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2023.06.19更新

(3)どうやって防衛費を確保するのか?

政府は、増額分の4分の3は決算剰余金の活用と税外収入(下記①)、歳出削減(下記②)で、4分の1は増税で賄う(下記③)と説明しています。
① 2023年度は税外収入として約4兆6000億円を確保し、この中から防衛力強化資金として3兆3806億円が計上されています(今、国会で審議されている財源確保法案はこの予算確保のためのものです)
4兆6000億円の内訳は次のとおりです。
・外国為替資金特別会計から3兆1000億円
・財政投融資特別会計から6000億円
・国立病院機構(NHO)の積立金422億円
地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金324億円
本来は病院職員の賃上げなどに使われるはずの積立金が防衛費にまわされています。
・新型コロナウイルス対策費から国庫に返納約4000億円
・商業施設「大手町プレイス」の売却収入  約4000億円
これらの金銭は本来、一般会計で使うものであり、それが防衛費にまわることで他の経費の財源が減り、新規国債の発行へつながりかねません。
 また、不動産の売却収入など一回限りの財源も含まれ、また、決算剰余金は額が安定したものではないので、安定してこの金銭を確保し続けることができるのか不明です。安定して確保できなくなった時は、増税をして国民にしわ寄せがいく、などということもあるかもしれません。
② 歳出削減で1兆円を確保。
③ 増税で約1兆円を確保することになっていますが、時期は「2024(令和6)年以降の適切な時期」で、決まっていません。
・法人税で、4~4.5%の付加税 約6000~8000億円
・たばこ税(たばこ1本あたり3円) 約2000億円
・復興特別所得税の約半分を防衛費にまわす 約2000億円
毎年の確定申告で納める復興特別所得税の約半分が防衛費に使われることになりました。本来の復興に使える金銭が減ります。また、復興特別所得税の徴収を延長することが見込まれ、実質的に増税につながる可能性があります。
(4)国債を防衛費に流用せざるを得ない
今までは国債の中で公共事業などに使うための建設国債は防衛費に充てない運用になっていましたが、2023年は初めて建設国債から4343億円を施設整備費や艦船建造費に充てることにしました。
また、直接防衛費に充てるものではありませんが、2023年度の予算では、赤字国債29兆0650億円を新規に発行予定し、年末には国債発行残高が1068兆円になる見込みです。対GDP比では世界1位の借金になります。
財政状況が健全ではない中で、果たして防衛費を大幅に増やしてもいいのでしょうか。

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弁護士 緒方 蘭

 

投稿者: 東京合同法律事務所

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