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2021.01.05更新

1 名誉毀損に関する事件というのは古くからあったわけですが、昔は、本や雑誌といった書籍での表現が問題になることがほとんどでした。最近でも、たとえば、爆笑問題の太田光さんが、大学を裏口入学したとする週刊新潮の記事で名誉を毀損されたと主張し、新潮社を被告として民事上の損害賠償請求を行っていることがニュースになっています。

 もっとも、最近は、SNS等におけるインターネット上の表現に関する名誉毀損が問題になる案件のご相談を受けることが多くなりました。インターネット上の書き込みは、多くの人が手軽に社会に向けて発信できるツールですが、その分、だれもが被害者にも加害者にもなり得ます。

 

2 名誉毀損とは

1)要件

名誉毀損とは、刑法上は、「公然と事実を摘示し,人の名誉を毀損した者は,その事実の有無にかかわらず,3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています(刑法230条)。民法上の不法行為として認められる名誉毀損の要件も、公然性という要件が求められていない以外は、基本的に刑法上の要件と同様です。

2)事実の摘示

「名誉の毀損」というのは、人の名声や信用といった社会的評価を、事実を摘示して低下させることをいいます。

 たとえば、誰かが「〇〇という芸能人って、馬鹿っぽいよね」とだけSNSで書き込んだとしましょう。これは具体的な事実を摘示しているわけではなく、その人に対する書き込みをした人の主観的評価・感想ですので、名誉毀損の対象にはなりません。

こうした事実の摘示を伴わずに他人を侮辱する行為は、刑法上は侮辱罪(刑法231条)の問題になります。民法上も、名誉毀損とはなりませんが、事実の摘示を伴わない表現行為で人の社会的評価を低下させた場合も、不法行為が成立し、損害賠償が認められる可能性があることには注意が必要です。

3)真実であっても名誉毀損にあたりうる

また、勘違いされている方も多いのですが、名誉毀損というのは、摘示された事実が真実であっても成立する場合があります。本当のことを書いているのだからいいだろう、というものではありません。確かに、表現の自由の重要性から、公共性、公益性のある事項については、真実性が証明されるか、真実性の証明がなくともその事実を真実であると信じたことに相当の理由があると認められる場合に免責される場合もありますが、この免責の要件が満たされるハードルはそれなりに高いと思っていただいた方がよいと思います。

 皆さんが、誰かがインターネット上に書き込んだ内容を鵜呑みにして、それを前提として自身でも書き込みをしたり、誰かの情報をリツイートしたりした場合、仮にもとの書き込みが名誉毀損にあたるものであった場合には、皆さんの書き込みも名誉毀損に該当する可能性が高くなります。

 

3 名誉毀損の被害にあったときの注意事項

インターネット上の表現が名誉毀損に該当すると認められた場合、損害賠償と同時に、記事や投稿の削除を請求することが可能です。

ただし、インターネット上の投稿は匿名で行われる場合が多いので、損害賠償や記事・投稿の削除を請求するには、まずは投稿者を特定する必要があります。この投稿者の特定は、サイト管理者やプロバイダに対して、プロバイダ責任制限法にもとづいて発信者情報開示を求めなければなりません。

 しかし、この裁判所を利用した発信者情報の開示の手続きは、①まずはサイト管理者に対し発信者情報開示請求の仮処分の申立を行い、発信者に関するIPアドレス等の開示を受け、②これをもとに経由プロバイダに対して発信者情報開示請求を行い、プロバイダ契約者である発信者に関する住所や氏名等の情報の開示を受ける、という手順を踏む必要があります。

 注意が必要なのは、経由プロバイダの通信履歴は短いところですと3か月程度の保存期間となっている点です。投稿から時間が経ってしまうと、発信者の特定が不可能になってしまいますので、早めに動く必要があります。

 3か月というと、皆さんが投稿を発見する時期によっては、実際に準備に使える期間がほとんどないということもありますので、法的手続をとる可能性を少しでも考えるようでしたら、すぐにご相談いただくことをお勧めします。

