トピックス

2022.05.23更新

弁護士 前川雄司

 2006年6月3日にシンドラー社製エレベーター事故で高校生が亡くなってから16年となります。
民事裁判の和解と覚書に基づき2018年から港区と赤とんぼの会の共催としてスタートした「港区安全の日」の講演会は、新型コロナウイルス感染予防のため、2020年と2021年は中止となりました。
今年は、新型コロナウイルス感染予防策をとりながら6月3日の「港区安全の日」の講演会、「活動報告と献花室」が開催されます。
 安全な社会づくりをめざす貴重な取り組みですので、ご参加いただければ幸いです。

【広報みなと 2022年5月11日号】6月3日は「港区安全の日」です(https://mykoho.jp/article/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E6%B8%AF%E5%8C%BA/%E5%BA%83%E5%A0%B1%E3%81%BF%E3%81%AA%E3%81%A8-2022%E5%B9%B45%E6%9C%8811%E6%97%A5%E5%8F%B7/6%E6%9C%883%E6%97%A5%E3%81%AF%E3%80%8C%E6%B8%AF%E5%8C%BA%E5%AE%89%E5%85%A8%E3%81%AE%E6%97%A5%E3%80%8D%E3%81%A7%E3%81%99-2/)

 6・3安全の日お知らせ

↑PDFはこちら

【関連記事】シンドラー社製エレベータ事故

投稿者: 東京合同法律事務所

2022.01.28更新

 2019年2月15日、日立ビルシステムの社員として神戸市にあるエレベーターの定期検査業務に従事していた春名義幸氏(事故当時48歳)が昇降路内で作業中、共同作業者がエレベーターのかごを上昇させる運転を行ったため、下降してきた釣合おもりと昇降路構造物との間に頭部を挟まれて死亡する事故が起きました。
 この事故について、春名義幸氏の遺族4名が原告となり、本年1月27日、株式会社日立ビルシステム及び共同作業者に対して、安全配慮義務違反及び不法行為を理由に損害賠償を求める訴えを神戸地方裁判所に起こしました。
 記者会見では、遺族である原告の方々が提訴に至った思いを語り、弁護団から訴訟の概要とエレベーター保守点検員の事故が起こり続けていることを説明しました。
 メディアでも報じていただいていますので、ぜひご覧ください。

【Yahooニュース】神戸市兵庫区のエレベーター死亡事故 遺族が損害賠償を求め提訴/兵庫県(https://news.yahoo.co.jp/articles/47a0b22a893ac1f2bd29fbd1568387984917f8ba)

【読売新聞オンライン】エレベーター点検中に事故、作業員遺族が提訴…会社に賠償請求(https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20220128-OYO1T50011/)

【神戸新聞NEXT】エレベーター点検中に死亡事故 遺族が損害賠償求め提訴 神戸地裁(https://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/202201/0015016273.shtml)

 弁護団は兵庫県の安原浩弁護士、当事務所OBの樋谷賢一弁護士と当事務所の山﨑大志弁護士前川雄司弁護士です。

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.03.05更新

 3月4日、NHK番組「おはよう日本」の特集「HPVワクチンはいま」において、ワクチン接種にはリスクがないかのように視聴者に受け取られる一方的な内容の放送が行われました。

 番組では、ワクチン接種のリスクとメリットを判断することが大切であるとの意見を紹介しながら、本ワクチンの有効性に限界があることを示すデータや、検診という有効で安全な予防手段があることなどには一切触れていません。副反応の症状について「失神など」「頭痛、倦怠感など」としか伝えず、ワクチン接種との因果関係は証明されていないとい被告国の一方的な見解だけを紹介しています。 
 そして、その厚労省ですら、一部の患者についてはHPVワクチンとの因果関係を否定できないとしていることや、現在も積極的な接種勧奨の中止を継続しているという明らかな事実すら伝えておらず、被害者側への取材も一切なされていません。
 HPVワクチンの副反応は、多様かつ多数の症状が一人の患者に重層的に現れる特徴を有することが報告されています。治療法は確立しておらず、被害者の多くが現在も症状に苦しみ、進学や就職の大きな障害となっています。

