2018年11月27日 弁護士 洪美絵
日本では、1896年以来、成年年齢は20歳とされてきました。
選挙権が18歳に引き下げられたことは報道等でご存じのことと思いますが、今年6月に民法も改正され、2022年4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられることになりました。
成年年齢が18歳に引き下げられると、どんなことが起きるのでしょう。
未成年者(現在は20歳未満)には、「未成年取消権」が認められています。勧誘の方法がよくなかった、説明に間違いがあった、などの事情がなくとも、未成年者は契約を取り消すことができるのです。
そのため、業者側も未成年者を勧誘のターゲットにはしません。苦労して勧誘しても、後で契約を取り消されてしまうリスクを嫌うからです。
現在の統計では、成年(現在は20歳以上)になると、相談件数と被害金額が格段に大きくなっています。
成年年齢が18歳に引き下げられると、この「未成年取消権」は18歳未満の場合しか行使できなくなります。18歳という年齢は多くの方はまだ高校3年生でしょう。成年年齢が18歳に引き下げられるのは4年後とはいえ、高校生でも勧誘のターゲットにされる可能性が高くなるのです。
成年年齢の引き下げには色々な問題点がありますが、まずはこの点にご注意いただき、お子さんと、お金の使い方やローンを組むことの意味など、具体的に話し合っていただければと思います。
【法律トリビア】
一般的に「成人年齢」という方が多いようですが、法律用語としては「成年年齢」が広く使われています(民法第4条)。このような例では、他に遺言(一般的には「ゆいごん」と読みますが、法律用語としては「いごん」と読みます)や競売(一般的には「きょうばい」と読みますが、法律用語としては「けいばい」と読みます)などもあります。