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2018.06.25更新

 超高齢化社会を迎え、高齢者の方の財産管理が大きな問題になっています。

 以前の日本は家族が大人数で生活し、隣近所が顔見知りという状況でしたが、最近は高齢者がお一人でまたは夫婦だけで生活している場合が増え、財産管理に不安を感じる方が増えています。振り込め詐欺など高齢者を狙った詐欺事件も社会問題になっています。

 高齢になり判断能力が低下した場合は、家庭裁判所に後見申立てをすることになります。この制度は、判断能力が低下した方が取引の犠牲になって不利益を受けないようにするためのものです。

 判断能力が低い順に、成年後見(精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者)、保佐(能力が著しく不十分な者)、補助(能力が不十分な者)という制度がそれぞれ用意されています。それぞれの制度で後見人の権限は異なりますが、いずれの制度でも、おかしな契約をしてしまった場合に、後見人がその契約を取り消すことができます。家族が後見人になることもできますが、弁護士などの専門職の人を後見人につけるのがお勧めです。

 まだ判断能力は低下していないが今後に備えたいという場合は、高齢者の方とサポートをする人(家族や弁護士等)との間で任意後見契約を結びます。任意後見契約では、将来、判断能力が低下したら、契約を結んだ人が任意後見人として財産を管理します。

 最近では、任意後見契約とは別に見守り契約(ホームロイヤー契約)を結んで、判断能力が低下するまでの間も定期的に弁護士が日常の相談を受けるということも増えてきています。

 ご自身やご家族のことで将来に不安を感じましたら、まずはお気軽にご相談ください。一緒に解決方法を考えたいと思います。

弁護士 緒方蘭

ホームロイヤー(イメージ図)

 

投稿者: 東京合同法律事務所

2018.06.06更新

2018年6月2日の毎日新聞一面に「賃金格差項目別に判断」と見出しが躍りました。

『正社員と非正規社員の待遇格差が、労働契約法が禁じる「不合理な格差」に当たるかが争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は1日、「不合理か否かの判断は賃金総額の比較のみではなく、賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきだ」との初判断を示した。そのうえで、契約社員による訴訟で5種類の手当の格差を不合理と認める一方、定年後の嘱託社員による訴訟では近く年金が支給される事情などから大半の請求を棄却した。』
『最高裁は不合理性の判断に当たり、労使交渉の経過や経営判断、定年後再雇用などの事情も考慮要素となるとの枠組みを示した。
 その上で、浜松市の物流会社「ハマキョウレックス」の契約社員が6種類の手当の格差是正を求めた訴訟では、4種類の手当の格差を不合理と認定した2審・大阪高裁判決を支持。正社員に支給される皆勤手当も「出勤者を確保する必要性は非正規社員も変わらない」として、この点の審理だけを高裁に差し戻した。
 一方、横浜市の運送会社「長沢運輸」に定年後再雇用された嘱託社員3人が「賃金減額は不当」と訴えた訴訟でも、個別の賃金項目を検討。皆勤手当と同趣旨の精勤手当の格差を不合理とし、相当額の5万~9万円を3人に支払うよう会社に命じた。一方で、基本給や大半の手当の格差については、3人は退職金を受け取り、近く年金が支給されるなどを理由に不合理性を否定。精勤手当に連動する超勤手当の再計算の審理のみを東京高裁に差し戻した。いずれの判断も裁判官4人全員一致の意見。』【毎日新聞】

 雇用形態が変容し、非正規社員が労働者の約4割を占めているといわれているなかで、「同一労働同一賃金」が重視されつつある社会の状況に対応した判断であると思われます。労働条件の差が不合理か否かの判断は賃金総額の比較のみではなく、賃金項目を個別に考慮すべきだとする判断が示されており、今後の裁判・法律実務に影響を与えるものと思われますし、同じように手当に格差を設けている企業に対して見直しを迫るものとなるでしょう。(弁護士 上原公太)

投稿者: 東京合同法律事務所

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