 今回の番組は、事実報道という観点からも、また放送の公平性・中立性の観点からも、きわめて問題があると言わざるを得ません。HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団は、「おはよう日本」において、原告・被害者に対する取材に基づき、原告・被害者が置かれている厳しい現状と、その意見を十分に伝える特集をあらためて放映することを求めてNHKへ面談を要請しています。
 原告の被害者たちは、自分たちの被害があたかもないものであるかのようにされたまま、接種が拡大されることによって、自分たちと同じ被害者がまた増えてしまうことを強く危惧しています。
 みなさまも、HPVワクチン被害の深刻な実態を知っていただき、原告団弁護団と一緒に声を上げて頂ければと思います。

弁護士 水口 瑛葉

【HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団】NHKが被害者に取材しないまま一方的報道を行ったことに抗議し、面談を要請しましたhttps://www.hpv-yakugai.net/2021/03/04/nhk/

さまざまな症状がいくつも発症する副反応症状があらわれます。

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.01.07更新

当事務所の横山雅弁護士が今市事件について解説した寄稿文が『冤罪白書2020 Vol.2』で掲載されました。
昨年、全国で争われてきた冤罪裁判に取り組む弁護士がその概要や判決の問題点を網羅した内容で、事件の全体像が分かりやすくまとまっています。
横山弁護士執筆の部分は↓のPDFからお読み下さい。
【PDF】今市事件―冤罪白書2020 Vol.2―

【リンク】『冤罪白書2020』発売決定!!(https://santoshuppan.blogspot.com/2020/12/2020.html)
燦燈出版株式会社は2018年4月に設立した「冤罪白書」を発行している出版社です。『冤罪白書2020』では、2020年に再審無罪判決が確定した「湖東記念病院事件」を巻頭特集のトップに、再審事件だけでなく通常審で無罪が主張されている注目事件も取り上げ、創刊号「冤罪白書2019」をさらにアップデートした内容です。発行は2019年12月31日です。

冤罪白書2020

投稿者: 東京合同法律事務所

2020.10.24更新

先日お知らせしました今市事件シンポジウムが本日開催され、50人以上の参加者が集まり盛況のうちに閉会しました。当事務所の泉澤章弁護士がコーディーネーターを務め、横山雅弁護士が事件の概要と経過を報告しています。

シンポジウムの記録映像が↓のYOUTUBEよりご覧頂けます。

【YOUTUBEリンク】https://www.youtube.com/watch?v=tVLzrBFUAxE&feature=youtu.be

ぜひ多くの皆さまにご視聴頂き、今後とも今市事件をご支援頂ければと存じます。

 シンポジウム会場の様子

【関連記事】【10/24(土)】シンポジウム・今市事件は終わっていない 開催のお知らせ【えん罪事件】https://www.tokyo-godo.com/blog/2020/10/1024-755253.html

 

 

 

投稿者: 東京合同法律事務所

2020.05.26更新

 今年5月21日、弁護士と法学者662名が告発人となって、例年4月に行われている「桜を見る会」の前夜祭において、政治資金規正法と公職選挙法に違反する行為が行われた疑いがあるとして、安倍首相と後援会幹部2人を、東京地検特捜部に刑事告発しました。
 今回東京地検に提出された662名分の告発状は、当事務所の泉澤章弁護士らが中心となって立ち上げた「『桜を見る会』を追求する法律家の会」の呼びかけで、短期間の間に集まったものです。これほど多くの弁護士や学者が現職の総理大臣を刑事告発するのは、前代未聞のことです。今回はこの刑事告発について、そのポイントを解説します。

1.政治資金規正法違反
 告発事実の一つは、安倍首相の後援会が、前夜祭の主催者として、ホテルとの間で前夜祭を開催する契約を結び、後援会員から参加費を集めてホテルに支払っているにもかかわらず、その収支を、政治資金規正法において提出が求められている収支報告書に記載しなかったことです(政治資金規正法25条1項2号違反)。
 この点について安倍首相は、国会答弁で、前夜祭を開催するための契約は、個々の参加者とホテルとの間で結ばれたのであって、参加費も個々の参加者がそれぞれ支払っているのだから、後援会は一切関与しておらず、それゆえ収支報告書に記載がなくても違法ではない、と言っています。
 しかし、前夜祭の内容や金額の設定など、事前の準備はすべて安倍事務所(後援会)が行っています。参加者は、主催者である後援会から指示されるまま、5000円を受付で支払っただけで、会場の予約はもちろんのこと、宴会の内容や金額の設定にも、まったく関与していません。そのような参加者が、「ホテルとの間で契約を結んだ主体だ」などと言い張るのは、法的にはもちろん、常識的にも、到底認められるはずがありません。

