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2020.05.26更新

 今年5月21日、弁護士と法学者662名が告発人となって、例年4月に行われている「桜を見る会」の前夜祭において、政治資金規正法と公職選挙法に違反する行為が行われた疑いがあるとして、安倍首相と後援会幹部2人を、東京地検特捜部に刑事告発しました。
 今回東京地検に提出された662名分の告発状は、当事務所の泉澤章弁護士らが中心となって立ち上げた「『桜を見る会』を追求する法律家の会」の呼びかけで、短期間の間に集まったものです。これほど多くの弁護士や学者が現職の総理大臣を刑事告発するのは、前代未聞のことです。今回はこの刑事告発について、そのポイントを解説します。

1.政治資金規正法違反
 告発事実の一つは、安倍首相の後援会が、前夜祭の主催者として、ホテルとの間で前夜祭を開催する契約を結び、後援会員から参加費を集めてホテルに支払っているにもかかわらず、その収支を、政治資金規正法において提出が求められている収支報告書に記載しなかったことです(政治資金規正法25条1項2号違反)。
 この点について安倍首相は、国会答弁で、前夜祭を開催するための契約は、個々の参加者とホテルとの間で結ばれたのであって、参加費も個々の参加者がそれぞれ支払っているのだから、後援会は一切関与しておらず、それゆえ収支報告書に記載がなくても違法ではない、と言っています。
 しかし、前夜祭の内容や金額の設定など、事前の準備はすべて安倍事務所(後援会)が行っています。参加者は、主催者である後援会から指示されるまま、5000円を受付で支払っただけで、会場の予約はもちろんのこと、宴会の内容や金額の設定にも、まったく関与していません。そのような参加者が、「ホテルとの間で契約を結んだ主体だ」などと言い張るのは、法的にはもちろん、常識的にも、到底認められるはずがありません。

2.公職選挙法違反について
 もう一つの告発事実は、後援会が、前夜祭に参加した後援会員に対して、1人あたり少なくとも6000円の酒食を無償で提供したことが、公職選挙法で禁止されている「寄附」にあたるということです(公職選挙法199条の5第1項違反)。
 前夜祭が行われたホテルでは、最近開催された過去の宴会の例からも、ホテル側の説明からも、1人あたり1万1000円以下で大規模な宴会を受け付けることはありませんでした。ところが、今回の前夜祭では、1人あたり5000円で行われたことになっています。これが事実だとしたら、差額の6000円は、主催者であり契約当事者である後援会が補ったのか、それともホテル側が特別に値引きしていたかのどちらかしかありません。
 もし前者であれば、後援会が差額の6000円を後援会員に「寄附」したことになり、公選法に違反することになります。そうではなく、後者であるとしても、後援会がホテルとの間で参加者に特別に値引きする交渉を行って「利益」を与えたことになり、これもまた「寄附」にあたります。
 安倍首相は、国会答弁で、何回もホテルを使っているので、いわゆる「いちげんさん」とは違った扱いを受けたのだ、などと「弁明」しています。しかし、後援会がホテルとの交渉で「顔をきかせて」値引きさせたということですから、結局、後援会が後援会員に特別な「利益」を与えたことに変わりはなく、同じように「寄附」にあたります。

3.安倍首相の関与について
 政治資金規正法違反で直接処罰されるのは後援会の会計責任者であり、公職選挙法違反で直接処罰されるのは後援の会代表者です。ただし、この2人は安倍首相と上司と部下の関係にあり、重要な運営については安倍首相に報告や相談をして、安倍首相の判断・決定を得たうえで行動しているとしか考えられません。しかも、同じような行為を、安倍首相が政権の座について「桜を見る会」を主宰するようになった2013年4月から2019年4月に至るまで、繰り返し続けられてきたのです。さらに前述した極めて非常識な国会答弁も、安倍首相自身の考えとして述べられています。安倍首相が、政治資金規正法や公職選挙法に違反する行為をしていた後援会幹部2人と「共謀共同正犯」の関係にあることは明らかといえます。

 今回告発状を受け取った東京地検特捜部は、今後、刑事事件として捜査し、起訴するか否かを判断しなければなりません。現職の首相という行政の最高責任者と対峙することとなる検察は、厳正公正・不偏不党の原則的立場を貫くことが求められます。特に、黒川検事長の定年延長問題などで検察不信、政権不信が高まっている今日、権力者に媚びたり屈服するような態度が見受けられれば、検察に対する国民の信頼を取り戻すことなど二度とできないでしょう。東京地検が今回の告発に対してどのような判断を示すのか、ぜひ注視していただきたいと思います。

【弁護士紹介】泉澤章

【関連記事】泉澤章弁護士が取り組んでいる「「桜を見る会・前夜祭」の刑事告発」が紹介されました。

投稿者: 東京合同法律事務所

2020.05.01更新

4月28日、ロイヤルリムジングループが600人に対して一斉解雇をした件について、労働者の方が、会社役員に対し、損害賠償を求めて提訴しました。
今回の提訴は、労働者の方の尊厳と生活を顧みない役員の責任を明らかにし、原告の損害の救済を求めるものです。
提訴後、原告の方と当事務所の馬奈木厳太郎弁護士が会見を行いました。
この裁判と会見の模様は、日本テレビをはじめ、多くのメディアで取りあげられました。

【日本テレビ】
https://www.news24.jp/sp/articles/2020/04/28/07634073.html

【テレビ朝日】
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000182834.html

【時事通信】
https://www.jiji.com/sp/article?k=2020042800992&g=soc

【朝日新聞】
https://digital.asahi.com/sp/articles/DA3S14459899.html?pn=1

【毎日新聞】
https://mainichi.jp/articles/20200428/k00/00m/040/275000c

【日経新聞】
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO58607600Y0A420C2000000?s=4

【産経新聞】
https://www.sankei.com/smp/affairs/news/200428/afr2004280015-s1.html

【しんぶん赤旗】
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-04-29/2020042911_02_1.html

投稿者: 東京合同法律事務所

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