産から遺留分を支払わなければならないようなケースも出て来ると思います。

弁護士 瀬川宏貴

投稿者: 東京合同法律事務所

2018.08.21更新

① 当事務所の所在地である東京都港区の人口は、平成28年1月現在で約24万人です。うち75歳以上の人は約2万人、65歳以上だと約4万2000人であり、高齢化率は全人口中17.40パーセントに達するとされています。おおむね6人に1人が「高齢」であるということになります。少子高齢化とか、棺桶型の人口分布といった巷間叫ばれている事態は、港区も例外ではありません。
 「高齢」とくくられる人たちの中にはさまざまな生活があると思いますが、介護や社会保障費等々、高齢世代を支える若年世代の負担が大きくなる将来像を見据えると、支えられる高齢世代もまた、必然的に「老い」や「死後」をどうするか、真剣に向き合う機会が増えることになるのではないかと思います。

② こうした社会状況を背景としてか、法律の分野においても、遺言とか、成年後見とか、信託といった高齢者の財産管理や処分といった分野の重要性が高まっています。「終活」などという言葉も近年もてはやされるようになりました。
 自分のことで子や、あるいは周囲の人に迷惑をかけたくないということは、年を重ねるにつれ、誰もが痛切に感じ、想うところなのでしょう。

③ ただ、その迷惑をかけないための手立てが時に深刻な対立を死後引きおこしてしまうことも少なくありません。
 たとえば、子どもたちの行く末を案じ、よかれと考えて行った遺言や生前贈与でも、それが残された子にとっては意外であり、受け入れがたいものであると、中にはそうした遺言や生前贈与は亡父あるいは亡母の真意であったとは到底考えられないと思考する人もでてきます。
 そうすると、亡父や亡母は当時認知症に陥っていて、その遺言や生前贈与は無効であるとの紛争が起き、訴訟にまで発展することがしばしばあるのです。実務上、こうした訴訟類型はある意味一般的であり、よく起きるものと言っても過言ではありません。
 そして、こうした訴訟類型では、認知症、つまり痴呆の有無が争点になります。無効を主張する側は、亡父あるいは亡母の行動が生前いかにおかしかったかというエピソードを多数集めて主張を行い、反対に、有効を主張する側は、亡父あるいは亡母がいかに健常であったかを示すエピソードを多数集めて反論を行います。
 否応なく、老齢化での生活状況の全般が訴訟での証明主題となり、それをめぐって血を分けた親族同士が激しく争いを展開することになります。それはやはり、悲劇といってよいものでしょう。

④ この認知症ということですが、一般的には脳の器質的障害であると定義されます。
 認知症の原因疾患として最も多いアルツハイマー型では脳の萎縮・消失が、脳血管型では脳梗塞や脳出血が、レビー小体型では脳内に異常なタンパク質が溜まるという現象が生じるとされています。
 そして、こうした脳の器質的障害は、現在ではCTやMRIなどの画像で診断が可能です。3のような事案で先日脳神経外科の専門医の先生にお話を聞く機会がありましたが、アルツハイマーなどは、MRI画像をコンピュータ解析することで脳が何パーセント萎縮しているかを数値化し、3D画像化することも可能なのだそうです。
 こうした脳の記録が時々にわたって蓄積・保管されていれば、認知症をめぐる死後の紛争というのは、相当程度未然に防げるのではないかと思います。逆にいうと、こうした脳の記録がないと紛争が泥沼化するといえるかもしれません。
 老いを自覚し、かつそれを記録化することは辛いことだとは思いますが、次世代に無用の紛争を起こさず、禍根を残さないためには、老いを自覚したら脳ドックなどで自分の脳を記録化しておくことが大事である。わが子の安らかな寝顔を見るにつけ、自戒を込めて痛切に感じる今日この頃です。

弁護士 鈴木眞

投稿者: 東京合同法律事務所

2018.08.02更新

1 「預託商法」業者の破綻

 2017年12月、大手「預託商法」業者であるジャパンライフ㈱が実質破たんし、2018年3月、破産開始決定がされた。報道等によれば、被害者は全国で約7000名、被害総額は約2400億円にのぼる。全国に弁護団が立ち上がり、被害救済活動が進められている。
「預託商法」については、古くは豊田商事事件、近年でも安愚楽牧場事件において、大規模な被害が生じている。

2 「預託商法」

「預託商法」は、形式的には、物を買って、これを事業者にレンタルする、物に関する契約の形をとる。
 しかし、実質は、投資リターンを得ようとする、投資契約に他ならない。契約者は、ⅰ事業者に資金を渡して、ⅱ事業者に物を買ってもらい、ⅲ事業者にその物のレンタル等の事業をしてもらい、ⅳ事業収益からリターンを得ることが、予定される。

3 「預託商法」の被害

 契約者は、事業者がまじめに仕事をしてくれることを前提に資金を委ねる。
 ところが、適当に資金を集めて消えてしまう業者、約束どおりに物を買わない業者、資金を流用する業者、契約者にうその報告を行う業者が、後を絶たない。長年働いた蓄えを失う人、老後の生活資金を失う人を、多く生み出すことになる。

