トピックス

2021.04.05更新

弁護士 泉澤章

 歴代政権が各界において功績、功労があった国民をねぎらう目的で例年4月中旬に開催してきた「桜を見る会」をめぐっては、一昨年から、安倍前首相の在任中開催された同会及びその前夜祭について多くの疑惑が指摘されてきた。国費を使っての同会に安倍前首相をはじめとする自民党議員の後援会員や、詐欺商法で問題となったジャパンライフの関係者らを招待したこと、国会でその問題を追及されそうになるや招待者名簿を“破棄”してしまったこと等々、どれもこれも国民に対して到底弁明できようもない行為であった。その中でも、同会の前日に安倍前首相後援会が都内有名ホテルで開催した前夜祭については、出席者の負担分の一部を前首相側で補填し、そのことを隠蔽するため、政治資金収支報告書に記載しなかったのではないかという疑惑が持ち上がった。私たち弁護士は、そのような首相の違法行為を座視するようなことは、法の支配と民主主義の見地から許しがたいとして、昨年2月、「『桜を見る会』を追及する法律家の会」を立ち上げ、安倍前首相ら関係者を告発する運動を展開し、12月には1000通に近い告発状が東京地検特捜部に提出されるに至った。

 私たちの告発を受けて、東京地検特捜部は捜査に入り、昨年12月24日、政治資金規正法違反(不記載罪)で、当時の安倍前首相の公設秘書が略式起訴された。同日、安倍前首相は、政治資金規正法違反でも公職選挙法違反でも不起訴処分となったが、日本に限らず世界中がコロナ禍の惨状に見舞われ、様々な活動が抑制された中でも、私たち法律家の会の活動は一定の前進をみることができた。

 ここまでは、昨年マスコミにも大きく取り上げられた。世間では、この東京地検特捜部による処分によって、「桜を見る会」前夜祭をめぐる問題はすべて「終結した」と思われているかもしれない。しかし、「桜を見る会」前夜祭をめぐる問題は、これですべて終わったわけではない。

 たしかに公設秘書の略式起訴は、その人物が仕えていた安倍前首相の「政治的責任」を糺すことにつながることは間違いない。実際、安倍前首相は国会において、自らの関与について長々と弁明せざるを得なくなった。ただし、安倍前首相自身の「法的責任」について、このままでは不問に終わってしまいかねない。それでは、当初私たちが目指したような、首相の違法行為を糺し、法の支配貫徹と民主主義の回復という目的が実現しないことになる。

 そこで私たちは今年に入って議論を重ね、さらに報道記事などの分析を深めたうえで、東京地検特捜部の不起訴処分は納得できないとして、今年2月2日、審査を申し立てた。同申立ては、すでに略式処分を受けた元公設秘書についても起訴されなかった2015年分の収支報告書不記載を含めるとともに、前首相及び第一次告発時に明らかになっていた関係者、それに昨年11月にマスコミで報道された際にはじめて発覚した前首相の資金管理団体「晋和会」の関係者(12月に第二次告発をして直後不起訴処分となっていた。)らも被疑者とした。

 そうしたところ、本年3月3日、元公設秘書の起訴されなかった2015年分の不記載罪について、東京第五検察審査会は、「不起訴不当」の議決をした。

 時効が近づいた2015年分だけを早期に判断したものであるが、すでに明らかとなっている証拠資料によれば、不起訴とした検察官の裁定は「一般市民の感覚では納得できない」(同議決書2~3頁)という内容であった。一般市民感覚から法の是正を求める内容であって、「起訴相当」でなかったとはいえ、高く評価できるものといえよう。

 今後、本丸ともいえる安倍前首相の政治資金規正法及び公職選挙法違反の不起訴についての判断が出る。その結果を現段階で予測するのは難しいが、国会答弁で118回も虚偽答弁をしてきたとされる安倍前首相が、何のお咎めもなしに政治活動を続けることは到底許されない。

 日本国憲法下における法の支配と民主主義を護るため、私たちの活動はこれからも続く。

(2020年4月5日脱稿)

