2023年通常国会に提出され継続審議となっていた金融サービス提供法等の改正が、秋の臨時国会で成立しました。改正法に基づき、来年春には金融経済教育推進機構が設立されます。利用者の立場に立って、金融経済教育を広く提供するための機構で、教材・コンテンツの作成、学校や企業等への講座の展開、個人に対する個別相談等を行います。
金融経済教育については、すでに「金融リテラシー・マップ」が、生活スキルとしての金融リテラシーの内容を、年齢別に具体化しています。この内容も踏まえ、家計管理や生活設計、消費生活の基礎や社会保障・税制度、金融トラブルに関する内容も含めて、広範な観点からの教育の推進が期待されます。
重要なのは、人々の分業と協業により成り立っている経済社会について、マクロ的なイメージを持ち、その中に自らの消費行動・金融行動をイメージできることと思います。
田内学さんの『きみのお金は誰のため』(東洋経済新報社)は、こうしたイメージを持つのに最適な書です。お金をめぐる三つの真実、①お金自体には価値がない、②お金で解決できる問題はない、③みんなでお金を貯めても意味がない、について、ボスが中学生の雄斗と投資銀行に勤める七海に語ります。しっかりした金融理論を背景に、わかりやすい物語が展開されます。「学校では教えてくれない『お金と社会の本質』がわかる!」書籍です。
投資教育でなく、こうした観点からの金融経済教育が共有され、広い意味での「金融行動」が促されることを期待したいと思います。
【東洋経済STORE】きみのお金は誰のため ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」(https://str.toyokeizai.net/books/9784492047354/)