2.公職選挙法違反について
 もう一つの告発事実は、後援会が、前夜祭に参加した後援会員に対して、1人あたり少なくとも6000円の酒食を無償で提供したことが、公職選挙法で禁止されている「寄附」にあたるということです(公職選挙法199条の5第1項違反)。
 前夜祭が行われたホテルでは、最近開催された過去の宴会の例からも、ホテル側の説明からも、1人あたり1万1000円以下で大規模な宴会を受け付けることはありませんでした。ところが、今回の前夜祭では、1人あたり5000円で行われたことになっています。これが事実だとしたら、差額の6000円は、主催者であり契約当事者である後援会が補ったのか、それともホテル側が特別に値引きしていたかのどちらかしかありません。
 もし前者であれば、後援会が差額の6000円を後援会員に「寄附」したことになり、公選法に違反することになります。そうではなく、後者であるとしても、後援会がホテルとの間で参加者に特別に値引きする交渉を行って「利益」を与えたことになり、これもまた「寄附」にあたります。
 安倍首相は、国会答弁で、何回もホテルを使っているので、いわゆる「いちげんさん」とは違った扱いを受けたのだ、などと「弁明」しています。しかし、後援会がホテルとの交渉で「顔をきかせて」値引きさせたということですから、結局、後援会が後援会員に特別な「利益」を与えたことに変わりはなく、同じように「寄附」にあたります。

3.安倍首相の関与について
 政治資金規正法違反で直接処罰されるのは後援会の会計責任者であり、公職選挙法違反で直接処罰されるのは後援の会代表者です。ただし、この2人は安倍首相と上司と部下の関係にあり、重要な運営については安倍首相に報告や相談をして、安倍首相の判断・決定を得たうえで行動しているとしか考えられません。しかも、同じような行為を、安倍首相が政権の座について「桜を見る会」を主宰するようになった2013年4月から2019年4月に至るまで、繰り返し続けられてきたのです。さらに前述した極めて非常識な国会答弁も、安倍首相自身の考えとして述べられています。安倍首相が、政治資金規正法や公職選挙法に違反する行為をしていた後援会幹部2人と「共謀共同正犯」の関係にあることは明らかといえます。

 今回告発状を受け取った東京地検特捜部は、今後、刑事事件として捜査し、起訴するか否かを判断しなければなりません。現職の首相という行政の最高責任者と対峙することとなる検察は、厳正公正・不偏不党の原則的立場を貫くことが求められます。特に、黒川検事長の定年延長問題などで検察不信、政権不信が高まっている今日、権力者に媚びたり屈服するような態度が見受けられれば、検察に対する国民の信頼を取り戻すことなど二度とできないでしょう。東京地検が今回の告発に対してどのような判断を示すのか、ぜひ注視していただきたいと思います。

【弁護士紹介】泉澤章

【関連記事】泉澤章弁護士が取り組んでいる「「桜を見る会・前夜祭」の刑事告発」が紹介されました。

投稿者: 東京合同法律事務所

2019.01.29更新

 1月28日、練馬区の勤労福祉会館で「外環の2練馬訴訟 上告棄却抗議集会」を開き、原告や支援者の方々およそ50人が参加しました。
 昨年2月に東京高裁が事実認定をしながらも行政裁量を大きく認める不当判決を言い渡し、原告団は最高裁に上告していましたが、11月28日に最高裁第2小法廷は上告棄却の決定を言い渡しました。
 裁判所が地域住民の訴えを真摯に受け止めず、暮らしが実際に壊されてからでなければ裁判として取り上げないとしていることに、これからも抗議の声を上げていきます。

