トピックス

2021.04.05更新

弁護士 泉澤章

 歴代政権が各界において功績、功労があった国民をねぎらう目的で例年4月中旬に開催してきた「桜を見る会」をめぐっては、一昨年から、安倍前首相の在任中開催された同会及びその前夜祭について多くの疑惑が指摘されてきた。国費を使っての同会に安倍前首相をはじめとする自民党議員の後援会員や、詐欺商法で問題となったジャパンライフの関係者らを招待したこと、国会でその問題を追及されそうになるや招待者名簿を“破棄”してしまったこと等々、どれもこれも国民に対して到底弁明できようもない行為であった。その中でも、同会の前日に安倍前首相後援会が都内有名ホテルで開催した前夜祭については、出席者の負担分の一部を前首相側で補填し、そのことを隠蔽するため、政治資金収支報告書に記載しなかったのではないかという疑惑が持ち上がった。私たち弁護士は、そのような首相の違法行為を座視するようなことは、法の支配と民主主義の見地から許しがたいとして、昨年2月、「『桜を見る会』を追及する法律家の会」を立ち上げ、安倍前首相ら関係者を告発する運動を展開し、12月には1000通に近い告発状が東京地検特捜部に提出されるに至った。

 私たちの告発を受けて、東京地検特捜部は捜査に入り、昨年12月24日、政治資金規正法違反(不記載罪)で、当時の安倍前首相の公設秘書が略式起訴された。同日、安倍前首相は、政治資金規正法違反でも公職選挙法違反でも不起訴処分となったが、日本に限らず世界中がコロナ禍の惨状に見舞われ、様々な活動が抑制された中でも、私たち法律家の会の活動は一定の前進をみることができた。

 ここまでは、昨年マスコミにも大きく取り上げられた。世間では、この東京地検特捜部による処分によって、「桜を見る会」前夜祭をめぐる問題はすべて「終結した」と思われているかもしれない。しかし、「桜を見る会」前夜祭をめぐる問題は、これですべて終わったわけではない。

 たしかに公設秘書の略式起訴は、その人物が仕えていた安倍前首相の「政治的責任」を糺すことにつながることは間違いない。実際、安倍前首相は国会において、自らの関与について長々と弁明せざるを得なくなった。ただし、安倍前首相自身の「法的責任」について、このままでは不問に終わってしまいかねない。それでは、当初私たちが目指したような、首相の違法行為を糺し、法の支配貫徹と民主主義の回復という目的が実現しないことになる。

 そこで私たちは今年に入って議論を重ね、さらに報道記事などの分析を深めたうえで、東京地検特捜部の不起訴処分は納得できないとして、今年2月2日、審査を申し立てた。同申立ては、すでに略式処分を受けた元公設秘書についても起訴されなかった2015年分の収支報告書不記載を含めるとともに、前首相及び第一次告発時に明らかになっていた関係者、それに昨年11月にマスコミで報道された際にはじめて発覚した前首相の資金管理団体「晋和会」の関係者(12月に第二次告発をして直後不起訴処分となっていた。)らも被疑者とした。

 そうしたところ、本年3月3日、元公設秘書の起訴されなかった2015年分の不記載罪について、東京第五検察審査会は、「不起訴不当」の議決をした。

 時効が近づいた2015年分だけを早期に判断したものであるが、すでに明らかとなっている証拠資料によれば、不起訴とした検察官の裁定は「一般市民の感覚では納得できない」(同議決書2~3頁)という内容であった。一般市民感覚から法の是正を求める内容であって、「起訴相当」でなかったとはいえ、高く評価できるものといえよう。

 今後、本丸ともいえる安倍前首相の政治資金規正法及び公職選挙法違反の不起訴についての判断が出る。その結果を現段階で予測するのは難しいが、国会答弁で118回も虚偽答弁をしてきたとされる安倍前首相が、何のお咎めもなしに政治活動を続けることは到底許されない。

 日本国憲法下における法の支配と民主主義を護るため、私たちの活動はこれからも続く。

(2020年4月5日脱稿)