4 現在の特定商品預託法による規制では不十分 

 現行の特定商品預託法では、投資者は、資金を出すときに、契約内容等が書かれた書面とともに重要な事項を告げられ、事業者が事業を始めた後は、求めれば業務や財産状況についての書類を見せてもらえる。また、消費者庁も行政処分権限を持っている。しかし、極めて不十分であり、現にジャパンライフ㈱の被害も防げなかった。

5 投資の実質を踏まえた実効ある規制が求められる

「預託商法」においても、いいかげんな事業者が資金集めをすることをしっかり防いでもらう必要があるし、事業者がきちんとまじめに仕事を続けてもらえるよう規制を整える必要がある。 日本弁護士連合会は、2018年7月12日付で、「いわゆる『預託商法』につき抜本的な法制度の見直しを求める意見書」※ を公表した。
 意見書は、①「預託商法」を投資取引の規制法である金融商品取引法により規制すること、及び、②現行の金融商品取引法を拡充し、事業者がきちんと仕事をすることなどの義務付け、自主規制団体によるモニタリングや行政による監督等を求める。投資者保護の観点から、重要な提言となっている。
 今後、関係機関において検討が進められ、早期にメリハリのある規制が実現されることが期待される。

https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2018/opinion_180712.pdf

弁護士 坂勇一郎(日弁連消費者問題対策委員会の一員として意見書の議論に参加しました。)

投稿者: 東京合同法律事務所

2018.07.31更新

8月4日と25日の土曜日午後1時から4時までの間、無料電話相談を実施いたします。
相続にまつわるあんな事やこんな事など、ちょっとした疑問をこの際聞いてみませんか?
相談時間は、お一人様20分程度を目安に、ご相談に応じます。
どうぞお気軽にご利用ください。

【電話番号】

03-5545-5175

※上記電話番号は8月4日および25日の期間中のみお掛けいただける臨時の電話回線となります。
※通話料はご負担下さい。
※混雑で電話が繋がりにくくなる場合があります。その場合は、しばらくしてからお掛け直し下さい。
※同じ内容で複数回のご利用はご遠慮下さい。

投稿者: 東京合同法律事務所

2018.07.13更新

東京都港区にあります、東京合同法律事務所の、弁護士久保田明人です。当事務所が支援協力するみなと・9条の会では、戦争法廃止!みなと総がかり行動実行委員会と共催で、6月30日(土)に、港区にある田町交通ビルで、第34回集会「安倍9条改憲STOP!集会“戦前にはさせない”〜平和憲法を投げ捨てる『自衛隊明記』〜」を開催いたしました。130名の方にご参加いただきました。

 

集会では、自衛隊の実態を長年取材されてきた半田滋さん(東京新聞論説兼編集委員)に『憲法に自衛隊を書き込むとどうなるの?』と題した講演をしていただきました。

昨年5月に安倍首相が「憲法9条1項2項を残し、自衛隊を明記する」という憲法改正案を提起し、現在、この案に沿った具体的な条文案が自民党内で作られようとしています。安倍首相は、「自衛隊を憲法に明記しても、従来の解釈は変わらない」と再三述べて、「自衛隊明記」改憲によって平和憲法が崩されるのではないかという市民の不安をぬぐおうとしています。たしかに、現行の9条がそのまま残るのであれば、これまでの平和憲法の解釈・運用はそのまま活かされるはずだとも思ってしまいます。しかし、実際には、現行の9条を残しても自衛隊を明記することで、現行の9条は空文化し、平和憲法の解釈・運用は変えられてしまうことになります。ただ、なぜ、現行の9条を変えないのに自衛隊を明記するだけで従来の解釈・運用が変わることになるのかは、自衛隊の実態や憲法の解釈を理解していなければなかなかわかりづらいものです。

半田さんには、自衛隊を憲法に明記した場合に実際にどう変わるのかについて、自衛隊の実態を通してわかりやすくお話しいただきました。

 

また集会では、原爆で心も体も壊された女性たちを描いた舞台『その頰、熱線に焼かれ』を今夏開催する女性7人による演劇ユニット“On7(オンナナ)”の皆さんに、原爆の被害を描いた紙芝居の朗読をしていただきました。

今夏の公演につきましてもぜひご鑑賞ください。

公演の詳細につきましては以下の“On7”ホームページをご覧ください。

http://onnana.com/arc_5.php

 当事務所では、引き続きみなと・9条の会とともに平和憲法を守る取り組みをして行きます。

投稿者: 東京合同法律事務所

2018.07.10更新

この間、ファーストサーバ(株)で発生した障害により、当事務所のメール送受信ができなくなるという障害が発生しておりました。

ファーストサーバ(株)によると現在復旧し経過観察中であるとのことですが、当事務所所員宛にメール送信されたりHPのメール申込フォームからお申し込みいただいた際に返信がなされていない場合には、念のため電話によるご連絡もいただけますようお願い申し上げます。