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.03.22更新

弁護士 荒井新二

 今年は例年にない開花である。20年前の3月、妻の逝った日も列島に早めの開花宣言が出されていた。
 闘病10年間の苦しいけれど覚悟のうえの、ある意味充実した生活の末の死であったから、焼場の煙突からゆらゆら立ちのぼる白煙を見て、妻もやっと肉体の業苦から解放されよかったと感じ、そう参列者に挨拶した。遺族として穏やかに死を迎えられた(と思っていた)。
 4月になり仕事上何かの考え事をして自宅の仕事部屋でウロウロ歩きまわっていた。その時、本当にいきなりと言う感じで、大声で私の口から妻の名前が飛び出した。妻のことをそのとき考えていたのではない。体の奥から出てきた叫びが妻の名前であった。狼狽した私は、余りのことにその場にへたり込んでしまった。
 それから数月後。港区議さんの案内で法律相談の会に個人のアパート宅に赴いた。手持ち無沙汰で小さな本棚を眺めていた。不在であったが住み主の老女(と思われる)の詩集が目に入った。私製本であったろうか。パラパラ捲ると「起承転結」という短詩があった。配偶者を亡くした後の心境と暮らし、その後の立直りが綴られていた。その時はそれまでのことであったが、以後折につけ詩が気になった。弁護士業務のなかで人の死にしばしば触れる機会が多い。遺族など関係者の生の感情の吐露に遭う。そんな時にあの詩が頭をよぎる。そういうことが何回か続くうち、そうだ、あのとき私の身体が精神に反抗し、バランスをくずしていたのだと気づいた。それから喪のことを考えることが多くなった。
 この世の中、近親者の喪失に直面し転び、悩みごとを抱く人は意外に多い。基本的にそれは宗教の問題、役割だとは思う。が自分の経験を混えて依頼者の方に「起承転結」の詩を援用しつつ喪の作業についての持論を話すと共感されることが少なからずあった。あくまで通常死等の場合であるが、読者のなにかの役に立てばと思い服喪について私の思うところを書きとどめておきたい。門外漢の無礼で勝手な振る舞いをお許し願いたい。

…死を見つめること。死と対峙すると言ったらよいか。現実に起きたことを認めること。死は圧倒的な事実の力で迫ってくる。死を否認したり軽視したりすることも人間的な反応であるが、背を向けて正対しないと強いリバウンドがある。死という重い(言い換えれば、どうしようもない)事実に圧倒されることがあっていい。自然なことだし人間的なことだ。必須の憂悶の過程と心得るべきだろう。リスク回避のためと思い、これに最低でも一年以上をかける積りでいればよい。

…承認。死を受け入れること。その人の死をわが身におさめていく、かなり長いゆっくりした孤独な道程。死を想像すること、死の前後を含め想定することは人間を他の動物から区別できる徴しとも言われる。人間界にしかない宗教もそこに源泉があるらしい。亡き人を忍び記憶のなかで一緒の時間を過ごす、そのことは愛する人の死を穏やかに受け止めることに確実につながっていく。この受容の過程である承の期間を早めに打ち切ろうとする方も少なくない。が、できるだけ焦らずゆっくりとこのリハビリの期間を慈しんで過ごすことが肝心なこと。

…起と承の期間が過ぎ傷は癒えていけば人間、放っておいても勝手に何かを始める。立ち上がり自ずから行動する。他人と交差する。2足歩行で移動することは高次な人間の本能。犬だって歩けば棒にあたる。あたれば局面が変わる。転換の方法は自己に誠実であれば様々な試みがあっていい。失敗したって、一からやり直すことがあっても、すべて自分のことで、他人様からあれこれ言われる筋合いも義理もない。昔の生活にただ戻ったと思うかもしれない。それはそれで結構なこと、そういう思念は喪の作業がうまく行った証である。が実際はただの復帰、復元ではない。死の前と後では周りの景色が確実に変わる。新しい死生観が芽生える。自己を恃む力さえあれば転は向こうからやってくる。