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.03.22更新

弁護士 荒井新二

 今年は例年にない開花である。20年前の3月、妻の逝った日も列島に早めの開花宣言が出されていた。
 闘病10年間の苦しいけれど覚悟のうえの、ある意味充実した生活の末の死であったから、焼場の煙突からゆらゆら立ちのぼる白煙を見て、妻もやっと肉体の業苦から解放されよかったと感じ、そう参列者に挨拶した。遺族として穏やかに死を迎えられた(と思っていた)。
 4月になり仕事上何かの考え事をして自宅の仕事部屋でウロウロ歩きまわっていた。その時、本当にいきなりと言う感じで、大声で私の口から妻の名前が飛び出した。妻のことをそのとき考えていたのではない。体の奥から出てきた叫びが妻の名前であった。狼狽した私は、余りのことにその場にへたり込んでしまった。
 それから数月後。港区議さんの案内で法律相談の会に個人のアパート宅に赴いた。手持ち無沙汰で小さな本棚を眺めていた。不在であったが住み主の老女(と思われる)の詩集が目に入った。私製本であったろうか。パラパラ捲ると「起承転結」という短詩があった。配偶者を亡くした後の心境と暮らし、その後の立直りが綴られていた。その時はそれまでのことであったが、以後折につけ詩が気になった。弁護士業務のなかで人の死にしばしば触れる機会が多い。遺族など関係者の生の感情の吐露に遭う。そんな時にあの詩が頭をよぎる。そういうことが何回か続くうち、そうだ、あのとき私の身体が精神に反抗し、バランスをくずしていたのだと気づいた。それから喪のことを考えることが多くなった。
 この世の中、近親者の喪失に直面し転び、悩みごとを抱く人は意外に多い。基本的にそれは宗教の問題、役割だとは思う。が自分の経験を混えて依頼者の方に「起承転結」の詩を援用しつつ喪の作業についての持論を話すと共感されることが少なからずあった。あくまで通常死等の場合であるが、読者のなにかの役に立てばと思い服喪について私の思うところを書きとどめておきたい。門外漢の無礼で勝手な振る舞いをお許し願いたい。

…死を見つめること。死と対峙すると言ったらよいか。現実に起きたことを認めること。死は圧倒的な事実の力で迫ってくる。死を否認したり軽視したりすることも人間的な反応であるが、背を向けて正対しないと強いリバウンドがある。死という重い(言い換えれば、どうしようもない)事実に圧倒されることがあっていい。自然なことだし人間的なことだ。必須の憂悶の過程と心得るべきだろう。リスク回避のためと思い、これに最低でも一年以上をかける積りでいればよい。

…承認。死を受け入れること。その人の死をわが身におさめていく、かなり長いゆっくりした孤独な道程。死を想像すること、死の前後を含め想定することは人間を他の動物から区別できる徴しとも言われる。人間界にしかない宗教もそこに源泉があるらしい。亡き人を忍び記憶のなかで一緒の時間を過ごす、そのことは愛する人の死を穏やかに受け止めることに確実につながっていく。この受容の過程である承の期間を早めに打ち切ろうとする方も少なくない。が、できるだけ焦らずゆっくりとこのリハビリの期間を慈しんで過ごすことが肝心なこと。

…起と承の期間が過ぎ傷は癒えていけば人間、放っておいても勝手に何かを始める。立ち上がり自ずから行動する。他人と交差する。2足歩行で移動することは高次な人間の本能。犬だって歩けば棒にあたる。あたれば局面が変わる。転換の方法は自己に誠実であれば様々な試みがあっていい。失敗したって、一からやり直すことがあっても、すべて自分のことで、他人様からあれこれ言われる筋合いも義理もない。昔の生活にただ戻ったと思うかもしれない。それはそれで結構なこと、そういう思念は喪の作業がうまく行った証である。が実際はただの復帰、復元ではない。死の前と後では周りの景色が確実に変わる。新しい死生観が芽生える。自己を恃む力さえあれば転は向こうからやってくる。

…結は結果、結論。起・承・転をうまくくぐり抜ければ、薄着であれ死生観を、身に纏うことになるから新しい自分になれる。喪の期間が特別な人には立派な成果をもたらすことがある。偉人伝説はかくて出来上がる。凡人である我々は劇的な成功を目指す必要なぞ無い。素焼きが透明の上薬をかけられて焼成し丈夫で美しい陶器となるように、薄着の死生観はその人を美しく見せる。昔は、生きることは死ぬことと見つけたり、とかなんとか言ったそうだ。しかし古風なサムライの高望みではなく現代ではサヨナラだけが人生だ、と軽く明るく受け止める方がいい。亡き人を心に生かし対話しながら生きる。結は喪の期間が終わってから待っているながい期間のはじまりである。

