コラム

2026.09.15更新

弁護士 荒 井 新 二

1 国旗は「国家」のシンボル
 国旗損壊法(以下法という)が2026年7月17日に国会で成立し同月24日に施行された。国会審議では、国旗がシンボル(象徴)であることの意味が深く掘り下げられず、国旗尊重のスローガン的言辞が大手を振って国会を罷り通った感がある。
 しかし、よく考えてほしい。シンボルの先には必ず象徴される実体がある。鳩は平和の象徴である。シンボル化された鳩の実体は平和である。同じように国旗で象徴されるのは国家である。ハト料理に舌鼓をうっても「平和に対する罪」にはならない。国民感情としても誰も平和が毀損されたとは思わない。
 なぜ「日の丸」という、それ自体物理的な有体物を破損すると(自己保有の「日の丸」を含め)、刑罰を受けなければならないのか。

2 説明された保護法益
 国会審議では国旗を愛することは国民の一般感情であって、それを毀損することはその普遍的な感情を毀損するからと説明された。ことは刑事罰の問題であり、またリベラル主義の問題、自由主義の問題である。そのような底の浅い議論で済ませる訳にはいかないだろう。
 象徴されたところの「国家の尊重」の意味、刑罰で罰する必要性について、十分に深い審議がなさなかった。ただ外国旗損壊規定を持ち出す答弁が頻用されたことだけが目立った。しかしこの規定は多くが有識者が指摘するように外国旗を自国民が侮辱すれば、その国との円満な外交が阻害されることを防止する立法趣旨である。このことを区別せず一緒くたにしてまことしやかに説明する国会はそれ自体、異様と言うほかない。
 そういう次第になった経過について国会参考人の学者が指した「法が内閣法制局の厳格な審査を経る閣法でなく自民や維新の議員諸公による議員立法だった」は、この法の形式・内容の異質さの図星をついている。
 シンボル・象徴を刑罰で守る初の独立立法である。シンボルを刑罰で守ることの意味、その問題性を議員諸公は理解しているのか。その立法に与える負の波及効果をどう考えたのであろうか。
 一部に刑法の「礼拝所及び墳墓」象徴毀損罪が既に先例としてあるとの指摘もある。しかし同犯罪は霊魂などの非実体を象徴するものに過ぎない。客観的な有形物でないからこそ崇敬尊重されるのであって、国家=日の丸とはシンボルの性質を異にする。
 その意味でも、社会的な実体のシンボルを「不敬」として立法したことの意味は重い。シンボルとは、曰く言い難い抽象物を分かりやすく伝達する機能を持つ。この法が立法類型の境界を越えたことは、この種「不敬」罪の立法の試みが様々な形で今後頻出することをなによりも危惧する。

3 国家を大事にするのは共通の国民感情と言う言説
 先に述べたように法の保護法益は、国旗を大事にする(レスペクトする)「国民の共通感情」と説明された。もう一度言いたい。国旗を大事にするということは、国旗に仮託された「国家」を大事にするということであって、それ以上でも以下でもない。
 ところが法には「国家を大事にする」というナラティーブが正面切って明示されず、法案の字面、立法「理由」にも全く出てこない。定義規定を含め僅かの3条しかないのにである。
 国民は国家を大事にする一般感情を持つという事実は、どのように検証されたのか。また国家を大事にするべしという規範を、いつ、どこで誰が決めたと言うのか。 国歌国旗法制定(1999年)の国会審議では「君の代」「日の丸」を尊重せよとの議論は一切なく、これらを強制しないと言う政府説明があった。
 「国民感情」について実証的な検証および制裁の根拠に関する厳格な審査か必要不可欠である。そういう議論をほとんど行わず法案成立に至ったことは大きな禍根を残した。
 その意味でも今回の法は欠陥法と言えよう。

4 「日の丸」の来歴
 国旗である「日の丸」は、明治維新前後から広まった近代の産物である。戦前の絶対天皇国家の旗印と生まれ、その後「国体」を象徴するものとなった。その「国体」のなかみがグロテスクな変幻自在ぶりを発揮して、自由と権利の抑圧の暴力的な手段として駆使されたことは戦前の歴史的な事実である。戦後、主権が天皇から国民に移行し国の根本が変わり、すなわち「実体」が転換した以上、「日の丸」の意味に劇的な変化が生じた。それに伴い持続した(本来そうすべきでなかった)「日の丸」に対する国民感情も戦後に反転し、「日の丸」にたいする国民感情は複雑化し流動化していったこともまぎれもない歴史的な事実である。
 「日の丸」を愛することが一般的ないし普遍的な共通感情だと言うのは、「普遍」「一般」という点において、日本の近代史に反する強引な誤訳であろう。そのような「日の丸」の歴史、来歴、そのことに対する戦前、戦後を含めた明治以来の国民の感情と推移を十分に吟味することが必要であった。そのような議論をまともにせず、一方的に「一般感情」「普遍的な感情」をあたかも既存の確定的事実のようにして強引に立法化を図ったことは、立法の府たる国会の責務を果たしたことにならない。国民の国旗=国家に対する感情・認識を封印する結果となったと思われる。それは国旗に託された筈の国民統合の機能をかえって害しかねないパラドックスを生んだと言えよう。
 フランス革命は、ブルボン絶対王制の国旗とも言うべきブルボン家の紋章が怨嗟の的となり、人民の旗の三色旗が1794年に正式に国旗と定められた。特定の国旗に対するレスペクトというものは歴史通有的なものではない。時々の国家の政体・政治と不即不離の関係にあって、それと離れて独立に、普遍的な尊崇の対象になるものではない。国旗も歴史とともにある。「日の丸」も決して例外ではない。「日の丸」の来歴に見て見ぬフリをすることはできず、これに「懐かしい郷土」、「愛すべき自然・風土」はては「美しい国」などの非実証的でロマンチックな言辞を飾りたてるようなことは、法が法である以上、できないのである。

5「愛国主義的精神」は道徳論           
 一部に教育基本法2条五号に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」という文言を引用して、愛国心の保持は法で既に保護されているとの議論がある。しかしこれは道徳を含めた教育の目標をうたったものに過ぎない。それを新設した安倍首相もこれを強制に繋がるものとは考えないと言明していた経緯がある。当時の担当の文科大臣も「我が国」には政府などの今日の統治機構を含まないと明言していた。
 今回の法は、対象の範囲から、国の統治自体、政治のあり方を除外するものになっていない。郷土、風土、自然、古里、古来の風習などのイメージで語られるものだけに限定する趣旨もない。それに道徳上の問題ではなく、刑罰の問題であって、教育上の規定とは次元を明らかに違う。教育基本法を引用しての上記言説も容れられないと考える。
 私は、国民の国家を愛する問題はともかくとして、国家は愛されるべき存在であるべきだとは思う。大は国民の感情としても、小は個人的な感情(道徳感情)のうえでも国を愛したいと思う。しかし国から自分(クニ)を愛せよと言われることに大きな違和感を持つ。ましてや刑事制裁を背景に国を愛せよと言われたくない。
 愛国心というものは、自然に涵養され時間的び醸成される気持ちである。プーチンのロシア、トランプのアメリカあるいは形は違うが神託政治のイランなど、当該国民(の一部にしろ)が本心から国を愛せないと言う事例がありうるし、今日現在の事態はそうあって当然であると思う。
 上からの愛国主義的意識の押しつけ、愛国思想の強制・動員は筋違いどころか、刑罰権の保有を含めて国家権力を専横する国家として全くの間違いである。

