トピックス

2024.12.12更新

 当事務所の泉澤章弁護士の論文が『月刊憲法運動』第536号(2024年12月号)に掲載されました。タイトルは『袴田判決から再審法改正について考える~冤罪からの救済実現に向けて~』です。論考では、戦後5例目の死刑再審無罪となった袴田判決で露呈した刑事司法制度の構造的欠陥と歴史的経緯を指摘し、人権救済規定として再審法は本来どうあるべきなのかその要点を詳述しています。

 人権保障を蔑ろにして戦争に突き進んだ明治憲法への反省から、現行の日本国憲法は人権尊重の方向に舵を切り、刑事司法に関しても人権保障規定がいくつも盛り込まれました(憲法31~40条)。その観点から、再審制度については「有罪の言渡を受けた者の利益のために、これ(※注:再審の請求)をすることができる(刑訴法435条)」として「無罪方向での再審」だけが明確に規定され人権救済規定として生まれ変わった、はずでした。実際には、19条しかない刑訴法条文は詳細な手続規定とは言えず、再審開始をめぐる運用は裁判所の裁量次第となっており、再審の開始は「ラクダが針の穴を通るより難しい」と揶揄され、長らく「開かずの門」となっていました。白鳥事件など幾度もの再審開始に向けた努力がなされ一歩ずつ前進が勝ちとられてきましたが、再審法の条文自体は現在にいたるまで改正されていません。泉澤弁護士は、人権救済規定として機能するために重要な点として、①再審請求審における証拠の全面開示、②再審開始決定に対する検察官の不服申立の禁止、③手続規定の明確化、という3点の重要性を論文で詳述しています。

 泉澤弁護士の論文は『月刊憲法運動』第536号(1冊400円)に掲載されておりますので、多くの皆さまにぜひご一読いただければと存じます。

月刊憲法運動】1965年、憲法学者や宗教者など33名が発足させた『憲法会議』の発行する月刊情報誌です。憲法会議は、日本国憲法の規定する民主的自由をまもり、平和的・民主的条項を完全に実施させ、憲法の改悪を阻止することを目的とする団体です。

月刊憲法運動536号

投稿者: 東京合同法律事務所

2024.10.17更新

 当事務所の泉澤章弁護士の書評がしんぶん赤旗日曜版(2024年10月20日号)の読書コーナーに掲載されました。
 レビューした本は『袴田事件 神になるしかなかった男の58年』(文春新書)。著者の青柳雄介さんは2006年から袴田事件の取材を始め、袴田巖さんが48年ぶりに釈放されてからは袴田さんに密着取材するため2年ほど浜松に住んでいたそうです。
 本書では、袴田巌さんと姉の秀子さん、再審に奔走した弁護団と支援者の方々、そして事件を取り巻く人々の姿が粘り強い取材によって記録され、とても読み応えのある内容となっています。特に、各章の冒頭で袴田さんが留置施設や獄中から家族や支援者に宛てた手紙や日記の一部が紹介されており、読む人の心に突き刺さってくるものがあります。

『神さま。僕は犯人ではありません。僕は毎日叫んでいます。ここ静岡の風に乗って、世間の人々の耳に届くことを、ただひたすらに祈って僕は叫ぶ』
(第20章、逮捕から半年後に母親に宛てて書いた手紙 より)

 この叫びが届くまで、結局58年もかかってしまいました。何の落ち度もない一般市民がある日突然、証拠を捏造した捜査機関によって恣意的に犯人とされ、身に覚えのない罪で死刑が確定してしまう。50年近く世間と完全に遮断されて、日々死の恐怖に怯えながら生き続ける。この悪夢のような話がまぎれもない現実であり、再審を勝ちとるためにたたかい続けた人々の姿をこの本は描き出しています。

【紀伊國屋WEBストア】https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784166614530
【Amazon】https://www.amazon.co.jp/袴田事件-神になるしかなかった男の58年-文春新書-青柳-雄介/dp/4166614533

しんぶん赤旗日曜版 読書コーナー

投稿者: 東京合同法律事務所

2024.07.03更新

 当事務所の泉澤章弁護士が執筆した書評がしんぶん赤旗の書評欄に掲載されました(2024年6月30日号)。ご紹介した書籍は『腐敗する「法の番人」警察、検察、法務省、裁判所の正義を問う』(鮎川潤著)です。

 じつは、犯罪の認知件数や検挙件数は減少し続けています。それにも関わらず、テレビやネットでは凶悪な少年犯罪や殺人事件が激増し、悪質なあおり運転などが多発しているかのように錯覚させる報道を日々見せられています。なぜ、私たちの「体感治安」は悪化しているのでしょうか?