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.03.22更新

 皆さんは外国人技能実習制度をご存じでしょうか?外国人技能実習制度は、日本で技能実習にて経験した技能・技術や知識の開発途上地域などへの移転を目指し、開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に貢献する国家協力の推進を目的・趣旨として実施されています。この目的・趣旨は1993年に技能実習制度が創設されてから、終始一貫した考え方であり、技能実習法の基本理念として、第一章 総則 第3条に「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と規定されています。
 しかしながら、その実態は制度の趣旨・目的とはかけ離れたものになっています。今回の記事では、私たちが刑事弁護活動を行ったベトナム人技能実習生のAさんを例に外国人技能実習生の実態をご紹介します。

 Aさんは、2018年10月に、技能実習生として来日し、実習実施機関の水産会社で魚の養殖やコンテナへの詰み込み作業を行っていました。労働契約上の労働時間は午前8時から午後5時までで、休憩時間が1時間となっていましたが、実際には休憩時間は30分しか与えられず、長時間の労働を強いられていました。このような過酷な労働環境の中で、Aさんは2020年2月に職を辞め、東京の友人宅を転々としてウーバーイーツで生計を立てました。しかし、友人と被害者のトラブルに巻き込まれて、面識のなかった被害者をハサミで刺してしまうという傷害事件を起こし、逮捕されてしまったのです。私たちは、逮捕当時にAさんを支援していた「NPO法人日越ともいき支援会」から連絡を受け、Aさんの刑事弁護をすることになりました。

 Aさんはまったく日本語が話せないので、通訳人を連れて接見に向かいました。Aさんは被疑事実を認めましたが、被害者から襲われそうになった友人らを守るためにとっさに犯行に及んだことを強調していました。Aさんは、日本に何とかして残りたいという強い希望を持っていたため、私たちは直ちに被害者との示談交渉を行いました。最終的に、勾留延長満期日直前に示談が成立し、Aさんは不起訴処分になりました。釈放後、Aさんは、ともいき支援会の支援もあって農園に勤め、、熱心に働いており、そのまじめな性格から、日本語の習得や日本文化の受容にも積極的に努めています。

 刑事事件では、逮捕から勾留後、検察官の処分が決定されるまで長くても約3週間です。その間に、被疑者との接見を通じて事件の概要を把握し、必要があればその家族に連絡をとり、被害者との速やかな示談交渉が求められます。
 今回、私たちが非常に苦労したのは、被害者の人との連絡をとるのに時間がかかったということです。通常、弁護人は事件を担当する検察官を通して被害者に接触を図ります。しかし、今回は被害者もベトナム人で、日本語でのコミュニケーションが困難であったという事情もあり、検察官もなかなか被害者との連絡がつかない状態で、限られた時間の中で示談交渉を進めなければなりませんでした。

 本件は、刑事事件としては知人同士のトラブルが傷害事件に発展したものですが、背景には外国人技能実習生の問題が深く関係していました。Aさんも派遣先で長時間の重労働を課されていました。
 技能実習制度の問題は、実習生が不当に扱われた場合にその問題が表面化しにくいという点も特徴的です。表面化しにくい理由は、実習生の立場が圧倒的に弱いことにあります。技能実習制度は在留資格と深く結びついており、実習先とトラブルを起こすと祖国に帰らざるを得なくなることが少なくありません。日本で技能実習をするために祖国から来ている実習生や、祖国の家族に仕送りをしている実習生など、実習を継続するため実習先の違法行為について訴えることができないケースが多いため、違法行為が表面化しにくいのです。
 今回のAさんは、支援団体に辿り着き適切な支援を受けることができましたが、実習生の中には、パワハラやセクハラ、経済搾取といった実習先でのトラブルや、実習先から逃げ出してきた先でトラブルに巻き込まれ刑事事件に発展するケースが多くあります。
 当事務所では、このような外国人技能実習生問題の背景も考慮しながら、刑事事件だけでなく、トラブルに巻き込まれた技能実習生の再出発を目標に事件解決に取り組んでまいります。