弁護士 水 口 瑛 葉

投稿者: 東京合同法律事務所

2020.12.25更新

 新型コロナウイルスによって売り上げの減った会社で働く方から、社長が整理解雇を検討しようとしているという相談を受けました。
 整理解雇は通常の解雇よりも厳しく判断され、①人員削減の必要性、②解雇回避努力が尽くされたこと、③人選の合理性、④手続の相当性が必要になります。
 この②の解雇回避努力の判断に当たっては、会社がきちんと新型コロナウイルス関係の助成制度を利用し、それでもなお雇用の維持が難しい場合であるかどうかが問題になると考えられます。
 この相談では、社長に整理解雇の要件がとても厳しいことを伝え、職場の労働者で協力し合って社長と交渉したほうがいいと伝え、実際に、整理解雇の動きはなくなりました。早めに相談していただいてよかったです。
 会社から解雇の話が出たら、解雇の話が進む前に、まずはすぐに弁護士にご相談ください。
 もし解雇になった場合は、解雇予告手当は受け取らずに、まずご相談ください。

弁護士 緒方蘭

緒方弁護士はこちらの記事も書いています】
 ・新型コロナウイルスの影響で、賃金減額されたり解雇を言い渡されたりしたら?
 ・一方的な給料3割減額は認められる?-売上が減少した飲食店従業員のケース-【コロナ相談事例】

【コロナ労働問題特設ページ】

投稿者: 東京合同法律事務所

2020.12.25更新

 新型コロナウイルスにより売上げが減少した飲食店で、労働契約上の合意、就業規則の変更もなく、使用者が一方的に賃金を3割近く減額したケースについて、相談を受けました。
 賃金を減額するには、労働契約の変更をするか、就業規則の不利益変更の要件を充たす必要があります。就業規則の不利益変更には、労働者との間で変更を合意するか(労働契約法9条)、使用者が変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであることが必要です(労働契約法10条)。
 このケースでは、労働契約上の合意がなく、就業規則の不利益変更の手続も踏んでいませんでした。減額もかなり大幅ですので、争うことができる可能性が高いと回答しました。
 使用者から一方的に賃金を下げると言われた場合は、受け入れたりせずに、まずは弁護士にご相談ください。

弁護士 緒方蘭

緒方弁護士はこちらの記事も書いています】
 ・新型コロナウイルスの影響で、賃金減額されたり解雇を言い渡されたりしたら?
 ・社長が整理解雇を検討している-整理解雇が撤回されたケース-【コロナ相談事例】

【コロナ労働問題特設ページ】

投稿者: 東京合同法律事務所

2020.09.16更新

 当事務所の泉澤章弁護士らが中心となって取り組む「『桜を見る会』を追求する法律家の会』(以下「法律家の会」)は、本年9月8日、自民党総裁選に立候補した菅義偉氏、岸田文雄氏、石破茂氏の3人の候補者に対して、以下の公開質問状を送りました。

公開質問状はこちらからお読み頂けます。(自由法曹団Facebook https://www.facebook.com/pg/jlaf.jp/posts/)

質問の内容は次の5項目です。
①公的行事である「桜を見る会」に、安倍内閣が800名もの安倍晋三後援会員を招待したことに問題はなかったのか。
②マルチ商法の経営者や反社会的勢力の人物が招待されており、このような人物を招待したことに問題はなかったのか。
③招待者の規模や選定方法に問題はなかったのか。
④招待者名簿とデータの破棄に問題はないのか。ログデータの公表、名簿の再現作業を行うべきではないか。
⑤安倍首相が公開を拒否している前夜祭の明細書について、公開する必要はないとの認識か。

 国の公的行事として国民の税金を使い例年開催されてきた「桜を見る会」に、安部晋三元首相は就任以来、自身の後援会員や取り巻きを多数招待して、公的行事を私物化してきました。ところが安倍政権は、この問題が国会で取り上げられても、問題の真相を明らかにするどころか、参観者名簿を破棄して実態を隠蔽したあげく、「これ以上疑惑を解明する必要はない」との姿勢をとり続けています。「法律家の会」は、このような政権の無責任な態度を許さず、安部元首相による国政私物化を許さないため、今年5月、安部元首相と事務所関係者を、政治資金規正法及び公職選挙法で、東京地検特捜部へ刑事告発をしました。「法律家の会」の告発運動に賛同して告発状を提出した法律家は、本年9月までで、実に1000名近くにのぼっています。