6 刑法の構成要件が甘く、国民の分断を強める
 法の審議では思想・良心に渉らないように客観的に判断するから人権侵害の恐れはないと説明された。象徴には、既述のとおり一般に説明しがたい抽象的なことをイメージ的に分かりやすく示す機能がある。その物理的損壊を刑事罰に問うとき、行為者の意図、思想が必然的に問題となり、そこに思想・良心への侵害の恐れが生ずる。
 法の説明では、そのことを回避して客観的な判断を担保するため、法に「快・不快あるいは好き・嫌い」の基準で判断する旨の規定をおいたと言う。「快・不快あるいは好き・嫌い」は、人々の気分で左右される主観的要素である。客観的な判断を担保するために超主観的な基準を導入するとは、悪い冗談としか思えない。これでは裁判官たちも法の運用に躊躇することになろう。参考人がこの法は使い物にならないと嘆じたのも肯ける。超主観的な感情に基づいて刑罰をきめようとするのは刑法的にもあまりに乱暴である。立法者は「あくまで一般通常人を基準として」判断すると言うが、一般通常人とは、多数派の別名であろう。多数派の感情の持ち方で刑罰が決まるのは少数者の権利に対する重大な侵害になりうる。
 さらに主観的な感情を標識にすることは国民感情を必要以上に揺さぶることがありえるし、その分別が微妙であるだけに国民の意見や思考基盤をも一層に分断することにも繋がる恐れが否定できない。刑法規定が主観的な要素を多く含むことの問題は戦前の例をみるまでもなく、時代錯誤である。とうとう「ルビコンを渡った」のではないか、との危惧は深刻である。

7 リベラル主義に反する
 そもそも国に対する好悪の感情の持ち方はその人の個人の自由である。国家成立以前の始原的な自由である。それが近代国家の原理であろう。崇敬・尊敬、畏敬などのレスペクトは、君主制国家や独裁国家でなければ、国の方から国民に向かってあれこれ言い干渉することではない。それは思想表現の自由。否!、それ以前の内心・良心の自由の問題である。法は、その内心・良心に向けて「国家を愛することは大事なこと、刑罰に架けるべき順守事項だ」と国民の耳許で囁き、恭順を強いようとする。
 国をどう思うかは、個人に放っておいて貰いたい道徳徳目である。国から戦中・戦後何度も裏切られてきた沖縄県民、近くは誤った運用に謝罪も受けられず差別扱いを強いられる社会保障利用者、失われた30年にいまなお呻吟する非正規あるいは女性労働者たち、それにえん罪被害者たち・・・etc。
 国に対する崇敬・尊敬、畏敬を持とうにも持てない、心に異論や留保を保持する国民が現に存在する。彼らのことを無視して「国を大事だと思う気持ち」が国民の共通感情と言い立てることはできない。国を愛せない者が国旗を愛せ(る筈も)ない。法は複雑で価値観が錯綜する今日の多様な国民感情をありのままに考量しようとしていない。ただ国を愛するという幻覚・幻想と一方的な願望のうえに策定された刑罰はリベラリズムに逆行すると言う他ない。

8 自由主義の政治基盤を崩す                           
 国が嫌い、不快だと公然と言えることは近代国家としての自由主義の基盤である。個人・集団の別なく、その思いを外部に表明することは、非暴力である限り(他の法益を侵害しない限り)許される筈である。市民的不服従は、憲法の定めるように、広く個人の尊厳的行為として尊重されなければならない。自分で保持する日の丸(国家を仮託された象徴物)に、抗議する意味で毀損する表現活動は-公然であろうとなかろうと-、保障される事柄である、まして、それが内心の思いを昇華する創作活動のうえの行為であれば、芸術活動として憲法の「表現の自由」に属する。それを許容できない国家は立憲主義の名にふさわしくない。ましてやそれを刑事的サンクションンで担保すると言うのでは、近代の自由主義に反すると言わざるを得ない。このような法はただちに廃止されるべきだと願う。
 私は反国民的とか平和主義でないとか言われずに、これからもハト料理を静かに楽しんでいきたい、切にそう思う。

 

投稿者: 東京合同法律事務所

2026.08.21更新

弁護士  前 川 雄 司

 シンドラー社製エレベーター事故が起こってから20年が経過しました。
 遺族の代理人の一人として関与してきましたので、事故の経過と課題をまとめておきたいと思います。

事故の経過

 2006年6月3日、東京都港区シティハイツ竹芝でシンドラーエレベータ株式会社(以下「シンドラー社」といいます。)製エレベーターの戸開走行により高校生が死亡する事故が起こりました。
 遺族は警視庁、東京地方検察庁、国土交通省、シンドラー社(事故機のメーカー・保守管理会社)、エス・イー・シー・エレベーター株式会社(以下「SEC社」といいます。)(事故機の保守管理会社)、港区(事故機の所有者)など関係各機関に再三にわたり事故原因の解明・再発防止対策の実施・法的責任の解明を申し入れましたが、十分な説明が受けられないまま1年半が過ぎ、2007年暮れには八方塞がりの状態になってしまいました。

 遺族と高校生や父母などの支援者は、東京地方検察庁、警視庁、国土交通省宛の3種類の署名(「事故原因の全面解明と刑事責任の厳正な解明、再発防止対策の早期実行を求める要請書」)を集めることを決め、2008年1月から寒風の吹きすさぶ街頭に立ち、署名を集め始めました。3種類の署名は半年足らずでそれぞれ13万筆を超え、合計40万5859筆の署名を2008年6月3日に提出しました。同年11月21日までの署名総数は46万7642筆にのぼりました。

 これが転機となって、東京地方検察庁、警察庁(警視庁宛の署名でしたが警察庁が対応しました。)、国土交通省の対応が変わりました。新設エレベーターへの戸開走行保護装置(いわゆる二重ブレーキ)設置義務付け(2008年9月19日建築基準法施行令改正・関連告示整備、2009年9月28日施行)、建築確認申請時に保守点検マニュアルの添付義務付け(2008年11月28日建築基準法施行規則改正、2009年9月28日施行)、国土交通省による事故機の調査(2008年12月)と昇降機等事故対策委員会の設置(2009年2月)、関係者の起訴(2009年7月)、昇降機等事故対策委員会の事故調査報告書の公表(2009年9月)などにつながっていきました。

 遺族は2008年12月にシンドラー社、SEC社、株式会社日本電力サービス(以下「日本電力サービス社」といいます。)(事故機の保守管理会社)、港区、財団法人港区住宅公社(以下「港区住宅公社」といいます。)(事故機の管理者)に対して損害賠償請求訴訟を提起し、2009年には刑事裁判に被害者参加しました。
 しかし、遺族はそれらの裁判だけに限定することはありませんでした。日本航空ジャンボ機墜落事故をはじめ、さまざまな事故被害者のつながりに参加し、消費者庁設置運動などに参加していきました。

