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わが国の鉄道発祥の地旧新橋駅の遺跡と江戸屋敷跡の保存についてのア ピール

わが国の鉄道発祥の地旧新橋駅の遺跡と江戸屋敷跡の保存についてのアピール


文化庁、東京都教育委員会、港区教育委員会及び国鉄清算事業団は、7月16日、「汐留地区における旧新橋駅舎跡等の保存等に関する確認書」を締結し、旧新橋駅舎跡、旧新橋駅ホーム等約1840平方メートルを現地保存するものとし、国史跡とするための手続きを速やかに行うこととしました。また、国鉄清算事業団は委員会を設置して、保存、復元及び維持管理方法等の計画案を作成することとしています。

旧国鉄汐留駅跡地は「汽笛いっせい新橋を」と歌われたわが国の鉄道発祥の地です。1872年(明治5年)に開通した鉄道の起点は国史跡「旧新橋・横浜間鉄道創設起点跡」に指定され、「0マイル標識」や双頭レールなどが保存されていました。

ところが、1992年から行われた発掘調査の結果、開業当時の新橋停車場の駅舎の基礎やプラットホームの石組、扇形の機関車庫・転車台・御雇い外国人の官舎の基礎などがそのまま発見され、皿・土びんなどの陶磁器類、鉄道省の刻印、家紋付きの瓦などの遺物も多数出土しました。そのため、日本の近代化を代表する貴重な文化遺産として、地元の町会連合会や港区議会をはじめ各方面から保存を求める声が寄せられていました。

今回、旧新橋駅舎跡、旧新橋駅ホーム等の現地保存が確認されたことは、大きな前進であり画期的なことです。

しかし、当地の所有者である国鉄清算事業団は汐留駅跡地を民間に売却するための手続を始めており、跡地が民間に売却されてしまえば貴重な遺跡を保存する保障がなくなってしまいます。国史跡として現地保存する以上、その遺跡の敷地は民間に売却したりせず公有地として確保し、国が責任をもって保存・復元・維持管理にあたるべきです。

また、国鉄清算事業団が設置する保存・復元・維持管理方法等の検討委員会は、地元住民の委員への参加や、会議及び情報の公開と市民の意見の募集など、住民参加・市民参加による計画の作成が必要です。

あわせて、今回現地保存の対象とされなかった扇形の機関車庫・転車台・御雇い外国人の官舎の基礎や多数の遺物についても、住民参加・市民参加による保存計画の作成が望まれます。また、当地は仙台藩松平(伊達)家、播磨竜野藩脇坂家、会津藩松平 (保科)家の屋敷跡でもあり、江戸期の遺構・遺物(建物の基礎・屋根瓦・玉川上水系統の上水道の末端部分・陶磁器など) も多数発掘されています。これらについても同様の措置をとることが求められています。

私たちは以上のような趣旨で、国・東京都・港区及び国鉄清算事業団・東京都教育委員会・港区教育委員会に対して、国鉄清算事業団が現地保存の遺跡の敷地を民間に売却せず公有地として確保すること、国が責任をもって保存・復元・維持管理にあたること、保存・復元・維持管理計画の作成は住民参加・市民参加で行うこと、今回現地保存とならなかった遺構や遺物についても住民参加・市民参加でその保存計画を作成することを訴えるものです。


1996年8月20日


 呼びかけ人
   五十嵐 敬喜
   神山 昭仁
   北田 芳治
   佐藤 昭夫
   立山 学
   丹野 章
   前川 雄司