 このような折り、安倍政権下における国政私物化についてどのように考え、今後新政権としてどう対応するのか、次期首相となる自民党総裁選候補者にその姿勢を問うたのが、今回の公開質問状の趣旨です。しかし、9月10日の回答期限を過ぎても、3人の各候補者からの回答は一切ありませんでした。次期政権の首班となるべく立候補した候補者が、全員このような態度をとるのであれば、安倍政権による国政私物化が、次期政権になっても受け継がれるであろうことは必至です。

 さらに、安倍晋三氏にかわって新首相に就任した菅義偉氏は、安倍政権時代に官房長官として政権運営の中核をになった政治家です。菅新政権が“安倍政治の継承”をかかげ、これまでと同じように「桜を見る会」の真正解明を拒否する姿勢をとるならば、国政私物化を許さず、民主主義を守る「法律家の会」の運動は、これからも続いてゆくことでしょう。

 

【弁護士紹介】泉澤章

【関連】「桜を見る会」前夜祭をめぐって、弁護士や法学者662人が、安倍首相と後援会関係者を刑事告発しました!

【関連】【YouTube】法律的観点から「桜を見る会」問題を追及

投稿者: 東京合同法律事務所

2020.07.21更新

◆7月14日から、「家賃支援給付金」の申請受付が始まりました。

 この「家賃支援給付金」は、資本金10億円未満の法人(医療法人など会社以外の法人も含まれます)・個人事業主(フリーランスを含みます)等を対象に支給されます。
①2020年5月~12月のいずれか1か月の売上が、2019年同月に比べ50%以上減少した場合、または、
②2020年5月~12月の間の連続する3か月間の売上合計が、2019年同期に比べ30%以上減少した場合、に支給されます。
支給額は、法人が最大600万円、個人事業主は最大300万円です。
電子申請のほか、申請サポート会場でも申請が可能です。中小企業庁HP「家賃支援給付金」で詳細をご覧になることができます。
【中小企業庁】家賃支援給付金https://yachin-shien.go.jp/

<家賃の減免を受けていた場合などでも、特例があり得ます>

 賃貸人が、新型コロナウィルスに関連して収入が減少した賃借人(テナント)に対して賃料支払いの免除や猶予をした場合、一定の要件を満たせば、減額した部分について税務上の損金として計上することができ、収入の減少として取り扱われる、などの取り扱いは今年の4月から行われていました。
 そのため、賃借人(テナント)が、賃料の支払い免除や猶予を受けていることもあると思います。
 このように賃借人(テナント)が賃料の支払い免除や猶予を受けている場合や、賃料の支払いを滞納している場合でも、賃借人(テナント)が、①「家賃支援給付金」の申請日直前1か月以内に一月分の家賃を支払っており、②支払いの免除等を確認するために必要な書類を提出して特例として認められた場合には、給付金の支給を受けることができます。

 そのほかにも、例外が認められる場合がありますので、是非、中小企業庁HPにて詳細をご確認ください。

弁護士 洪美絵

 

【緊急】コロナ関連無料相談会を実施しています。
⇒今般の新型コロナウィルスの感染拡大により発生している、解雇事案など労働問題、離婚、面会交流など家庭の問題、中小企業・個人事業主様の経営・人事にまつわる問題(労務の問題、債務の問題、賃料の問題、各種助成金申請のサポートも含みます)などコロナに関連した問題について、緊急無料相談会を実施しています。

投稿者: 東京合同法律事務所

2020.07.06更新

弁護士 樋谷賢一

1 『コロナウィルス感染を避けるため「夜の街」に行くな』という業務命令は有効か?