 こうして、2016年8月30日には消費者安全調査委員会が特別にこの事故を取り上げて調査報告書を出すに至りました。遺族と支援者の活動は事故原因の解明と再発防止のために大きな役割を果たしました。

 刑事裁判は、東京地方裁判所で2013年3月11日に第1回公判が開かれ、2015年2月19日の第57回公判で結審となり、同年9月29日に一審判決がなされ、シンドラー社関係の被告人が無罪、SEC社関係の被告人らが有罪となりました。しかし、東京高等裁判所に控訴され、2018年1月26日と同年3月14日に控訴審判決がなされ、全員無罪となりました。

 損害賠償請求訴訟では、2017年9月27日に裁判官3名が遺族の活動に敬意を表する画期的な和解勧告を行い、同年11月24日に和解が成立しました。
 和解条項において、被告らは深く遺憾の意を表し、社会的・道義的責任を果たすべく、互いに協力し合って、不断の意思をもってエレベーター事故の再発防止のために全力を挙げて取り組んでいくことを確約するとともに、解散した港区住宅公社を除く被告らは原告(遺族)に対し連帯して相当額の和解金を支払い、和解条項や覚書で定めた再発防止対策を履行しています。
 たとえば、港区は事故の日である6月3日を「港区安全の日」と定め、毎年、遺族とともに安全のための講演会を開き、遺族を講師とする職員研修を行い、戸開走行保護装置の設置を率先して行うなど再発防止に努めています。
 また、港区は、エレベーター事故を契機として区が取り組んできた区有施設等の安全に対する姿勢が今後も変わらないことを内外に発信していくとともに、エレベーター事故に関する区民の記憶が風化することを防ぐため区役所本庁舎正面玄関横に「安全の碑」を設置し、2025年3月23日、区長、副区長、教育長、議長、副議長、赤とんぼの会代表で遺族の市川正子さんが出席し、除幕式を行いました。
 和解の当事者ではありませんが、国土交通省は再発防止のための講習会を全国各地で開き、その講習会に遺族を講師として招くなどの取り組みを続けています。

事故の課題

事故原因はどこまで解明できたか

 昇降機等事故対策委員会の事故調査の結果、本件事故は、事故機のブレーキの電磁石のコイルの巻線が途中で短絡(ショート)し、ブレーキを開放する電磁石の力が弱くなったため、ブレーキが半がかり状態で昇降を繰り返し、それによってブレーキライニングの摩耗が進行し、ブレーキのプランジャー(電磁力で動く鉄芯)が移動限界に達したため、ブレーキがきかなくなり、かご(人を乗せて走行する箱状の部分のこと)の戸が開いていたにもかかわらず、突然、かごが上昇して起こったことが報告されています。

 事故機のブレーキには、ブレーキライニングの摩耗が進むとプランジャーが移動し、移動限界に達するとブレーキがきかなくなるという構造上の特性がありました。ブレーキがきかなくなると、かごの戸が開いているにもかかわらず走行する戸開走行が起こってしまい、死亡事故につながるおそれがあります。戸開走行事故を防ぐためには、日常の保守点検(定期点検)によって、プランジャーが移動限界に達する前にブレーキを調整することが必要なのです。

 ところが、事故機のブレーキには、プランジャーの移動限界を目で見て確認できないという構造上の特性がありました。そのため、シンドラー社は取扱説明書(保守点検マニュアル)で、連結ピンとストロークインジケータの隙間(R寸法)を測定すること、そしてR寸法がほぼ0に等しい場合ブレーキを調整することを定めていました。プランジャーが移動限界に達するとR寸法が0になるようになっているので、R寸法が0になる前にブレーキを調整すれば、プランジャーが移動限界に達してブレーキがきかなくなるのを防げるというわけです。

 では、本件事故のときは、なぜ、R寸法が0になる前にブレーキを調整しなかったのでしょうか。

 本件事故直前の定期点検は2006年5月25日にSEC社が行いました。本件事故は同年6月3日に起こりましたから、その9日前です。定期点検は月2回行われていましたので、次の定期点検日の前に本件事故が起こったことになります。したがって、定期点検によってR寸法が0になる前にブレーキを調整することができたのは、本件事故直前の同年5月25日の定期点検が最後の機会だったことになります。

 ところが、刑事裁判の東京高等裁判所判決は、本件事故直前の定期点検の後に異常摩耗が発生・進行し事故に至った可能性があるとしました。この判決がいうように、事故直前の定期点検の後に異常摩耗が発生したのだとすると、事故直前の定期点検のときにはまだR寸法がほぼ0に等しい状態にはなっていないので、SEC社がブレーキを調整しなかったのは問題なかったことになります。

 そして、事故直前の定期点検の後に異常摩耗が発生・進行し事故に至ったのだとすると、異常摩耗が発生してから本件事故に至るまでの間に定期点検は行われないのですから、定期点検で本件事故を防ぐことは不可能であり、本件事故機は定期点検では事故を防げない欠陥エレベーターだったことになります。

 では、この判決は、本件事故機を欠陥エレベーターであると認定したのでしょうか。

 この判決は事故直前の定期点検のときにすでに異常摩耗が発生していた可能性も否定していないのです。事故直前の定期点検のときにすでに異常摩耗が発生していたとすると、そのときにR寸法がほぼ0に等しい状態になっていた可能性があり、R寸法がほぼ0に等しい状態になっていたにもかかわらずSEC社がブレーキを調整しなかったとすると、SEC社の保守点検に問題があったことになります。

 結局、東京高等裁判所判決は、異常摩耗が発生したのがいつかという最も重要な事実を認定することができなかったのです。

 刑事裁判としては、証拠が不十分で有罪か無罪か確信が持てない場合、被告人に有利な無罪の判断をするのが原則ですので、無罪判決で終結となります。
 しかし、事故原因の解明と再発防止対策としては、事故直前の定期点検のときに異常摩耗が発生していた可能性も発生していなかった可能性もあるということでは、事故原因の全面的な解明ができていないことになります。
 適切な再発防止対策をとるためには、事故原因の解明が引き続き課題となります。

 では、なぜ、異常摩耗が発生したのがいつかという最も重要な事実を認定することができなかったのでしょうか。

 その最大の原因は、定期点検報告書にR寸法の実測データを記載せず写真の添付もしなかったことです。
 事故直前の定期点検報告書にR寸法の実測データが記載され写真が添付されていれば、そのときにR寸法がほぼ0に等しい状態になっていたか否かは一目瞭然だからです。
 このことはとても重要なことだと思うのですが、あまり指摘されていないようで残念です。

 それによって、何が変わるでしょうか。
 そのときの実測データや写真でR寸法がほぼ0に等しい状態であれば、シンドラー社の取扱説明書(保守点検マニュアル)でブレーキを調整することが定められていましたから、SEC社がそれに従ってブレーキを調整すれば本件事故を防げたことになります。
 それにもかかわらず、SEC社がブレーキを調整せず本件事故に至った場合、事故直前の定期点検報告書に記載されたR寸法の実測データと添付された写真により、そのときにR寸法がほぼ0に等しい状態になっていたことを証明することができますから、起訴も裁判ももっと速やかになされたはずで、2006年6月の本件事故から2009年7月の起訴を経て2018年3月の東京高等裁判所判決まで11年以上にわたる長期の刑事捜査と刑事裁判に遺族が苦しむ必要はなかったはずです。

