遺言がある場合は、遺言の記載通りに相続する手続を進めるので、遺言の検認申立、遺言の執行という手続が必要となります。
遺言がない場合は、亡くなった方の遺産をどう分割していくか相続人で協議していきます。遺産分割については、調停、審判、訴訟の手続を利用することができます。
1 遺言がある場合
遺言の記載に特段異議がない限り、遺言の記載通りに相続をする手続きを進めることになります。
●遺言の検認申立
検認とは、相続人に対して遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言執行前に遺言書を保全して、偽造や隠匿を防ぐために行う手続です。
公正証書遺言の場合を除き、遺言書の保有者は、家庭裁判所に検認の申立てをしなければなりません。公正証書遺言について詳しく知りたい方は、「遺言はどうやって作ればよいですか?」の記事をご覧ください。
なお、検認の手続きは、遺言の有効無効を確認する手続ではありませんのでご注意ください。
●遺言の執行
遺言の内容を実現するために事務を行う人を遺言執行者といいます。
遺言執行者は、遺言で指定されていることが多いですが、利害関係がある人が家庭裁判所に選任を請求することもできます。
遺言執行者によって遺言の内容が実現されていきます。
●遺言の効力について
遺言が法律上有効かどうかを確認する必要があります。
詳しくは「遺言はどうやって作ればよいですか?」の記事をご覧ください。
また、亡くなった方が自筆で遺言を作成した場合、遺言が本当に「本人の筆跡なのか」「遺言の日付の時には認知症だったはずだから、遺言を書くことはできなかったのではないか」等不信に思い、遺言の効力に疑問を持つことがあると思います。
遺言の効力を否定したい場合には、遺言無効確認の訴えを提起する必要があります。
2 遺言がない場合
①遺産分割協議
亡くなった方の遺産をどう分割していくか相続人で協議していくことになります。
遺産分割協議をする前に、弁護士に相談されることをお勧めします。専門的知識がないと、ご自身の権利を守ることができなくなってしまうおそれがあるからです。
②遺産分割調停
当事者同士で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に対して、遺産分割調停を申し立てることになります。
調停手続は、調停委員という第三者を間に挟んでの話し合いですので、あくまで当事者全員の合意がなければ成立しません。
③遺産分割審判
調停で合意できない場合は、調停は終了し、審判に移行します。
審判手続では、裁判所の判断によって結論が決まります。
●遺産分割訴訟
その他、訴訟が必要になるケースもありますので、弁護士にご相談することをお勧めします。