 犯罪学・刑事政策を専門とする著者の鮎川氏は、犯罪件数の減少ではなくむしろ状況が悪化しているような印象を持つよう警察が導いていることを本書で指摘しています。その裏には、裏金問題やパチンコ業界、警備会社との癒着など、警察の上層部による組織的な利権体質があるといいます。また、警察と同じく治安を守る検察、法務省、そして裁判所にもまた各組織の利権のために逸脱行動があると指摘しています。警察、検察、法務省、裁判所…これら法の執行に関わる行政機構が一体誰のために存在するのか、国民にもっとも触れられたくないであろう腐敗した問題を本書は一挙に暴き出しています。
 警察の不祥事や誤判・誤審といったニュースに接し、警察等のあり方に疑問を持たれている方はぜひ本書をご一読下さい。

【平凡社】腐敗する「法の番人」 警察、検察、法務省、裁判所の正義を問う(https://www.heibonsha.co.jp/book/b639170.html)

【Amazonからのご購入はこちら】(https://www.amazon.co.jp/%E8%85%90%E6%95%97%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%8C%E6%B3%95%E3%81%AE%E7%95%AA%E4%BA%BA%E3%80%8D-%E8%AD%A6%E5%AF%9F%E3%80%81%E6%A4%9C%E5%AF%9F%E3%80%81%E6%B3%95%E5%8B%99%E7%9C%81%E3%80%81%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%89%80%E3%81%AE%E6%AD%A3%E7%BE%A9%E3%82%92%E5%95%8F%E3%81%86-1050-%E5%B9%B3%E5%87%A1%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8/dp/4582860508)

泉澤章弁護士の書評

投稿者: 東京合同法律事務所

2023.10.07更新

 10月6日に「国民に開かれ、国民の権利を擁護する司法の実現を」目指す24回目の司法総行動が行われました。その前日発行となる救援新聞10月5日号一面の関連記事に当事務所の泉澤章弁護士が取り上げられています。記事のテーマは、10月6日に先立って行われた学習行動プレ集会の様子を紹介したもので、講師を務めた泉澤弁護士は再審法改正をテーマに講演しています。日弁連の再審法改正実現本部事務局次長を務める泉澤弁護士によれば、昭和40年代までは極めて例外的な状況だけに適用される狭き門であった再審制度が、多くの人々の支援と法廷闘争によって1975年(昭和50年)に最高裁に白鳥決定を出させ、その後の死刑再審4事件(免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件)で画期的な無罪判決を勝ちとってきたということです。そしてこの死刑再審4事件を契機に、えん罪による人権侵害を受けた被害者を救済するには、現行再審法を改正すべきだとの声が大きくなり、日弁連を中心に再審法の改正運動が一時期高揚しました。しかし、法務省・検察庁の頑強な抵抗もあり、1990年代には再審法改正の動きは頓挫してしまいます。
 ただ、2010年代以降、足利事件や布川事件をはじめ多数の再審無罪事件が出て来たことにより、再審法改正の気運はふたたび盛り上がってきており、日弁連を中心に再審法改正運動が活発に展開されています。
 現在の再審法で特に指摘されているのは、①再審請求審において検察側が持っている証拠のすべてが開示されないこと(元被告人に有利な証拠が隠されていることがある)、②再審開始決定への検察官の不服申立が認められている(再審開始の確定が遅れ、その間無罪の元被告人が亡くなってしまうこともある)、という問題点です。10月6日の司法行動では、このような再審法の問題点を指摘し、早急に法改正をするよう法務省にも要請しています。
 国家による最大の人権侵害であるえん罪から被害者を救済するため、ぜひ再審法改正へのご支援・ご協力をお願いいたします。

投稿者: 東京合同法律事務所

2023.07.04更新

 日本民主法律家協会(日民協)発行の『法と民主主義』(2023年7月号)の再審特集で、『西嶋克彦弁護団長、袴田事件を語る』のインタビュー記事が掲載されました。当事務所の泉澤章弁護士が特集の序文執筆とインタビューの聞き手を務めています。
 今年の3月13日に東京高裁が袴田巌さんの再審を認めるまで、弁護団がいかにして新証拠を積み上げて静岡地裁の開始決定を勝ち取ったのか、そして再審開始が確定した後の裁判の見通しなど、戦後5件目となる死刑再審無罪事件のリアルな経緯が語られています。
 日本の再審制度には、①捜査機関が持つ証拠が全面的に開示されない問題、②再審開始決定が出てもなお検察官が不服を申し立て、再審開始まで長い時間がかかるという問題など、人権救済規定としての大きな制度的欠陥があります。
 ぜひ皆さまも最新号の『法と民主主義』をご一読いただき、一緒に再審法改正の声を上げていただければと存じます。

【法と民主主義】(https://www.jdla.jp/houmin/index.html)2023年7月号(第580号)
【試し読み】特集にあたって(https://www.jdla.jp/houmin/backnumber/pdf/202307_01.pdf)
・・・泉澤弁護士執筆の序文がこちらから試し読み頂けます。

【日本民主法律家協会(日民協)】(https://www.jdla.jp/index.html)
・・・日民協は、平和と民主主義と人権、そして司法の民主化を追及する、法律家の団体です。