 そのときの実測データや写真でR寸法がほぼ0に等しい状態でなければ、検察官はSEC社の関係者を起訴しなかったでしょうし、本件事故直前の定期点検の際にブレーキを調整すべき特段の状況が認められないかぎり、本件事故機は定期点検では事故を防げない欠陥エレベーターであった可能性が高くなります。
 そうなれば、同型機の使用停止命令や戸開走行保護装置設置義務付け等の再発防止対策を速やかに取ることができたのではないでしょうか。
 そして、そのような再発防止対策がとられていれば、石川県金沢市の本件事故機と同型のエレベーターによる戸開走行死亡事故を防ぐことができたのではないでしょうか。

 では、なぜ、SEC社は、定期点検報告書にR寸法の実測データを記載せず写真の添付もしなかったのでしょうか。

 SEC社は、シンドラー社が作成した取扱説明書(保守点検マニュアル)を持っておらず、「連結ピンとストロークインジケータの隙間(R寸法)を測定すること、そしてR寸法がほぼ0に等しい場合ブレーキを調整すること」という技術情報を持っていなかったので、R寸法の測定すらしていませんでした。

 なぜ、SEC社は、シンドラー社が作成した取扱説明書(保守点検マニュアル)を持っていなかったのでしょうか。

 本件事故当時、エレベーターメーカーは、エレベーターの構造や保守点検方法、保守点検の際の留意事項などの技術情報が記載された保守点検マニュアル等を公開していませんでした。
 シンドラー社のようなメーカーやメーカー系保守業者とSEC社や日本電力サービス社のような独立系保守業者の間には、①専用部品の納期を不当に遅らせる、②専用部品の販売価格を不当に高くする、③独立系保守業者に委託するとトラブルがあるなどの不利益情報を流布するといった「不当な取引妨害」などの深刻な対立が指摘されていました。

 本件事故機の保守管理はずっとSEC社が行っていたのでしょうか。

 本件事故機の保守管理は、設置された1998年度は設置会社による無償の保守管理としてシンドラー社が実施し、1999年度から2003年度までは随意契約により港区住宅公社からシンドラー社が受託して実施しましたが、港区が2003年度から原則としてエレベーター等の保守点検についてのメーカー推薦を認めない方針を打ち出したため、港区住宅公社も指名競争入札で保守点検業務受託者を決めるようになり、2004年度はシンドラー社が落札して受託・実施し、2005年度は日本電力サービス社が落札して受託・実施し、2006年度はSEC社が落札して受託・実施し、同年6月3日本件事故が発生しました。
 2002年度から2006年度までの受託者と契約金額は次のとおりです。
  2002年度 シンドラー社    4,460,400円
  2003年度 シンドラー社    4,460,400円
  2004年度 シンドラー社    3,645,600円
  2005年度 日本電力サービス社 1,663,200円
  2006年度 SEC社      1,209,600円
 契約金額は、2005年度は2003年度の37%、2006年度は2003年度の27%になっています。

 日本電力サービス社やSEC社は、シンドラー社に取扱説明書(保守点検マニュアル)の提供依頼を行ったのでしょうか。

 日本電力サービス社とSEC社は、シンドラー社に取扱説明書(保守点検マニュアル)の提供依頼を行っておらず、取扱説明書(保守点検マニュアル)を持っていませんでしたし、ブレーキライニングの摩耗量やR寸法について測定していませんでした。

 シンドラー社は、港区住宅公社や港区、日本電力サービス社やSEC社に取扱説明書(保守点検マニュアル)を渡さなかったのでしょうか。

 シンドラー社は、港区住宅公社や港区、日本電力サービス社やSEC社に取扱説明書(保守点検マニュアル)を渡していませんでした。

 港区住宅公社や港区は、本件事故機の保守管理がシンドラー社から独立系保守業者に変わるにあたって、取扱説明書(保守点検マニュアル)について何らかの対応をしたのでしょうか。

 港区住宅公社や港区は、シンドラー社に対して保守点検マニュアルを提供するよう依頼を行っておらず、取扱説明書(保守点検マニュアル)を保有していませんでしたし、指名競争入札にあたって、指名基準として取扱説明書(保守点検マニュアル)を保有していることを求めていませんでした。
 また、日本電力サービス社は本件事故機の保守点検業務を受託するまでエレベーターの保守点検業務を行ったことがありませんでした。

 では、シンドラー社が保守点検を行っていたときは、定期点検報告書にR寸法の実測データを記載し写真の添付をしていたのでしょうか。

 シンドラー社も定期点検報告書にR寸法の実測データを記載せず写真の添付もしていませんでした。
 検察官は、シンドラー社が保守点検を行っていたときに異常摩耗が発生していたとしてシンドラー社関係の被告人も起訴していましたが、東京地方裁判所も東京高等裁判所もそれを認めませんでした。
 しかし、シンドラー社が定期点検報告書にR寸法の実測データを記載し写真を添付していれば、その定期点検のときにR寸法がほぼ0に等しい状態になっていたか否かは一目瞭然です。
 そのときの実測データや写真でR寸法がほぼ0に等しい状態でなければ、検察官はシンドラー社の関係者を起訴しなかったでしょう。
 そのときの実測データや写真でR寸法がほぼ0に等しい状態であれば、定期点検報告書に記載されたR寸法の実測データと添付された写真により証明することができますから、起訴も裁判ももっと速やかになされたはずで、11年以上にわたる長期の刑事捜査と刑事裁判に遺族が苦しむ必要はなかったはずです。

再発防止対策はどこまで進んだか

 遺族と支援者は、利用者の安全のために、①既設のエレベーターを含め全てのエレベーターについて最新の保守点検マニュアルや技術情報がメーカーから所有者・管理者・保守管理業者に確実に提供されること、②年1回の定期検査時だけでなく日常の保守点検時や不具合対応時などの全ての作業報告書に実測データや写真など具体的状況を示す情報が記録され共有されること、③既設のエレベーターについても戸開走行保護装置が設置されること、④メーカー、独立系保守管理業者、所有者、管理者が互いに協力し合ってエレベーター事故の再発防止のために全力を挙げて取り組むこと、⑤緊急時の初動体制・救助体制確保に向けた取組みを促進すること、⑥被害者支援室を設置することなどを訴え続けてきました。

 国土交通省は、①確認申請への保守点検マニュアルの添付義務付け、②年1回の定期検査報告への実測データ等を記載した検査結果表や写真の添付義務付け、③戸開走行保護装置の設置義務付けを行い、「昇降機の適切な維持管理に関する指針」及び「エレベーター保守・点検業務標準契約書」を公表しました。

 しかし、①約70万台あると言われた既設のエレベーターについては保守点検マニュアルの提供も戸開走行保護装置の設置も義務付けられておらず、②実測データ等を記載した検査結果表や写真の添付義務付けも年1回の定期検査だけで日常の保守点検等については義務付けられていません。

