ロシアがウクライナに軍事侵攻して4ヶ月が経過した。ロシア軍による侵攻の直後に、1本の映画がリバイバル上映された。
イタリアネオリアリズムの巨匠ヴィットリア・デ・シーカ監督の『ひまわり』だ。ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの黄金コンビ、加えて戦争と平和でナターシャを可憐に演じたリュドミラ・サベーリエワ、音楽がヘンリー・マンシーニという豪華布陣である。かつて『追憶』との2本立てでよく名画座にかかっていたが、今回、映像と音声を修復してのリバイバル上映で、ウクライナ情勢もあってか映画館には年金受給世代と思われる多くの人々が観賞に来館していた。
物語は、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ夫婦が新婚早々、仮病を装い徴兵のがれを試みるが、バレてしまい、ロシア戦線に送られてしまう。イタリア軍は枢軸国のメンバーとしてウクライナ戦線にルーマニア軍とともに参戦するも敗戦、雪中の撤収を強いられる。行き倒れのマストロヤンニを救うのがサベリーエワ、夫の死を信じられない妻は、ロシア・ウクライナまで足をはこぶが、そこで見たのがサベリーエワと娘の3人で暮らす夫の姿だった。
話しとしては単純なラブストーリーではあるが、スクリーンいっぱい写し出される「ひまわり」の群生、加えてヘンリー・マンシーニによる甘美なテーマ曲の印象的映画である。
そんなウクライナが砲撃によって破壊され続けているニュースを見るにつけ、まことに心が痛むのである。