坂勇一郎弁護士の発言の様子です。
↑写真は弁護団長を勤める坂勇一郎弁護士の発言の様子です。

リンク
止めよう!外環の2http://stop-gaikan2.net/

投稿者: 東京合同法律事務所

2018.09.11更新

 もう20年ほど前になる。下町の借地人のおばあさんから地主から明け渡しの裁判を起こされたとの相談があった。自宅の前を駐車場にして貸していたところ契約違反だと言われたとのことで、早速受任し現地を見に行った。駐車場にしてもう10年ほど経つとのことで地主のところから丸見えの状態であるのに地主からは今回初めて文句を言われたとのことで地主の少なくとも黙示の承諾があったとも言えそうな事案であった。裁判が2回ほど進行した時、おばあさんが入院したとの連絡をいただいたのでお見舞いに行った。行ってみると病院の至る所に●●さんのお部屋はこちらですとおばあさんの名前を書いた張り紙があった。話を聞いてもどうも忘れてしまったのか要領を得た答えがない。仕方がないので、裁判所で裁判官に報告したところ、裁判官はとても困った顔になり、結局その裁判は地主側が取り下げて終了した。おばあさんは認知症だったと思われる。この事件がきっかけとなり、認知症の人の事件=成年後見事件を結構多くやってきた。今はさらにその前段階にも弁護士が関与するシステムができており、さらにその前の段階のホームロイヤーという制度も始まった。年を取るということで不当に権利が侵害されることがないよう取り組んでいきたい。

弁護士 髙畑拓

 

関連:後見についての悩み

投稿者: 東京合同法律事務所

2018.07.06更新

「できることがあるのか?」

 当事務所で扱った事件についてご紹介します。
 債権者申立による破産手続き中、民事再生への変更が認められ、再生計画の認可に至った、という画期的かつ非常にまれなケースです。

 その会社(A社)は、貸金返還訴訟、仮差押え、会社分割無効訴訟を提起され、弁護士を依頼して防戦していたものの、債権者から破産まで申し立てられ、そこでも劣勢な状態。果たして今からできることがあるのか?と悩みましたが「どうせ破産なら先生方にお願いして納得して終えたい」という社長からのお言葉に一同奮い立ち、受任に至りました。

「旧経営陣の陰謀?」

 この一連の貸金返還請求や破産申立の背後には、この会社の元社長の影が色濃く存在していると思われました。本来A社は取引先のしっかりした利益率の高い会社ですが、旧経営陣時代の不透明な会計処理の結果、多額の負債にあえいでいました。旧経営陣から新経営陣へ交代がなされ、それらの負債を返済しながら会社を建て直していこうとしていた矢先、当の負債を作った元社長につながる債権者から破産を申し立てられたのです。

 この争いの本質は、不透明な会計処理のためにA社を追われた元社長が、何の反省もなく、自らの経営時代に負ったA社の巨額債務を根拠に、債権者を巻き込んで新経営陣に対し理不尽な破産をしかけてきたもの。
 これからA社を健全な会社にして行きたいという新経営陣の真面目で誠実な姿勢に感銘を受け、正義はこちらにある、という確信のもと、何とか会社を存続させ、この方々に取り戻したい、との思いで始まった本件ですが、A社の内外事情を知り尽くし資料も豊富な旧経営陣からの矢継ぎ早な攻撃に、苦しい闘いを余儀なくされました。

「万事休す?」

 我々は攻防を尽くしましたが、受任から2か月ほどで破産決定が出されてしまい、すぐに抗告。抗告審では、こちらの主張が相当程度認められ、元社長の主張する債務の成否や破産申立の意図につき問題が指摘されたものの、結論では破産を認めるものでした。最高裁まで争いましたが、結果は変わらず、破産手続きが進められることになりました。

 まさに万事休す。ただ、新経営陣も私たちも、このような理不尽な結果をこのままにしてはおけません。一か八か、破産手続きから民事再生手続きへの変更を申し立てたのです。
 民事再生手続きが開始されるには、債権者の過半数の了承を取り付けて再生計画が認可される見通しが必要です。そもそも大口債権者から破産を申し立てられ破産決定がなされている状態で、債権者の多数が民事再生に賛成することは考えられず、破産から民事再生に移行することは非常にまれです。しかも、本件では、破産申立の段階で元社長が関与する大口債権者と激しく対立していたことから、民事再生の開始決定を得ることはほぼ不可能に思われました。