 そのような状況を踏まえて、消費者安全調査委員会は、2016年8月30日、本件事故の事故等原因調査報告書を決定しました。この報告書は、事故原因調査と再発防止対策の到達点であり、安全確保のために取り組むべき課題を明らかにしたものですので、常に再確認して課題に対する取り組みの進捗状況を検証する必要があります。

1 消費者安全調査委員会の事故等原因調査報告書の概要

<結論>
 本件事故においては、エレベーターの「止まる」という安全性が確保されなかった。これは、本質安全の考え方に基づくシステムのうち、最も重要な機械機構であるばね力で「止まる」状態を維持する仕組みが機能しなかったためである。その要因としては、まず、機械機構が機能するために必要な、保守管理を考慮した装置の設計について、保守点検員(人)に頼りすぎた機械、つまり保全性(メンテナビリテイ)が低い機械であったことが挙げられる。
 次に、設計されたシステムを適切に運用(保守管理)するために必要な3つの要素、すなわち「情報伝達」、「情報に基づく保守管理の遂行」、「作業を行う人材の質の確保」の全てが不十分であったことが推定される。保守管理が不十分となった社会的な背景として、エレベーターの所有者・管理者及び保守管理業者の在り方が変化し、保守管理業務委託契約を締結するに当たって必要な情報が変化しているにもかかわらず、関係者の意識や行動がそれに伴って変化しなかったことがあると考えられる。
 加えて、本質安全の考え方に基づくシステムが機能しない場合を想定した制御安全の考え方に基づくシステム、すなわち機械的に独立した二重系ブレーキや戸開走行保護装置等の制御装置の設置もなされていなかった。
 さらに、本件事故は、人の生命に関わる緊急性を要する事故であったが、正確な情報が伝達されていなかったため、事故発生当初に、事故の態様、規模に応じた適切な体制が確保できていなかった。

<意見>
 エレベーターは、多くの人が長期にわたり日常的に利用する機械であり、事故が一たび起こると、人の生命に関わるなどの重篤な被害が生じ得る。エレベーターが「止まる」ための機械機構のうち、最も重要な、ソレノイドの通電を断ってばね力で「止まる」状態を維持する仕組みが機能するためには、まず、機械の保全性が確保された設計となっていることのほか、保守管理の手段・手順が適切に設計され、それらの設計に基づいて、システムが適切に製造・運用(保守管理)されることが不可欠である。
 そして、システムの運用(保守管理)に当たっては、保守管理に必要な情報が得られること、その情報に基づき適切な保守管理が遂行されること、及び人材の質が確保されることが必要である。
 また、制御安全装置の一つである戸開走行保護装置の設置は、エレベーターの本質安全が100%確保され得ない以上必要不可欠であり、その認識の下、平成21年に改正された建築基準法において、新設のエレベーターについて戸開走行保護装置の設置の義務付けがなされている。しかし、約70万台あると言われる既設のエレベーターについては、法律不遡及の原則により戸開走行保護装置の設置は義務付けられておらず、そのような既設のエレベーターにおいては、未だ戸開走行の危険性が残存している。
 消費者安全調査委員会は、全てのエレベーターにおいて安全性が確保されなければならないと考える。そのためには、これまでに述べたとおり、設計、製造、運用(保守管理)などのあらゆる段階で、製造業者、保守管理業者、所有者・管理者、行政等、社会全体が関与する必要がある。
 以上を踏まえ、国土交通省は、エレベーターは建築物の中にあっても機械としての安全を確保すべき設備であるという観点から、以下の点について取り組むべきである。
国土交通大臣への意見
(1)保全性を確保した設計の徹底
  製造業者の責任において、エレベーター自体の設計が、保守管理に関する技術情報及び一定の技術力を持つ保守点検・検査員であれば、適切な保守管理を行うことができるものとなるよう、製造業者の対応を促すなど必要な措置を講ずること。
(2)適切な保守管理の実現
 ①保守管理に関する情報の伝達についての措置の実施
  既設のものを含む全てのエレベーターについて、製造業者が、所有者・管理者及び所有者・管理者から委託を受けた保守管理業者に対し、保守点検マニュアルを提供することを製造業者に促すなどし、所有者・管理者及び保守管理業者が確実に最新の情報を入手できるよう、必要な措置を講ずること。
 ②情報に基づく保守管理の遂行のための措置の実施
 ・保守点検マニュアルに、対象エレベーターの特徴等を踏まえた点検項目、点検内容及び目安となる点検周期のほか、ブレーキ等安全に関わる装置の構造、調整方法、作業手順、部品の交換基準等、保守管理業者が当該エレベーターの保守点検を適切に行うために必要な内容が、製造業者の責任において定められるよう、製造業者の対応を促すなど、必要な措置を講ずること。
 ・既設のものを含む全てのエレベーターにおいて、所有者・管理者と保守管理業者の間で具体的な点検周期を定めた上で、保守点検が保守点検マニュアルの中で具体的に定められた点検項目や点検内容に沿って行われるように、国土交通省が平成28年2月19日に公表した「昇降機の適切な維持管理に関する指針」及び「エレベーター保守・点検業務標準契約書」(以下、あわせて「維持管理指針等」という。)の周知・普及等を行うとともに、維持管理指針等の内容がより具体的かつ実務的なものとなるよう、必要な措置を講ずること。
 ・チェックすべきポイントについては写真や実測データ等をもって保守点検結果の報告が行われるように、維持管理指針等の周知・普及等を行うこと。
 ・維持管理指針等の周知・普及等を行うとともに、それらの内容が具体的かつ実務的なものとなり、保守管理業者によって以下の対応が確実に実施されるよう、必要な措置を講ずること。
 (a)不具合対応後に作成される作業報告書等には、保守点検員が取得した不具合情報について、写真や実測データ等、不具合の状態が分かるような記録が添付されること。
 (b)保守点検員が不具合情報を取得し、何らかの判断をした場合やそれに基づいて修理等の作業を行った際には、その判断理由及び処置内容等を正確かつ詳細に上記の作業報告書等に記録すること。
 (c)上記の作業報告書等が、保守管理業者から所有者・管理者へ確実に提出されること。
 ③保守点検員の技術力を担保するための措置の実施
 ・製造業者や保守管理業者による研修を受講させるような教育制度の整備等により、保守点検員として要求される技術力が担保されるよう、必要な措置を講ずること。
 ・エレベーターの仕様や機種に応じて保守点検員が継続的に知識を習得することができるよう、必要な措置を講ずること。
 ④指針等の周知・普及及び改善等の実施
維持管理指針等の周知・普及を図り、一定期間経過後に、維持管理指針等の活用度や、維持管理指針等が所有者・管理者にとって活用しやすいものとなっているかを調査し、必要な改善に努めること。
(3)既設のエレベーターに対する戸開走行保護装置の設置の促進
 ①既設のエレベーターについて、戸開走行保護装置設置がどの程度進んでいるのかに関し、平成21年の改正建築基準法施行令施行後の進捗状況を把握・分析すること。
 ②上記分析の結果を踏まえた対策に加え、引き続き、設置が容易で確実な装置の開発支援や、所有者の意識の啓発など、戸開走行保護装置の設置の普及促進のための対策を検討・実施すること。
 ③上記所有者の意識の啓発を行うに当たっては、所有者・管理者が、製造業者及び保守管理業者の協力を得て、共に戸開走行保護装置の設置に関する検討を行うよう、製造業者、保守管理業者及び所有者・管理者へ促すこと。
(4)所有者・管理者への働き掛け
 所有者・管理者に対して、維持管理指針等の普及等により、エレベーターの維持保全義務が課されていることを周知するとともに、既設のエレベーターへの戸開走行保護装置の設置に関する意思決定や、保守点検マニュアル及び不具合に関する情報等の取得・保存、これらを確実に保守管理業者に渡すこと、さらには緊急時の通報訓練への参加など、エレベーターの維持管理に主体的に関わることの重要性について啓発すること。
(5)緊急時の初動体制・救助体制確保に向けた取組の促進
 ①製造業者に対して、手動ハンドル等の救助装置について、機器等に直接明示したり、保守点検マニュアルに記載するなどの方法によって、装置に関する情報が、保守点検員に確実に伝達されるように促すこと。
 ②保守管理業者に対して、通報受信時の確認項目及び初動体制・救助体制等を定めた社内マニュアルの整備並びに通報訓練等の実施を促すこと。
 ③所有者・管理者に対して、通報受信時の確認項目を定めたマニュアル等の整備及び通報訓練等の実施を促すこと。