弁護士 小河洋介
弁護士 油原麻帆

【リンク】NPO法人日越ともいき⽀援会 (nv-tomoiki.or.jp)

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.01.21更新

弁護士 山﨑大志

「弁護士にこんな些細なことを相談してよいのでしょうか?」
 相談を受けていると、このようなことをおっしゃる方がいらっしゃいます。
 回答としては、全く問題ありません。どんどん相談してください。
「こんな些細なことか」どうかは、弁護士に相談してみないと分かりません。もしかしたら、「こんな些細なこと」だと思っていたことが、相談せずに放っておいたら、一刻を争う大問題に発展してしまうおそれもあります。そのようなことにならないように、悩みがありましたら、早めに相談した方が良いです。
 もちろん、何の問題もないことかもしれません。その場合も、弁護士に相談してみたら、何の問題もないことが分かって安心できるので、相談した方が良いです。
 そもそも悩んでいらっしゃることが、「弁護士に相談すべき内容か」どうかについても、弁護士に相談してみないと分からないのです。そのような悩みを持った時点で、弁護士に相談すべきです。
 みなさまは、体調が優れないときには、医者に診てもらうことがあると思います。大した病気ではないかもしれませんが、医者に診てもらったら、大きな病気かもしれません。
 体調が悪ければ、医者に診てもらうように、お困りごとがありましたら、お気軽に弁護士にご相談ください。

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.01.05更新

1 名誉毀損に関する事件というのは古くからあったわけですが、昔は、本や雑誌といった書籍での表現が問題になることがほとんどでした。最近でも、たとえば、爆笑問題の太田光さんが、大学を裏口入学したとする週刊新潮の記事で名誉を毀損されたと主張し、新潮社を被告として民事上の損害賠償請求を行っていることがニュースになっています。

 もっとも、最近は、SNS等におけるインターネット上の表現に関する名誉毀損が問題になる案件のご相談を受けることが多くなりました。インターネット上の書き込みは、多くの人が手軽に社会に向けて発信できるツールですが、その分、だれもが被害者にも加害者にもなり得ます。

 

2 名誉毀損とは

1)要件

名誉毀損とは、刑法上は、「公然と事実を摘示し,人の名誉を毀損した者は,その事実の有無にかかわらず,3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています(刑法230条)。民法上の不法行為として認められる名誉毀損の要件も、公然性という要件が求められていない以外は、基本的に刑法上の要件と同様です。

2)事実の摘示

「名誉の毀損」というのは、人の名声や信用といった社会的評価を、事実を摘示して低下させることをいいます。

 たとえば、誰かが「〇〇という芸能人って、馬鹿っぽいよね」とだけSNSで書き込んだとしましょう。これは具体的な事実を摘示しているわけではなく、その人に対する書き込みをした人の主観的評価・感想ですので、名誉毀損の対象にはなりません。

こうした事実の摘示を伴わずに他人を侮辱する行為は、刑法上は侮辱罪(刑法231条)の問題になります。民法上も、名誉毀損とはなりませんが、事実の摘示を伴わない表現行為で人の社会的評価を低下させた場合も、不法行為が成立し、損害賠償が認められる可能性があることには注意が必要です。

3)真実であっても名誉毀損にあたりうる

また、勘違いされている方も多いのですが、名誉毀損というのは、摘示された事実が真実であっても成立する場合があります。本当のことを書いているのだからいいだろう、というものではありません。確かに、表現の自由の重要性から、公共性、公益性のある事項については、真実性が証明されるか、真実性の証明がなくともその事実を真実であると信じたことに相当の理由があると認められる場合に免責される場合もありますが、この免責の要件が満たされるハードルはそれなりに高いと思っていただいた方がよいと思います。

 皆さんが、誰かがインターネット上に書き込んだ内容を鵜呑みにして、それを前提として自身でも書き込みをしたり、誰かの情報をリツイートしたりした場合、仮にもとの書き込みが名誉毀損にあたるものであった場合には、皆さんの書き込みも名誉毀損に該当する可能性が高くなります。

 

3 名誉毀損の被害にあったときの注意事項

インターネット上の表現が名誉毀損に該当すると認められた場合、損害賠償と同時に、記事や投稿の削除を請求することが可能です。

ただし、インターネット上の投稿は匿名で行われる場合が多いので、損害賠償や記事・投稿の削除を請求するには、まずは投稿者を特定する必要があります。この投稿者の特定は、サイト管理者やプロバイダに対して、プロバイダ責任制限法にもとづいて発信者情報開示を求めなければなりません。

