高齢化社会が問題視される今の日本。出生率は下がり、将来の高齢者を支える社会福祉に足るだけの税収が得られるのか、不安がつきまとう。
日本の社会福祉制度は有難いものであり、高額療養費制度、生活保護制度、障害年金制度など、いざという時もなんとか生きていく術がある。しかしこれらの制度も、税収があってこそ機能する。少子高齢化とはいえ、なんとかこれらの制度は機能して欲しい。そうでなければ、高額な治療が必要になった時、お金がない人は治療ができず、見捨てられる社会になってしまうからだ。
仮に社会福祉が機能して、金銭的にはなんとかして生きていけたとしても、老後の不安には、それだけでは解決できないものがある。最低限度の生活を営めれば安心、というものでもないのだ。
老後の不安1 急病
急に病に倒れた時、一人暮らしの場合、誰も救急車を呼んでくれず孤独死する危険がある。これは、高齢者でなくとも一人暮らしであれば危険は同じである。セキュリティ会社による安否確認サービスなどを利用したほうが良いかもしれない。
老後の不安2 窃盗強盗
最近も強盗のニュースが多いが、一人暮らしの老人は、狙われやすい環境にあって危険である。そういう意味では、戸建てに住むのはリスクもあるだろう。
老後の不安3 要介護の場合
自分が要介護になってしまった場合、十分にケアしてくれる家族がいれば安心できることもあるかもしれないが、在宅介護はなかなか難しい。施設に入る場合、費用がかかる。民間の施設の場合費用は様々で、リーズナブルな場合もあれば、莫大な初期費用がかかる場合もある。また、どの施設に身を預ければ安全なのか、信用できる基準がわからない。仮に良い施設に入れたとしても、入所時よりも健康状態が悪化した場合には退去させられてしまうこともあるようである。
老後の不安4 認知症になった場合の金銭管理
認知症になった場合、信用できる家族がいれば金銭の管理は任せることができるかもしれない。しかし、家族もおらず施設に入った場合には、誰に金銭管理を任せればよいのか。金銭管理を他人に任せると、横領されるような事件もあって、不安である。
他にも老後の不安は尽きないだろう。解決策が見いだせないでいるが、解決できるような社会構築が必要だと感じる。
弁護士 渥美木理