2 私の補足意見

 再発防止のためには、①全てのエレベーターについて保守点検マニュアル等の技術情報が共有されること、②日常の保守点検等についてもチェックすべきポイントについて写真や実測データ等をもって保守点検結果の報告をすること、③全てのエレベーターに戸開走行保護装置が設置されることが必要です。

 保守点検マニュアル等の技術情報は、利用者の安全を守るための共通の土台です。メーカー及びメーカー系保守業者と独立系保守業者の競争は、その共通の土台の上でなされなければならず、技術情報の秘匿が競争の道具とされてはなりません。利用者の安全を犠牲にした競争は断じて許されません。

 チェックすべきポイントについて写真や実測データ等をもって保守点検結果の報告をすることは、保守点検のミスを防ぎ事故を防止することに資するうえ、不幸にして事故に至ってしまった場合でも、事故原因の早期解明と再発防止対策の早期実施に資することになり、本件事故で遺族が受けた長期にわたる苦痛を緩和するとともに利用者の安全を守ることにつながる極めて重要な事項です。

 これらの実施状況を定期的に調査して把握し、完全な実現を早期に達成することが必要であり、早期達成ができない場合は、義務付けを行うべきです。

投稿者: 東京合同法律事務所

2026.08.06更新

 夏になり、私の楽しみである登山もハイシーズンを迎えました。週末になると山岳遭難のニュースが流れてきます。特に昨今、富士山に軽装備で登る登山者や日帰りの弾丸登山で無理をして遭難する登山者などが多くなっているというニュースも耳に入ります。そんな中で静岡県や山梨県では、山岳遭難救助の「有料化」を検討するという話も出ているようです。山の遭難において救助の「有料化」は可能なのでしょうか。
 実はすでに山岳救助の「一部」を有料化している自治体があります。埼玉県です。同県では、県防災ヘリが出動する場合、一部の危険な山については出動5分ごとに8000円の手数料を被救助者から徴収しています。私が東京都と埼玉県にまたがる雲取山荘に宿泊したとき、山小屋の主人から「倒れるなら埼玉県側を避けてくださいね」と、冗談を言われたのもこれが原因です。通常、民間の救助ヘリを要請すると1時間で40~50万円はすることを考えると、1時間9万6000円の埼玉県はまだ良心的といえるのかもしれませんが、救助の有料化には賛否両論の声があげられています。
 有料化に踏み切った埼玉県も県警ヘリと消防ヘリは無償のままです。というのも、県警ヘリは警察法、消防ヘリは消防組織法によって無償が原則とされているからです。条例で自治体が有料化できるのは県防災ヘリに限られます。警察や消防の出動が有料化するには全国的な法改正が必要なのです。
 レジャーの事故は山に限らず、川や海、プールなどあらゆる場所で起こりえます。山岳救助の有料化は、将来的にこういったレジャー全般に広がりうる議論なのかもしれません。
 夏休みに入り、さまざまなレジャーに出かける方もいることと思われます。登山に限らず、安全を心がけて楽しんでもらえたらなによりです。

弁護士 油原 麻帆

雲取山山頂から

 

雲取山荘から

 

投稿者: 東京合同法律事務所

2026.07.07更新

東京合同法律事務所

弁護士 水口瑛葉

 

 2026年6月18日、HPVワクチンによる副反応被害について、参議院議員会館において、院内集会「HPVワクチン 提訴から10年 被害者のいま」を開催した。HPVワクチン薬害訴訟は、私が弁護士1年目から弁護団に所属している、集団訴訟である。
 この日の院内集会は、HPVワクチンの接種を、国が積極的に接種を勧めた以上、副反応被害者を切り捨てることなく、被害実態を把握し、治療と救済につなげることは国の責任であることを、あらためて訴えるための活動である。
 院内集会には、各党の国会議員本人15名、12名の秘書が参加した。
 冒頭、HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団より、裁判の現状と被害者を取り巻く状況が報告された。協力医療機関での治療は、多くは心因性に基づく症状という前提での認知行動療法等に留まり、免疫学的治療の研究や実施は十分になされていない。2022年にはHPVワクチンの積極的勧奨が再開され、接種率が60%を超える一方で、協力医療機関を受診する新たな被害者も増えている。それにもかかわらず、被害を訴える人々は「反ワクチン」とのレッテルを貼られ、社会的にも孤立させられている。
 全国から参加した原告らは、多くの症状を抱えながら10年間声を挙げ続けているのに、状況が変わらないどころか新たな被害者が出ている現状に、無力感を感じていると口を揃えた。九州訴訟の原告は、「この10年間、何が変わったでしょうか。何も変わっていません。私たちの被害は見捨てられたままです」「10年前から声を上げ続けてきたのに、その声が新たな被害者に届かなかったことが悔しくてたまらない」と述べ、裁判はゴールではなく、治療法の確立と再発防止に向けた出発点であると訴えた。東京訴訟原告の原告は、13年間、国の協力医療機関に通い続けてきたが、「動きなさい、日の光を浴びれば治る、心因性だから」と言われるばかりで何も変わらないと語った。協力医療機関が本来の機能を果たしていない現実がここにも示されている。
 他の原告からも、「病気と闘うことに疲れてしまった」「もう待ちくたびれている。」と、今なお続く深刻な被害の訴えがあり、積極的勧奨再開後に接種し、副反応が生じた新たな被害者からも、ビデオメッセージや手記が寄せられた。
 参加した国会議員からは、被害者らの訴えに胸を痛めている、治療研究を国の責任で進めること、被害者に寄り添う支援を実現すること、そして研究者や臨床家が「反ワクチン」とのレッテルによって萎縮しないように守っていくことが必要であるとして、原告・被害者らの救済を目指すために力を尽くしたい旨の力強い発言が相次いだ。
 国が勧めた接種によって生じた被害者を、放置したままにしてはならない。被害の実態を正面から把握し、副反応に関する治療法の開発を支援し、教育の機会を保障し、副作用被害者救済制度を柔軟かつ迅速に運用することが必要である。
 HPVワクチン薬害訴訟は、一斉提訴から10年を迎え、2027年4月から5月にかけて全国4地裁で判決が予定されている。
 被害者の人生は、いまも奪われたままである。この日の院内集会は、その現実を改めて確認する場となった。新たな被害を防ぎ、被害者が人生を取り戻すために、引き続き声を上げ続ける必要がある。