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.10.28更新

 明日(10/29)発売の週刊金曜日1351号の特集企画『投票所で思い出してほしいこと』に当事務所の泉澤章弁護士のインタビュー記事が掲載されています。
 安倍・菅両政治で進んだ国会軽視と横暴な振る舞いを、①臨時国会召集要求の拒否、②コロナによる女性の貧困拡大、③「桜を見る会」に象徴される政治の私物化、この3点から振り返る特集企画です。
「『桜を見る会』を追求する法律家の会」の世話人を努める泉澤弁護士は、安倍前首相の違法行為の追求のための客観的証拠となる資料を入手したときの事や、告発に多くの弁護士や学者が立ち上がっていった経緯を語っています。
 投票日が迫るなか、各党の演説には聞こえのいい言葉や公約が並んでいます。しかし、言葉で未来を飾ることはできても、自らが責任を負うべきこの4年間の問題と真摯に向き合う姿勢を各党の候補者は持っているでしょうか。
 今週号の週刊金曜日を皆さまぜひ書店にてお求め下さい。

【公式サイト】週刊金曜日(http://www.kinyobi.co.jp/)

週刊金曜日週刊金曜日(表紙)

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.09.06更新

弁護士 坂勇一郎

 今年(2021年)2月から8月にかけて、独立行政法人国民生活センターのウェブ版「国民生活」(注)に、資金決済法についての解説を連載しました。
 資金の支払いや送金を「決済」(資金決済)といいます。決済に関する法律としては、資金決済法と割賦販売法があります。
資金決済法は、商品券や電子マネー等の「前払式支払手段」、銀行以外の事業者が送金を行う「資金移動」について規制しています。これらは、支払いや送金の前に、または、支払いや送金の際に、決済業者にお金を払い込むものです。
 割賦販売法は、クレジット等の後払いの決済を規制しています。

(決済法制の概要)

 支払手段法律
前払い 前払式支払手段 資金決済法
即時払い 銀行振込等
資金移動
銀行法
資金決済法
後払い クレジット 割賦販売法

 

 連載は、これらのうち、資金決済法について、解説をするものです。
 なお、資金決済法は暗号資産(仮想通貨)についても規制しており、第6回、第7回では、暗号資産(仮想通貨)についても解説しています。
 決済については、情報通信技術の発達によりさまざまなサービス提供が可能となってくる中、規制が決済手段によって異なっており、中には、規制されないサービス提供もあることから、利用者にとって非常に分かりにくいものとなっています。
 利用者が安心・安全に支払いや送金が行うことができるよう、利用者保護の観点からの規制の横断化が望まれます。

(注)web版『国民生活』は、消費生活問題に関心のある方や相談現場で働く方に、消費者問題に関する最新情報や基礎知識を分かりやすく伝えるものです。

 

坂弁護士執筆の『国民生活』記事(PDF)が↓リンクからお読みいただけます。

2021年2月号(No.102)
【知っておきたい資金決済法】第1回 決済法制と資金決済法の概要

2021年3月号(No.103)
【知っておきたい資金決済法】第2回 資金移動業(1)

2021年4月号(No.104)
【知っておきたい資金決済法】第3回 資金移動業(2)

2021年5月号(No.105)
【知っておきたい資金決済法】第4回 前払式支払手段(1)

2021年6月号(No.106)
【知っておきたい資金決済法】第5回 前払式支払手段(2)

2021年7月号(No.107)
【知っておきたい資金決済法】第6回 暗号資産(1)

2021年8月号(No.108)
【知っておきたい資金決済法】最終回 暗号資産(2)

 

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.05.31更新

東京弁護士会の会員誌「LIBRA」6月号の「私の修習時代」というコーナーに当事務所の泉澤章弁護士の寄稿文が掲載されました。

タイトルは『交渉事は,きちんと下調べして望むべし』。93年に司法試験に合格し司法修習生となった泉澤弁護士とダジャレで有名な司法研修所事務局長(裁判官でもある)との一幕で、同年代の弁護士やLIBRA編集部で好評なようです。

↓PDFでお読み頂けます。

【LIBRA6月号】私の修習時代(https://www.tokyo-godo.com/asset/20210531LIBRA-Vol21No6.pdf)

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.02.04更新

当事務所の泉澤章弁護士の寄稿文が『月刊マスコミ市民第625号』に掲載されました。桜を見る会を追求する法律家の会が安倍前首相を刑事告訴するなど、高まる世論を受け検察が事情聴取に動くなどした疑惑が嫌疑不十分で不起訴となった事件について、その一連の顛末を解説しています。

ぜひご一読下さい。

【リンク】月刊マスコミ市民(http://masukomi-shimin.com/introduction)

投稿者: 東京合同法律事務所

2021.01.13更新

泉澤章弁護士が雑誌『世界』2021年2月号に「私たちは追求するー桜を見る会疑惑 首相の犯罪に裁きを」という題で寄稿しました。

安倍前首相を刑事告発するに至った経緯と法律家のたたかいについて書いています。是非お読みください。

『世界』2021年2月号

投稿者: 東京合同法律事務所

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