ファーストサーバ(株)からのお知らせ
https://www.firstserver.co.jp/news/2018/2018070901.html

投稿者: 東京合同法律事務所

2018.07.06更新

「できることがあるのか?」

 当事務所で扱った事件についてご紹介します。
 債権者申立による破産手続き中、民事再生への変更が認められ、再生計画の認可に至った、という画期的かつ非常にまれなケースです。

 その会社(A社)は、貸金返還訴訟、仮差押え、会社分割無効訴訟を提起され、弁護士を依頼して防戦していたものの、債権者から破産まで申し立てられ、そこでも劣勢な状態。果たして今からできることがあるのか?と悩みましたが「どうせ破産なら先生方にお願いして納得して終えたい」という社長からのお言葉に一同奮い立ち、受任に至りました。

「旧経営陣の陰謀?」

 この一連の貸金返還請求や破産申立の背後には、この会社の元社長の影が色濃く存在していると思われました。本来A社は取引先のしっかりした利益率の高い会社ですが、旧経営陣時代の不透明な会計処理の結果、多額の負債にあえいでいました。旧経営陣から新経営陣へ交代がなされ、それらの負債を返済しながら会社を建て直していこうとしていた矢先、当の負債を作った元社長につながる債権者から破産を申し立てられたのです。

 この争いの本質は、不透明な会計処理のためにA社を追われた元社長が、何の反省もなく、自らの経営時代に負ったA社の巨額債務を根拠に、債権者を巻き込んで新経営陣に対し理不尽な破産をしかけてきたもの。
 これからA社を健全な会社にして行きたいという新経営陣の真面目で誠実な姿勢に感銘を受け、正義はこちらにある、という確信のもと、何とか会社を存続させ、この方々に取り戻したい、との思いで始まった本件ですが、A社の内外事情を知り尽くし資料も豊富な旧経営陣からの矢継ぎ早な攻撃に、苦しい闘いを余儀なくされました。

「万事休す?」

 我々は攻防を尽くしましたが、受任から2か月ほどで破産決定が出されてしまい、すぐに抗告。抗告審では、こちらの主張が相当程度認められ、元社長の主張する債務の成否や破産申立の意図につき問題が指摘されたものの、結論では破産を認めるものでした。最高裁まで争いましたが、結果は変わらず、破産手続きが進められることになりました。

 まさに万事休す。ただ、新経営陣も私たちも、このような理不尽な結果をこのままにしてはおけません。一か八か、破産手続きから民事再生手続きへの変更を申し立てたのです。
 民事再生手続きが開始されるには、債権者の過半数の了承を取り付けて再生計画が認可される見通しが必要です。そもそも大口債権者から破産を申し立てられ破産決定がなされている状態で、債権者の多数が民事再生に賛成することは考えられず、破産から民事再生に移行することは非常にまれです。しかも、本件では、破産申立の段階で元社長が関与する大口債権者と激しく対立していたことから、民事再生の開始決定を得ることはほぼ不可能に思われました。

「時機に適い人に恵まれる」

 しかし、破産決定後も新経営陣に共感いただいた多くの取引先とは取引が継続され、破産財団に利益を計上し続けた実績があり、民事再生による建て直しが十分に可能であると実証できていたことや、こちらに有利な認定を得た破産の抗告審の事実認定を最大限に活用し、旧経営陣の問題点や新経営陣の信頼性をアピールできる時間的余裕にも恵まれ、裁判所を始めとする関係諸機関にも、本件の本質を正しく理解いただいた結果、裁判所から管理型(管財人が会社を管理)民事再生手続きを開始する旨の決定を得ることができました。
 そして、管財人団のもと、最終的には議決権数の90パーセント以上が賛成するという圧倒的な大差で、破産決定から2年弱の時を経て、民事再生計画が認可されました。
 配当(弁済)実施後、再生手続が終結され、ついにA社は何の制約もない普通の会社に戻ることができました。破産決定が出されてから、実に2年の長い闘いでした。このようなケースは、案件を多数扱う東京地裁でも例がないとのことです。

 ここまでの道のりは、優勢と劣勢、攻撃と守備が目まぐるしく入れ替わるたいへんスリリングなものでした。何度ももうダメかと思いましたが、その都度、時機に適い人に恵まれ、良い方向を選択し続けて来た結果、大成功を収めたのだと思います。
 今、A社は新経営陣のもと、新たな一歩を踏み出すことになりました。たいへんな事件でしたが、結果として、旧経営陣の残した過去の負債を一気に清算し、分散していた株式も1つにまとまり、素晴らしい会社に生まれ変わりました。
 ここまで来られたのも、私どもと新経営陣が心を一つにして粘り強く闘い抜いたからと喜んでいます。この貴重な経験を活かし、今後も苦境に立つ多くの会社のお役に立ちたいと思います(担当弁護士は、加納、泉澤、鈴木、洪、上原、市橋の6名です。)。

弁護士 加納小百合

 【関連:企業法務に関するお悩み

投稿者: 東京合同法律事務所

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