投稿者: 東京合同法律事務所

2026.04.03更新

東京合同法律事務所
弁護士 村瀬 はるか

 民法改正により、これまでの「離婚後は単独親権」という仕組みが大きく変わり、「選択的共同親権制度」が導入されることとなりました。つまり、離婚後に、父母双方を親権者と決めることも、父母の一方のみを親権者と決めることもできることになりました(新民法819条)。

 この改正は、離婚後も父母双方が子どもの養育に適切に関わり、その責任を果たすことが、子どもの身体やこころの健全な発達のために望ましいとの考えに基づくものです。

 今回は、弁護士の視点から、この新制度のポイントをわかりやすく解説します。

(本記事の内容は、2026年4月1日時点の法令、情報等に基づくものです。)

 

〇離婚後の親権をどのように決めるのか?
 これまでは、離婚時に必ずどちらか一方を親権者と決めなければなりませんでした。
 この点、新法では、父母の協議によって「共同親権」か「単独親権」かを選択できるようになりました(新民法819条)。
 また、父母間で協議が整わない場合や裁判離婚をするときには、家庭裁判所が親権者を決めることになりました(新民法819条2項、5項参照)。その際、裁判所は、子の利益の観点から、父母と子どもとのこれまでの関わり方や関係性、父母の関係性、その他の事情を考慮して、判断します(新民法819条7項)。

〇「共同親権」が認められないケース(必要的単独親権)
 子どもの利益を守るため、裁判所が必ず単独親権と決めなければならない場合が法律で規定されました(新民法819条7項柱書後段)。例えば、虐待やDVのおそれがある場合などが当たると考えられています。

〇共同親権下での「日常の判断」と「緊急の判断」
 「共同親権になると、習い事一つ決めるのにも相手の同意が必要で、生活が立ち行かなくなるのでは?」というご不安の声もよく耳にします。
 この点、新法では、円滑な生活のために、一方の親が単独で判断できる範囲を明確にしました。
①「監護及び教育に関する日常の行為」(新民法824条の2第2項)
食事の内容、服装、塾や習い事の選択、短期間の旅行、日常的な怪我や病気の治療、通常のワクチン接種、アルバイトの許可などは、一方の親が単独で判断できると考えられています。
②「急迫の事情があるとき」(新民法824条の2第1項3号)
救急手術が必要な場合や、DV・虐待から逃れるための転居、入学手続きの期限が迫っている場合などは、一方の親が単独で判断できると考えられています。

 一方で、進路の選択、転居、重要な財産の管理、15歳未満の子どもの氏の変更、15歳未満の子どもの養子縁組の承諾など、子の利益に重大な影響を及ぼす事項については、共同親権の場合には、原則として、両親の合意が必要となります。

〇既に離婚している方の親権者の変更
 選択的共同親権制度は、新法の施行前に離婚し、現在は単独親権となっている方にも適用されます。
 「離婚時はやむを得ず単独親権にしたが、現在は父母の関係も安定しており、共同で子どもを育てていきたい」という場合には、家庭裁判所に親権者変更の申立てを行うことで、共同親権への変更が認められる可能性があります(新民法819条6項)。


 共同親権の導入は、離婚後も子どもが両親から愛情を受け、健やかに成長するための大きな一歩とも言われています。
 一方で、個別のケースにおいては、「共同親権が本当に子どものためになるのか」、「どのようなルールを定めておくべきか」など、専門的で、非常に繊細な判断を要しますので、専門家へのご相談をおすすめいたします。
 特に、「DV・虐待の不安があるが共同親権を求められている」、「共同親権にしたいが、話し合いがすすまない」といったご不安を抱えている方は、お早めに専門家へご相談ください。
 新法に則した最適な解決策を一緒に考えていきましょう。

 私たち東京合同法律事務所(東京都港区)でも、離婚や親権に関するご相談を受け付けております。(女性弁護士も在籍しております。)

 ホームページやお電話からご予約のうえ、ぜひ一度ご相談ください。

(本記事の内容は、2026年4月1日時点の法令、情報等に基づくものです。)

投稿者: 東京合同法律事務所

2026.02.13更新

東京合同法律事務所
弁護士 泉澤 章

 「冤罪被害者の救済を一刻も早く!」との掛け声のもと、昨年6月の通常国会終了間際に国会へ提出された再審法改正の超党派議連案は、2026年1月現在、まさに“風前の灯”の様相を呈してきている。
 超党派の名が示すとおり、ほぼすべての政党が参加した議連で了承された法案は、警察・検察が保持する証拠の全面開示と、再審開始決定に対する検察官異議申立ての禁止という2つの柱を中心とした、冤罪被害救済の法案の名にふさわしい内容を備えている。この議連案が成立し、これからの再審実務が変わることによって、わが国における冤罪被害の救済制度は格段に進展する。そう確信して、団員を含む多くの弁護士、日弁連や地方単位会、そして国民救援会をはじめとした市民団体は、この間、日本中で地方議会の意見書採択や首長への賛同要請、国会でのロビイング活動等に取り組んできた。その成果が、全国853自治体での意見書採択(2026年1月8日現在)であり、国会における超党派議連の設立であり、その議連による法案の策定であった。一昨年から昨年にかけての袴田事件や福井事件の再審無罪判決報道も追い風となり、2025年の通常国会では早々に議連案が国会に提出され、成立するのではないかとの期待も大いに高まっていた。
 しかし、再審法改正の機運が高まるとともに、当然のことながら、これに反対する法務検察当局による巻き返しも強くなってきた。そして、再審に対する世論の動向も見据え、法改正に対して消極的な姿勢をとることはマイナスとみた法務検察当局は、議連による法改正に先んじて、法制審議会による法改正を実現する方向へと舵を切ってきた。法務大臣の諮問機関である法制審にかけることによって、多数を占める法務検察・警察官僚や御用学者を軸に、結論先取りが実態であるにもかかわらず、いわば「民主的な討議」のかたちを作りあげる。そして、結局は法務検察に有利な答申をあげるという悪い流れに再審法改正も乗せられてゆく。このようなやり方は、これまでも刑事法制度の改悪の場面では経験してきたのであるが、今回異例なのは、議連案の成立に待ったをかけるためか、極めて短期間に複数回の審議会を実施し、答申をまとめあげるという方針をとっていることである。このままのスケジュールで進めば、この原稿が特別報告として発表されている頃には、法制審で答申が採択されている可能性が高い。
 法制審での議論は、予想されていたとおり、証拠開示に様々な限定を付し、検察官異議申立禁止に疑義を呈する多数派(法務検察、裁判官、御用学者)と、これらに反対する弁護士会選出の3人という構図が、最初からあらわになっている。このまま多数派の主張だけが答申となるか否かは現時点では判断できないが、極めて危険な情勢であることは間違いない。法務検察当局の法制審路線と対峙し、真に冤罪被害救済のための再審法改正を成立させるには、議連法案を先んじて成立させることこそが急務である。そのためには、提出時は与党内調整や維新の寝返りで足踏みはしたものの、何とか臨時国会で命脈をつないできた議連案を、今年の通常国会で成立させる必要がある。そのための国民運動をこれまで以上に強力に推し進めることこそが、今求められている。
 …という原稿を完成させた途端、「高市首相が1月通常国会冒頭での解散、2月総選挙を検討している」との報道が飛び込んできた。衆院が解散となれば、現在国会に提出されている議連案は廃案となってしまう。そうなると、次のたたかいは、閣法で提出される改正案を対象とした反対運動へと、質的転換を求められるかもしれない。もっとも、この間の再審法改正の運動の成果や再審事件の報道によって、冤罪救済を怠ってきた司法機関や現行制度に対する国民の見方は、かなり厳しいものになってきている。このことは国会だけでなく、法務検察当局も意識せざるを得ない状況にある。時代は確かに変わってきた。解散総選挙の有無にかかわらず、これからも冤罪被害の救済とそのための法改正が不可欠であることを国民世論に訴えかけ、国会を動かすために、あらゆる手段を尽くしてゆかねばならない。