「時機に適い人に恵まれる」

 しかし、破産決定後も新経営陣に共感いただいた多くの取引先とは取引が継続され、破産財団に利益を計上し続けた実績があり、民事再生による建て直しが十分に可能であると実証できていたことや、こちらに有利な認定を得た破産の抗告審の事実認定を最大限に活用し、旧経営陣の問題点や新経営陣の信頼性をアピールできる時間的余裕にも恵まれ、裁判所を始めとする関係諸機関にも、本件の本質を正しく理解いただいた結果、裁判所から管理型(管財人が会社を管理)民事再生手続きを開始する旨の決定を得ることができました。
 そして、管財人団のもと、最終的には議決権数の90パーセント以上が賛成するという圧倒的な大差で、破産決定から2年弱の時を経て、民事再生計画が認可されました。
 配当(弁済)実施後、再生手続が終結され、ついにA社は何の制約もない普通の会社に戻ることができました。破産決定が出されてから、実に2年の長い闘いでした。このようなケースは、案件を多数扱う東京地裁でも例がないとのことです。

 ここまでの道のりは、優勢と劣勢、攻撃と守備が目まぐるしく入れ替わるたいへんスリリングなものでした。何度ももうダメかと思いましたが、その都度、時機に適い人に恵まれ、良い方向を選択し続けて来た結果、大成功を収めたのだと思います。
 今、A社は新経営陣のもと、新たな一歩を踏み出すことになりました。たいへんな事件でしたが、結果として、旧経営陣の残した過去の負債を一気に清算し、分散していた株式も1つにまとまり、素晴らしい会社に生まれ変わりました。
 ここまで来られたのも、私どもと新経営陣が心を一つにして粘り強く闘い抜いたからと喜んでいます。この貴重な経験を活かし、今後も苦境に立つ多くの会社のお役に立ちたいと思います(担当弁護士は、加納、泉澤、鈴木、洪、上原、市橋の6名です。)。

弁護士 加納小百合

 【関連:企業法務に関するお悩み

投稿者: 東京合同法律事務所

2018.06.06更新

2018年6月2日の毎日新聞一面に「賃金格差項目別に判断」と見出しが躍りました。

『正社員と非正規社員の待遇格差が、労働契約法が禁じる「不合理な格差」に当たるかが争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は1日、「不合理か否かの判断は賃金総額の比較のみではなく、賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきだ」との初判断を示した。そのうえで、契約社員による訴訟で5種類の手当の格差を不合理と認める一方、定年後の嘱託社員による訴訟では近く年金が支給される事情などから大半の請求を棄却した。』
『最高裁は不合理性の判断に当たり、労使交渉の経過や経営判断、定年後再雇用などの事情も考慮要素となるとの枠組みを示した。
 その上で、浜松市の物流会社「ハマキョウレックス」の契約社員が6種類の手当の格差是正を求めた訴訟では、4種類の手当の格差を不合理と認定した2審・大阪高裁判決を支持。正社員に支給される皆勤手当も「出勤者を確保する必要性は非正規社員も変わらない」として、この点の審理だけを高裁に差し戻した。
 一方、横浜市の運送会社「長沢運輸」に定年後再雇用された嘱託社員3人が「賃金減額は不当」と訴えた訴訟でも、個別の賃金項目を検討。皆勤手当と同趣旨の精勤手当の格差を不合理とし、相当額の5万~9万円を3人に支払うよう会社に命じた。一方で、基本給や大半の手当の格差については、3人は退職金を受け取り、近く年金が支給されるなどを理由に不合理性を否定。精勤手当に連動する超勤手当の再計算の審理のみを東京高裁に差し戻した。いずれの判断も裁判官4人全員一致の意見。』【毎日新聞】

 雇用形態が変容し、非正規社員が労働者の約4割を占めているといわれているなかで、「同一労働同一賃金」が重視されつつある社会の状況に対応した判断であると思われます。労働条件の差が不合理か否かの判断は賃金総額の比較のみではなく、賃金項目を個別に考慮すべきだとする判断が示されており、今後の裁判・法律実務に影響を与えるものと思われますし、同じように手当に格差を設けている企業に対して見直しを迫るものとなるでしょう。(弁護士 上原公太)

投稿者: 東京合同法律事務所

前へ

どんなに些細な事でもお気軽にご相談ください

お客様とお話をさせていただきながら、争いの中心がどこにあるのかを探り、ベストな解決方法をご提示いたします。(なお、首都圏を中心に、無料の
法律相談会も実施しております。)

  • 受付9:00~19:00 土曜10:00~16:00 03-3586-3651
    contact_tel_sp.jpg
  • 24時間受け付けております ご相談はこちら
    24時間受け付けております ご相談はこちら