 しかし、この裁判所を利用した発信者情報の開示の手続きは、①まずはサイト管理者に対し発信者情報開示請求の仮処分の申立を行い、発信者に関するIPアドレス等の開示を受け、②これをもとに経由プロバイダに対して発信者情報開示請求を行い、プロバイダ契約者である発信者に関する住所や氏名等の情報の開示を受ける、という手順を踏む必要があります。

 注意が必要なのは、経由プロバイダの通信履歴は短いところですと3か月程度の保存期間となっている点です。投稿から時間が経ってしまうと、発信者の特定が不可能になってしまいますので、早めに動く必要があります。

 3か月というと、皆さんが投稿を発見する時期によっては、実際に準備に使える期間がほとんどないということもありますので、法的手続をとる可能性を少しでも考えるようでしたら、すぐにご相談いただくことをお勧めします。

弁護士 水 口 瑛 葉

投稿者: 東京合同法律事務所

2020.12.25更新

 新型コロナウイルスによって売り上げの減った会社で働く方から、社長が整理解雇を検討しようとしているという相談を受けました。
 整理解雇は通常の解雇よりも厳しく判断され、①人員削減の必要性、②解雇回避努力が尽くされたこと、③人選の合理性、④手続の相当性が必要になります。
 この②の解雇回避努力の判断に当たっては、会社がきちんと新型コロナウイルス関係の助成制度を利用し、それでもなお雇用の維持が難しい場合であるかどうかが問題になると考えられます。
 この相談では、社長に整理解雇の要件がとても厳しいことを伝え、職場の労働者で協力し合って社長と交渉したほうがいいと伝え、実際に、整理解雇の動きはなくなりました。早めに相談していただいてよかったです。
 会社から解雇の話が出たら、解雇の話が進む前に、まずはすぐに弁護士にご相談ください。
 もし解雇になった場合は、解雇予告手当は受け取らずに、まずご相談ください。

弁護士 緒方蘭

緒方弁護士はこちらの記事も書いています】
 ・新型コロナウイルスの影響で、賃金減額されたり解雇を言い渡されたりしたら?
 ・一方的な給料3割減額は認められる?-売上が減少した飲食店従業員のケース-【コロナ相談事例】

【コロナ労働問題特設ページ】

投稿者: 東京合同法律事務所

2020.12.25更新

 新型コロナウイルスにより売上げが減少した飲食店で、労働契約上の合意、就業規則の変更もなく、使用者が一方的に賃金を3割近く減額したケースについて、相談を受けました。
 賃金を減額するには、労働契約の変更をするか、就業規則の不利益変更の要件を充たす必要があります。就業規則の不利益変更には、労働者との間で変更を合意するか(労働契約法9条)、使用者が変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであることが必要です(労働契約法10条)。
 このケースでは、労働契約上の合意がなく、就業規則の不利益変更の手続も踏んでいませんでした。減額もかなり大幅ですので、争うことができる可能性が高いと回答しました。
 使用者から一方的に賃金を下げると言われた場合は、受け入れたりせずに、まずは弁護士にご相談ください。

弁護士 緒方蘭

緒方弁護士はこちらの記事も書いています】
 ・新型コロナウイルスの影響で、賃金減額されたり解雇を言い渡されたりしたら?
 ・社長が整理解雇を検討している-整理解雇が撤回されたケース-【コロナ相談事例】

【コロナ労働問題特設ページ】

投稿者: 東京合同法律事務所

2020.09.16更新

 当事務所の泉澤章弁護士らが中心となって取り組む「『桜を見る会』を追求する法律家の会』(以下「法律家の会」)は、本年9月8日、自民党総裁選に立候補した菅義偉氏、岸田文雄氏、石破茂氏の3人の候補者に対して、以下の公開質問状を送りました。

公開質問状はこちらからお読み頂けます。(自由法曹団Facebook https://www.facebook.com/pg/jlaf.jp/posts/)