(自由法曹団東京支部2026年特別報告集より)

投稿者: 東京合同法律事務所

2023.03.14更新

 高齢化社会が問題視される今の日本。出生率は下がり、将来の高齢者を支える社会福祉に足るだけの税収が得られるのか、不安がつきまとう。
 日本の社会福祉制度は有難いものであり、高額療養費制度、生活保護制度、障害年金制度など、いざという時もなんとか生きていく術がある。しかしこれらの制度も、税収があってこそ機能する。少子高齢化とはいえ、なんとかこれらの制度は機能して欲しい。そうでなければ、高額な治療が必要になった時、お金がない人は治療ができず、見捨てられる社会になってしまうからだ。
 仮に社会福祉が機能して、金銭的にはなんとかして生きていけたとしても、老後の不安には、それだけでは解決できないものがある。最低限度の生活を営めれば安心、というものでもないのだ。

老後の不安1 急病

 急に病に倒れた時、一人暮らしの場合、誰も救急車を呼んでくれず孤独死する危険がある。これは、高齢者でなくとも一人暮らしであれば危険は同じである。セキュリティ会社による安否確認サービスなどを利用したほうが良いかもしれない。

老後の不安2 窃盗強盗

 最近も強盗のニュースが多いが、一人暮らしの老人は、狙われやすい環境にあって危険である。そういう意味では、戸建てに住むのはリスクもあるだろう。

老後の不安3 要介護の場合

 自分が要介護になってしまった場合、十分にケアしてくれる家族がいれば安心できることもあるかもしれないが、在宅介護はなかなか難しい。施設に入る場合、費用がかかる。民間の施設の場合費用は様々で、リーズナブルな場合もあれば、莫大な初期費用がかかる場合もある。また、どの施設に身を預ければ安全なのか、信用できる基準がわからない。仮に良い施設に入れたとしても、入所時よりも健康状態が悪化した場合には退去させられてしまうこともあるようである。

老後の不安4 認知症になった場合の金銭管理

 認知症になった場合、信用できる家族がいれば金銭の管理は任せることができるかもしれない。しかし、家族もおらず施設に入った場合には、誰に金銭管理を任せればよいのか。金銭管理を他人に任せると、横領されるような事件もあって、不安である。

 他にも老後の不安は尽きないだろう。解決策が見いだせないでいるが、解決できるような社会構築が必要だと感じる。

弁護士 渥美木理

投稿者: 東京合同法律事務所

2022.06.29更新

弁護士 松島暁

ロシアがウクライナに軍事侵攻して4ヶ月が経過した。ロシア軍による侵攻の直後に、1本の映画がリバイバル上映された。

イタリアネオリアリズムの巨匠ヴィットリア・デ・シーカ監督の『ひまわり』だ。ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの黄金コンビ、加えて戦争と平和でナターシャを可憐に演じたリュドミラ・サベーリエワ、音楽がヘンリー・マンシーニという豪華布陣である。かつて『追憶』との2本立てでよく名画座にかかっていたが、今回、映像と音声を修復してのリバイバル上映で、ウクライナ情勢もあってか映画館には年金受給世代と思われる多くの人々が観賞に来館していた。

物語は、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ夫婦が新婚早々、仮病を装い徴兵のがれを試みるが、バレてしまい、ロシア戦線に送られてしまう。イタリア軍は枢軸国のメンバーとしてウクライナ戦線にルーマニア軍とともに参戦するも敗戦、雪中の撤収を強いられる。行き倒れのマストロヤンニを救うのがサベリーエワ、夫の死を信じられない妻は、ロシア・ウクライナまで足をはこぶが、そこで見たのがサベリーエワと娘の3人で暮らす夫の姿だった。

話しとしては単純なラブストーリーではあるが、スクリーンいっぱい写し出される「ひまわり」の群生、加えてヘンリー・マンシーニによる甘美なテーマ曲の印象的映画である。

そんなウクライナが砲撃によって破壊され続けているニュースを見るにつけ、まことに心が痛むのである。

 

【関連リンク】映画『ひまわり』50周年レストア版(公式サイト:http://himawari-2020.com/)

投稿者: 東京合同法律事務所

2022.02.16更新

◆令和5年(2023年)4月1日から、相続開始後10年を経過した遺産分割には、特別受益・寄与分の規定が適用されなくなります。

遺産を分けるには、原則として遺産分割を行う必要があります。

遺産分割には、協議・調停・審判などの手続きがあります。
協議は相続人全員での話し合い、調停は家庭裁判所で行われる相続人全員での話し合い、審判は、調停での話し合いがつかなかった場合に、裁判所が判断を下すものです。

遺産分割では、特別受益・寄与分が問題になることが多くあります。
特別受益は、生前に金銭や不動産の贈与等を受けていた相続人がいる場合、その方は遺産の前渡しを受けていたものとして遺産を分割する制度です。
寄与分は、生前に亡くなった方のお世話をしていた相続人等がいる場合に、その方の労力を金銭評価して遺産から支払う制度です。

現在の法律では、特別受益・寄与分の主張はいつまででもすることができました。
ですが、法律が改正されたため、相続開始(死亡日)から10年を経過した遺産分割では、特別受益・寄与分を主張することができなくなります。この制度は令和5年(2023年)4月1日から開始されますが、令和5年4月1日以前に亡くなった方の相続でも適用されます(※経過措置あり)。

遺産分割の話し合いをする必要があるのは分かっているけれど、他の相続人が生前の贈与(特別受益)を認めず話し合いが進まないため、放っておいてしまった、というような場合には、不利益を受ける可能性があります。

この制度については例外も定められていますので、お早めに弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士 洪美絵

※経過措置
相続開始時から10年を経過するとき又は施行日から5年を経過するときのいずれか遅いとき

投稿者: 東京合同法律事務所

2022.02.14更新

よろしくお願い致します。

投稿者: 東京合同法律事務所

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