 新型コロナウィルスの脅威が伝えられる中、会社が従業員の休日の過ごし方やエチケットを強制しようとしているとの報道がなされています。
 しかし、会社内にコロナウィルスを持ち込まないようにするという理由で、会社が従業員に対して、休日の過ごし方や手洗い等のエチケットについて命令することは許されるのでしょうか。また、命令に違反したことを理由に、懲戒を行うことはできるのでしょうか。

(1) 業務命令に反して「夜の街」に行った社員を懲戒できるか。
 一般的に、会社の就業規則には懲戒の規定があります。多くの会社では、「業務命令に違反した」場合や「社会的に著しく不適切な行為(※刑事犯罪など)を行った」場合などを懲戒の対象にしていると思います。
 コロナウィルス感染拡大の原因の一つとして指摘されている「夜の街」ですが、もし、就業時間内に仕事をさぼって「夜の街」で遊んでいた場合は、当然懲戒の対象になるでしょう。
 しかし、一般的に、就業時間外は業務命令に服する義務がないため、もし就業時間外に「夜の街」に行ったとしても、そもそも業務命令に反したといえないでしょう。したがって、就業時間外に「夜の街」に行ったことを理由に懲戒した場合、その懲戒は無効であると考えられます。

(2)コロナウィルスに感染した社員が「夜の街」に行っていたことが判明した場合、懲戒できるか。
 コロナウィルスの感染経路は「夜の街」に限ったことではなく、通勤電車や会社のオフィスなど、どこでも起こり得ます。
 そのため、社員が「夜の街」に行ったことによってコロナウィルスに感染したことの証明が困難であり、基本的に懲戒はできないと考えられます。
 したがって、当該社員が社内にコロナウィルス感染を持ち込む強い悪意を持って、集団感染が発生している場所に敢えて意図的に行く、などという極めて特殊な事情でもない限り、懲戒解雇はできないでしょう。

(3)手洗い等のエチケットに関する業務命令は有効か。
 会社は、職場の環境などについて、安全配慮義務を負っています。したがって、コロナウィルス感染対策としてエチケットの徹底を命令することは有効であると考えられます。もっとも、懲戒にあたっては、処分の相当性も求められることから、命令に違反したことを理由に直ちに懲戒を行うことができるとは限りません。

2 医療従事者への差別的発言

 病院勤務の医療従事者が、「コロナウィルスがうつるから出歩くな」などの心ない言葉をぶつけられた、タクシーに乗車を断られた、保育園に子どもの受け入れを拒否されたなどの報道がされています。私たちの社会のために危険を伴う最前線で働いてくれている方々に対して、感謝と労いでなく職業差別的な言動がなされたことに心を痛めています。
 医療従事者に対して、「コロナウィルスがうつるからで歩くな」などと発言した場合、どのような法的問題があるのでしょうか。
 日常生活を営む権利を否定する「出歩くな」などといった発言をした場合、その趣旨や経緯にもよりますが、民法上の不法行為にあたり、損害賠償責任を問われる可能性があります。したがって、そのような発言は慎むべきでしょう。もっとも、医療現場で働いている方々の方が、自分よりもさらにコロナウィルスの恐怖を感じているかもしれないと想像してみたなら、そもそもこの様な発言はできないのではないでしょうか。
 誰しもがコロナウィルス罹患や経済的な不安を感じる中で、他の人に対して寛容になれないのは無理の無いことかもしれません。しかしながら、このような未曽有の危機のときこそ、他者を思いやり尊重することが大切だと思います。

 

【弁護士紹介】弁護士 樋谷賢一

【関連】新型コロナウィルスに伴う労働問題→こちら

【関連】当事務所から皆さまへの連帯メッセージ→こちら

投稿者: 東京合同法律事務所

2020.04.23更新

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、会社から賃金減額や解雇を言い渡されるなど、労働者の方の権利が守られない状況が続いています。

労働者が使用者に求めることができることを紹介させていただきます。

●賃金を減らすと言われた場合
賃金は、労働条件ですので、会社が労働者の合意なく一方的に減額できるものではありません。
ただし、就業規則の不利益変更が認められる場合は、賃金の変更が有効になることがあります。就業規則の不利益変更は、変更後の就業規則を労働者に周知させた上で、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況等の事情に照らして合理的なものであるときは有効となります(労働契約法10条)。
無条件で賃金減額が認められるわけではないので、賃金が減額された場合はまず弁護士にご相談ください。