質問の内容は次の5項目です。
①公的行事である「桜を見る会」に、安倍内閣が800名もの安倍晋三後援会員を招待したことに問題はなかったのか。
②マルチ商法の経営者や反社会的勢力の人物が招待されており、このような人物を招待したことに問題はなかったのか。
③招待者の規模や選定方法に問題はなかったのか。
④招待者名簿とデータの破棄に問題はないのか。ログデータの公表、名簿の再現作業を行うべきではないか。
⑤安倍首相が公開を拒否している前夜祭の明細書について、公開する必要はないとの認識か。

 国の公的行事として国民の税金を使い例年開催されてきた「桜を見る会」に、安部晋三元首相は就任以来、自身の後援会員や取り巻きを多数招待して、公的行事を私物化してきました。ところが安倍政権は、この問題が国会で取り上げられても、問題の真相を明らかにするどころか、参観者名簿を破棄して実態を隠蔽したあげく、「これ以上疑惑を解明する必要はない」との姿勢をとり続けています。「法律家の会」は、このような政権の無責任な態度を許さず、安部元首相による国政私物化を許さないため、今年5月、安部元首相と事務所関係者を、政治資金規正法及び公職選挙法で、東京地検特捜部へ刑事告発をしました。「法律家の会」の告発運動に賛同して告発状を提出した法律家は、本年9月までで、実に1000名近くにのぼっています。

 このような折り、安倍政権下における国政私物化についてどのように考え、今後新政権としてどう対応するのか、次期首相となる自民党総裁選候補者にその姿勢を問うたのが、今回の公開質問状の趣旨です。しかし、9月10日の回答期限を過ぎても、3人の各候補者からの回答は一切ありませんでした。次期政権の首班となるべく立候補した候補者が、全員このような態度をとるのであれば、安倍政権による国政私物化が、次期政権になっても受け継がれるであろうことは必至です。

 さらに、安倍晋三氏にかわって新首相に就任した菅義偉氏は、安倍政権時代に官房長官として政権運営の中核をになった政治家です。菅新政権が“安倍政治の継承”をかかげ、これまでと同じように「桜を見る会」の真正解明を拒否する姿勢をとるならば、国政私物化を許さず、民主主義を守る「法律家の会」の運動は、これからも続いてゆくことでしょう。

 

【弁護士紹介】泉澤章

【関連】「桜を見る会」前夜祭をめぐって、弁護士や法学者662人が、安倍首相と後援会関係者を刑事告発しました!

【関連】【YouTube】法律的観点から「桜を見る会」問題を追及

投稿者: 東京合同法律事務所

2020.07.21更新

◆7月14日から、「家賃支援給付金」の申請受付が始まりました。

 この「家賃支援給付金」は、資本金10億円未満の法人(医療法人など会社以外の法人も含まれます)・個人事業主(フリーランスを含みます)等を対象に支給されます。
①2020年5月~12月のいずれか1か月の売上が、2019年同月に比べ50%以上減少した場合、または、
②2020年5月~12月の間の連続する3か月間の売上合計が、2019年同期に比べ30%以上減少した場合、に支給されます。
支給額は、法人が最大600万円、個人事業主は最大300万円です。
電子申請のほか、申請サポート会場でも申請が可能です。中小企業庁HP「家賃支援給付金」で詳細をご覧になることができます。
【中小企業庁】家賃支援給付金https://yachin-shien.go.jp/

<家賃の減免を受けていた場合などでも、特例があり得ます>

 賃貸人が、新型コロナウィルスに関連して収入が減少した賃借人(テナント)に対して賃料支払いの免除や猶予をした場合、一定の要件を満たせば、減額した部分について税務上の損金として計上することができ、収入の減少として取り扱われる、などの取り扱いは今年の4月から行われていました。
 そのため、賃借人(テナント)が、賃料の支払い免除や猶予を受けていることもあると思います。
 このように賃借人(テナント)が賃料の支払い免除や猶予を受けている場合や、賃料の支払いを滞納している場合でも、賃借人(テナント)が、①「家賃支援給付金」の申請日直前1か月以内に一月分の家賃を支払っており、②支払いの免除等を確認するために必要な書類を提出して特例として認められた場合には、給付金の支給を受けることができます。

 そのほかにも、例外が認められる場合がありますので、是非、中小企業庁HPにて詳細をご確認ください。

弁護士 洪美絵

 

【緊急】コロナ関連無料相談会を実施しています。
⇒今般の新型コロナウィルスの感染拡大により発生している、解雇事案など労働問題、離婚、面会交流など家庭の問題、中小企業・個人事業主様の経営・人事にまつわる問題(労務の問題、債務の問題、賃料の問題、各種助成金申請のサポートも含みます)などコロナに関連した問題について、緊急無料相談会を実施しています。

投稿者: 東京合同法律事務所

2020.07.06更新

弁護士 樋谷賢一

1 『コロナウィルス感染を避けるため「夜の街」に行くな』という業務命令は有効か?