…結は結果、結論。起・承・転をうまくくぐり抜ければ、薄着であれ死生観を、身に纏うことになるから新しい自分になれる。喪の期間が特別な人には立派な成果をもたらすことがある。偉人伝説はかくて出来上がる。凡人である我々は劇的な成功を目指す必要なぞ無い。素焼きが透明の上薬をかけられて焼成し丈夫で美しい陶器となるように、薄着の死生観はその人を美しく見せる。昔は、生きることは死ぬことと見つけたり、とかなんとか言ったそうだ。しかし古風なサムライの高望みではなく現代ではサヨナラだけが人生だ、と軽く明るく受け止める方がいい。亡き人を心に生かし対話しながら生きる。結は喪の期間が終わってから待っているながい期間のはじまりである。

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.03.05更新

 3月4日、NHK番組「おはよう日本」の特集「HPVワクチンはいま」において、ワクチン接種にはリスクがないかのように視聴者に受け取られる一方的な内容の放送が行われました。

 番組では、ワクチン接種のリスクとメリットを判断することが大切であるとの意見を紹介しながら、本ワクチンの有効性に限界があることを示すデータや、検診という有効で安全な予防手段があることなどには一切触れていません。副反応の症状について「失神など」「頭痛、倦怠感など」としか伝えず、ワクチン接種との因果関係は証明されていないとい被告国の一方的な見解だけを紹介しています。 
 そして、その厚労省ですら、一部の患者についてはHPVワクチンとの因果関係を否定できないとしていることや、現在も積極的な接種勧奨の中止を継続しているという明らかな事実すら伝えておらず、被害者側への取材も一切なされていません。
 HPVワクチンの副反応は、多様かつ多数の症状が一人の患者に重層的に現れる特徴を有することが報告されています。治療法は確立しておらず、被害者の多くが現在も症状に苦しみ、進学や就職の大きな障害となっています。

 今回の番組は、事実報道という観点からも、また放送の公平性・中立性の観点からも、きわめて問題があると言わざるを得ません。HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団は、「おはよう日本」において、原告・被害者に対する取材に基づき、原告・被害者が置かれている厳しい現状と、その意見を十分に伝える特集をあらためて放映することを求めてNHKへ面談を要請しています。
 原告の被害者たちは、自分たちの被害があたかもないものであるかのようにされたまま、接種が拡大されることによって、自分たちと同じ被害者がまた増えてしまうことを強く危惧しています。
 みなさまも、HPVワクチン被害の深刻な実態を知っていただき、原告団弁護団と一緒に声を上げて頂ければと思います。

弁護士 水口 瑛葉

【HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団】NHKが被害者に取材しないまま一方的報道を行ったことに抗議し、面談を要請しましたhttps://www.hpv-yakugai.net/2021/03/04/nhk/

さまざまな症状がいくつも発症する副反応症状があらわれます。

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.02.04更新

当事務所の泉澤章弁護士の寄稿文が『月刊マスコミ市民第625号』に掲載されました。桜を見る会を追求する法律家の会が安倍前首相を刑事告訴するなど、高まる世論を受け検察が事情聴取に動くなどした疑惑が嫌疑不十分で不起訴となった事件について、その一連の顛末を解説しています。

ぜひご一読下さい。

【リンク】月刊マスコミ市民(http://masukomi-shimin.com/introduction)

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.02.01更新

皆様はじめまして。

昨年12月に司法修習を修了し、この度1月より東京合同法律事務所に入所いたしました油原麻帆(ゆはらまほ)と申します。
私は人権問題にとりくみたいと思い弁護士を志しました。中学2年生の時に、授業でアパルトヘイトやホロコーストについて学習したことが差別や迫害といった問題に興味を持ったきっかけです。また、ちょうど同じ時期、自由課題のテーマとしてハンセン病差別を取り上げ、元患者の体験談を読んだり、全生園や国立ハンセン病資料館の見学をしました。ハンセン病差別を学ぶ中で、差別や迫害の問題が遠い昔や外国だけの話ではなく、自分のすぐ身近に存在していることに大きなショックを受けました。
東京合同法律事務所に入所できたことで私の夢に一歩近づきました。大学時代にOB訪問をした際に「僕も最初は人権派弁護士になりたいと思っていたけどね」と笑われた、あのときの自分に伝えたいです。あなたは今、夢をかなえたよ、と。
これからどうぞよろしくお願いいたします。