●自宅待機だから賃金を払わないと言われた場合
新型コロナウイルスの感染拡大防止のために自宅待機を命じられた場合でも、会社は、最低でも賃金の6割に相当する休業手当を支払わなければなりません(労基法26条)。この規定は強行規定ですので、就業規則や労働契約で6割よりも低い金額が定められていても、会社は6割を支払う義務があります。
賃金が減額された場合は、会社に説明を求め、休んだ日に関しては最低でも休業手当6割分は支払うよう求めるべきです。
また、テレワークの場合は、働いているため、100%の賃金を請求することができます。
なお、実際に感染者が出た場合は不可抗力による休業になりますので、休業手当は支払わなくていいことになる可能性があります。

●解雇すると言われた場合
解雇をするには、客観的に合理的な理由と社会的相当性が必要になり(労働契約法16条)、解雇は厳しく制限されています。
また、経営不振など会社の都合で解雇する場合は、整理解雇にあたります。整理解雇は通常の解雇よりも厳しく判断され、①人員削減の必要性、②解雇回避努力が尽くされたこと、③人選の合理性、④手続の相当性が必要になります。
この②の解雇回避努力の判断に当たっては、会社がきちんと新型コロナウイルス関係の助成制度を利用し、それでもなお雇用の維持が難しい場合であるかどうかが問題になると考えられます。
いずれにせよ、解雇は法律で厳しく制限されていますので、解雇された場合はまず争いましょう。


新型コロナウイルスの感染拡大防止のために労働者の権利が守られていない状況を変えるためにこの記事を書きましたが、もちろん会社の経営者の方も大変だと思います。
今後、政治の分野で声を上げ、経営者への助成・手当をもっと増やしていく必要があります。
大変な時期だからこそ、自分たちや大事な人たちの権利を守るために声を上げていきましょう。                                                                                            

弁護士 緒方 蘭

緒方弁護士はこちらの記事も書いています】
 ・新型コロナウイルスの影響で、賃金減額されたり解雇を言い渡されたりしたら?
 ・社長が整理解雇を検討している-整理解雇が撤回されたケース-【コロナ相談事例】

新型コロナウィルスに伴う労働問題→こちら

当事務所から皆さまへの連帯メッセージ→こちら

投稿者: 東京合同法律事務所

2020.04.13更新

独立行政法人国民生活センターの広報誌【2020年3月号(3月16日発行)】に当事務所の坂勇一郎弁護士の記事(「生命保険の相談対応に必要な関連法規の基礎知識」)が掲載されました。
     
【記事本文がこちらからお読みいただけます。】

 生命保険はもしものときのための備えとなるものですが、将来の保障を内容とする商品であり、わかりにくいという声もよく聞きます。保険契約者が、そのひとにあった契約ができるよう、法律は様々なルールを定めています。
 広報誌の記事は、保険契約者の保護や、トラブルとなった場合の解決に役立つ法律上のルールについて、その概要をまとめたものです。
 保険について相談対応をする方だけでなく、保険について考えたい方や契約に疑問を感じている方にも、参考にしていただければと思います。

【坂弁護士の関連記事はこちら】利用者に安全・安心のキャッシュレス決済を

投稿者: 東京合同法律事務所

2020.03.12更新

わが国の法治主義をおびやかす「黒川東京高等検察庁検事長定年延長」問題について

 国民生活に多大の影響をあたえている新型コロナウィルス問題でテレビ、新聞の報道欄が埋められる中でも、決して埋もれさせてはならない問題があります。その一つが今年1月31日に内閣が閣議決定したと報じられた黒川弘務東京高等検察庁検事長の定年延長問題です。たったひとりの検察官の定年延長がなぜ大問題になるのか?