 新型コロナウィルスの脅威が伝えられる中、会社が従業員の休日の過ごし方やエチケットを強制しようとしているとの報道がなされています。
 しかし、会社内にコロナウィルスを持ち込まないようにするという理由で、会社が従業員に対して、休日の過ごし方や手洗い等のエチケットについて命令することは許されるのでしょうか。また、命令に違反したことを理由に、懲戒を行うことはできるのでしょうか。

(1) 業務命令に反して「夜の街」に行った社員を懲戒できるか。
 一般的に、会社の就業規則には懲戒の規定があります。多くの会社では、「業務命令に違反した」場合や「社会的に著しく不適切な行為(※刑事犯罪など)を行った」場合などを懲戒の対象にしていると思います。
 コロナウィルス感染拡大の原因の一つとして指摘されている「夜の街」ですが、もし、就業時間内に仕事をさぼって「夜の街」で遊んでいた場合は、当然懲戒の対象になるでしょう。
 しかし、一般的に、就業時間外は業務命令に服する義務がないため、もし就業時間外に「夜の街」に行ったとしても、そもそも業務命令に反したといえないでしょう。したがって、就業時間外に「夜の街」に行ったことを理由に懲戒した場合、その懲戒は無効であると考えられます。

(2)コロナウィルスに感染した社員が「夜の街」に行っていたことが判明した場合、懲戒できるか。
 コロナウィルスの感染経路は「夜の街」に限ったことではなく、通勤電車や会社のオフィスなど、どこでも起こり得ます。
 そのため、社員が「夜の街」に行ったことによってコロナウィルスに感染したことの証明が困難であり、基本的に懲戒はできないと考えられます。
 したがって、当該社員が社内にコロナウィルス感染を持ち込む強い悪意を持って、集団感染が発生している場所に敢えて意図的に行く、などという極めて特殊な事情でもない限り、懲戒解雇はできないでしょう。

(3)手洗い等のエチケットに関する業務命令は有効か。
 会社は、職場の環境などについて、安全配慮義務を負っています。したがって、コロナウィルス感染対策としてエチケットの徹底を命令することは有効であると考えられます。もっとも、懲戒にあたっては、処分の相当性も求められることから、命令に違反したことを理由に直ちに懲戒を行うことができるとは限りません。

2 医療従事者への差別的発言

 病院勤務の医療従事者が、「コロナウィルスがうつるから出歩くな」などの心ない言葉をぶつけられた、タクシーに乗車を断られた、保育園に子どもの受け入れを拒否されたなどの報道がされています。私たちの社会のために危険を伴う最前線で働いてくれている方々に対して、感謝と労いでなく職業差別的な言動がなされたことに心を痛めています。
 医療従事者に対して、「コロナウィルスがうつるからで歩くな」などと発言した場合、どのような法的問題があるのでしょうか。
 日常生活を営む権利を否定する「出歩くな」などといった発言をした場合、その趣旨や経緯にもよりますが、民法上の不法行為にあたり、損害賠償責任を問われる可能性があります。したがって、そのような発言は慎むべきでしょう。もっとも、医療現場で働いている方々の方が、自分よりもさらにコロナウィルスの恐怖を感じているかもしれないと想像してみたなら、そもそもこの様な発言はできないのではないでしょうか。
 誰しもがコロナウィルス罹患や経済的な不安を感じる中で、他の人に対して寛容になれないのは無理の無いことかもしれません。しかしながら、このような未曽有の危機のときこそ、他者を思いやり尊重することが大切だと思います。

 

【弁護士紹介】弁護士 樋谷賢一

【関連】新型コロナウィルスに伴う労働問題→こちら

【関連】当事務所から皆さまへの連帯メッセージ→こちら

投稿者: 東京合同法律事務所

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