油原麻帆

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.02.01更新

はじめまして。
弁護士の小河洋介(おがわようすけ)と申します。
この度、名古屋での司法修習を終えて東京合同法律事務所に入所しました。
私は、障害者の方々やその家族が少しでも生きやすい社会を築きたいと思い、弁護士を志しました。私の妹は軽度の発達障害と知的障害を患っていますが、その生きづらさを間近に見てきました。妹のような人は皆さんの周りにも実は多く存在しています。少しでも障害者の方々の役に立てるよう、福祉の知識や精神医療の知識といった専門性を日々磨いていきたいと考えております。もちろん、一般民事事件、刑事事件、労働事件、家事事件、倒産事件等の多種多様な事件に取り組んでいき、皆様のお悩みを解決できるよう経験を積んでまいります。
 若輩者ではございますが、一つ一つの事件に丁寧に取り組み、最善の弁護活動ができるよう、力を尽くしていく所存です。
 今後とも、何卒よろしくご指導ご鞭撻賜りますよう心よりお願い申し上げます。

小河洋介

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.01.21更新

弁護士 山﨑大志

「弁護士にこんな些細なことを相談してよいのでしょうか?」
 相談を受けていると、このようなことをおっしゃる方がいらっしゃいます。
 回答としては、全く問題ありません。どんどん相談してください。
「こんな些細なことか」どうかは、弁護士に相談してみないと分かりません。もしかしたら、「こんな些細なこと」だと思っていたことが、相談せずに放っておいたら、一刻を争う大問題に発展してしまうおそれもあります。そのようなことにならないように、悩みがありましたら、早めに相談した方が良いです。
 もちろん、何の問題もないことかもしれません。その場合も、弁護士に相談してみたら、何の問題もないことが分かって安心できるので、相談した方が良いです。
 そもそも悩んでいらっしゃることが、「弁護士に相談すべき内容か」どうかについても、弁護士に相談してみないと分からないのです。そのような悩みを持った時点で、弁護士に相談すべきです。
 みなさまは、体調が優れないときには、医者に診てもらうことがあると思います。大した病気ではないかもしれませんが、医者に診てもらったら、大きな病気かもしれません。
 体調が悪ければ、医者に診てもらうように、お困りごとがありましたら、お気軽に弁護士にご相談ください。

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.01.13更新

泉澤章弁護士が雑誌『世界』2021年2月号に「私たちは追求するー桜を見る会疑惑 首相の犯罪に裁きを」という題で寄稿しました。

安倍前首相を刑事告発するに至った経緯と法律家のたたかいについて書いています。是非お読みください。

『世界』2021年2月号

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.01.07更新

当事務所の横山雅弁護士が今市事件について解説した寄稿文が『冤罪白書2020 Vol.2』で掲載されました。
昨年、全国で争われてきた冤罪裁判に取り組む弁護士がその概要や判決の問題点を網羅した内容で、事件の全体像が分かりやすくまとまっています。
横山弁護士執筆の部分は↓のPDFからお読み下さい。
【PDF】今市事件―冤罪白書2020 Vol.2―

【リンク】『冤罪白書2020』発売決定!!(https://santoshuppan.blogspot.com/2020/12/2020.html)
燦燈出版株式会社は2018年4月に設立した「冤罪白書」を発行している出版社です。『冤罪白書2020』では、2020年に再審無罪判決が確定した「湖東記念病院事件」を巻頭特集のトップに、再審事件だけでなく通常審で無罪が主張されている注目事件も取り上げ、創刊号「冤罪白書2019」をさらにアップデートした内容です。発行は2019年12月31日です。