 確かに多くの国民にとってこの問題は生活に密着したものではないし、難しい法律の解釈が絡むので、敬遠したい問題かもしれません。しかしこの問題は、単に一検察官の定年を延長するのが良いか悪いかというのではなく、わが国の法治主義を根底からおびやかす危険性をはらんでいるのです。
 1947年の日本国憲法施行とともに制定された検察庁法は、検事総長は65歳、その他の検察官は63歳で定年とすると定めましたが、同じ年に制定された国家公務員法には定年の規定はありませんでした。これは、同じ国家公務員のなかでも検察官は、ときの政権にある国会議員をも訴追する強力な権限が与えられ、行政機関の一員でありつつ、公正・公平な権限行使が強く求められているということからきています。権力の恣意的な人事介入によって、権力に都合の悪い検察官を勝手にやめさせたり、逆に権力に従順な検察官に延々とトップを務めさせることを防ぐ意味があったのです。

 時代は下って1981年、さすがに一般国家公務員だけ定年規定がないのはバランスがとれないことから、国家公務員法は改正され、定年制度が設けられます。そしてこのとき、国家公務員には定年延長も例外的にありうるとの規定が設けられましたが、それは「別段の定め」があるときは除くとされていました。そしてその「別段の定め」が検察庁法であることは、当時の政府も国会で答弁していました。つまり、国家公務員法であらたに規定された定年延長制度が検察官には適用されないことは、法律の制定当時から「当然」とされていたわけです。その後今回の問題が起きるまで、検察庁法は政府答弁どおり運用され続けてきました。

 ところが、安部政権は今年になって突如、今年2月7日に定年となる黒川東京高検検事長について、半年間定年を延長すると発表しました。検察庁法が制定されて73年、国家公務員法が改訂されて39年も経って、しかも法律を国会で審議して法改正によって延長するのではなく、一内閣の勝手な「解釈」によっての変更です。これは過去の政府答弁にも反することであり、国会で野党からその点を突かれると、森雅子法務大臣は、まさに「迷走」というしかない答弁を繰り返しました。
 このような惨憺たる状況を見て、ついに現役の検事正からも「国民からの検察に対する信頼が損なわれる」という声が出る始末です。
 安倍政権が黒川東京高等検察庁検事長の定年延長にこだわる背景には、現政権に特に従順で、政治家の訴追に後ろ向きといわれる同人を、次の検事総長に据えるためだという見方があります。集団的自衛権の解釈変更問題、森友・加計問題や「桜を見る会」問題にもみられるように、国政を私物化し、法律に違反してでも、自らを取り巻く人物のみを優遇する安倍政権のいつものやり方というわけです。今回の検事長定年延長でも安倍政権は、法律を無視し、法治主義を根底から覆そうとしています。わが国の法治主義を護り、日本国憲法を破壊させないためには、この問題をこのままにしておくことは絶対にできないのです。

弁護士 泉澤章

投稿者: 東京合同法律事務所

2020.01.16更新

 建物を借りている場合、賃貸物件を修繕する義務があるのは大家(賃貸人)です(民法606条1項)。もっとも、借主(賃借人)が大家に修繕を請求しても応じてもらえないという事例があります。夏場に備え付きのエアコンが故障してしまったような場合、修繕は死活問題となります。そうすると、借主の方で修繕してその費用を大家に請求する、という方法が考えられます。
 ところが、現行の民法では、こういった場合に借主が修繕できることを明確に規定した条項がありませんでした。そのため借主の方は大家の承諾なしに修繕をすることに躊躇せざるを得ない状況がありました。

 そこで2020年4月1日施行の改正民法では、借地権の修繕権が明確に規定されました。具体的には、借主は、次の2つの場合に修繕をすることができます。

①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき

②急迫の事情があるとき(以上民法607条の2)

 雨漏りや、夏場のエアコンの故障などは②急迫の事情があるときに該当すると思います。したがって、この場合、借主は大家の承諾なくとも修繕をすることが可能であり、修繕費用を大家に請求するということが可能となります。

弁護士 瀬川宏貴

 

【関連:瀬川弁護士はこちらの記事も執筆しています】→相続法が改正されました

投稿者: 東京合同法律事務所

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