◆令和5年(2023年)4月1日から、相続開始後10年を経過した遺産分割には、特別受益・寄与分の規定が適用されなくなります。
遺産を分けるには、原則として遺産分割を行う必要があります。
遺産分割には、協議・調停・審判などの手続きがあります。
協議は相続人全員での話し合い、調停は家庭裁判所で行われる相続人全員での話し合い、審判は、調停での話し合いがつかなかった場合に、裁判所が判断を下すものです。
遺産分割では、特別受益・寄与分が問題になることが多くあります。
特別受益は、生前に金銭や不動産の贈与等を受けていた相続人がいる場合、その方は遺産の前渡しを受けていたものとして遺産を分割する制度です。
寄与分は、生前に亡くなった方のお世話をしていた相続人等がいる場合に、その方の労力を金銭評価して遺産から支払う制度です。
現在の法律では、特別受益・寄与分の主張はいつまででもすることができました。
ですが、法律が改正されたため、相続開始(死亡日)から10年を経過した遺産分割では、特別受益・寄与分を主張することができなくなります。この制度は令和5年(2023年)4月1日から開始されますが、令和5年4月1日以前に亡くなった方の相続でも適用されます(※経過措置あり)。
遺産分割の話し合いをする必要があるのは分かっているけれど、他の相続人が生前の贈与(特別受益)を認めず話し合いが進まないため、放っておいてしまった、というような場合には、不利益を受ける可能性があります。
この制度については例外も定められていますので、お早めに弁護士に相談されることをお勧めします。
※経過措置
相続開始時から10年を経過するとき又は施行日から5年を経過するときのいずれか遅いとき