冤罪白書2020

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.01.05更新

1 名誉毀損に関する事件というのは古くからあったわけですが、昔は、本や雑誌といった書籍での表現が問題になることがほとんどでした。最近でも、たとえば、爆笑問題の太田光さんが、大学を裏口入学したとする週刊新潮の記事で名誉を毀損されたと主張し、新潮社を被告として民事上の損害賠償請求を行っていることがニュースになっています。

 もっとも、最近は、SNS等におけるインターネット上の表現に関する名誉毀損が問題になる案件のご相談を受けることが多くなりました。インターネット上の書き込みは、多くの人が手軽に社会に向けて発信できるツールですが、その分、だれもが被害者にも加害者にもなり得ます。

 

2 名誉毀損とは

1)要件

名誉毀損とは、刑法上は、「公然と事実を摘示し,人の名誉を毀損した者は,その事実の有無にかかわらず,3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています(刑法230条)。民法上の不法行為として認められる名誉毀損の要件も、公然性という要件が求められていない以外は、基本的に刑法上の要件と同様です。

2)事実の摘示

「名誉の毀損」というのは、人の名声や信用といった社会的評価を、事実を摘示して低下させることをいいます。

 たとえば、誰かが「〇〇という芸能人って、馬鹿っぽいよね」とだけSNSで書き込んだとしましょう。これは具体的な事実を摘示しているわけではなく、その人に対する書き込みをした人の主観的評価・感想ですので、名誉毀損の対象にはなりません。

こうした事実の摘示を伴わずに他人を侮辱する行為は、刑法上は侮辱罪(刑法231条)の問題になります。民法上も、名誉毀損とはなりませんが、事実の摘示を伴わない表現行為で人の社会的評価を低下させた場合も、不法行為が成立し、損害賠償が認められる可能性があることには注意が必要です。

3)真実であっても名誉毀損にあたりうる

また、勘違いされている方も多いのですが、名誉毀損というのは、摘示された事実が真実であっても成立する場合があります。本当のことを書いているのだからいいだろう、というものではありません。確かに、表現の自由の重要性から、公共性、公益性のある事項については、真実性が証明されるか、真実性の証明がなくともその事実を真実であると信じたことに相当の理由があると認められる場合に免責される場合もありますが、この免責の要件が満たされるハードルはそれなりに高いと思っていただいた方がよいと思います。

 皆さんが、誰かがインターネット上に書き込んだ内容を鵜呑みにして、それを前提として自身でも書き込みをしたり、誰かの情報をリツイートしたりした場合、仮にもとの書き込みが名誉毀損にあたるものであった場合には、皆さんの書き込みも名誉毀損に該当する可能性が高くなります。

 

3 名誉毀損の被害にあったときの注意事項

インターネット上の表現が名誉毀損に該当すると認められた場合、損害賠償と同時に、記事や投稿の削除を請求することが可能です。

ただし、インターネット上の投稿は匿名で行われる場合が多いので、損害賠償や記事・投稿の削除を請求するには、まずは投稿者を特定する必要があります。この投稿者の特定は、サイト管理者やプロバイダに対して、プロバイダ責任制限法にもとづいて発信者情報開示を求めなければなりません。

 しかし、この裁判所を利用した発信者情報の開示の手続きは、①まずはサイト管理者に対し発信者情報開示請求の仮処分の申立を行い、発信者に関するIPアドレス等の開示を受け、②これをもとに経由プロバイダに対して発信者情報開示請求を行い、プロバイダ契約者である発信者に関する住所や氏名等の情報の開示を受ける、という手順を踏む必要があります。

 注意が必要なのは、経由プロバイダの通信履歴は短いところですと3か月程度の保存期間となっている点です。投稿から時間が経ってしまうと、発信者の特定が不可能になってしまいますので、早めに動く必要があります。

 3か月というと、皆さんが投稿を発見する時期によっては、実際に準備に使える期間がほとんどないということもありますので、法的手続をとる可能性を少しでも考えるようでしたら、すぐにご相談いただくことをお勧めします。

弁護士 水 口 瑛 葉

投稿者: 東京合同法律事務所

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