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2019.01.09更新

弁護士 馬奈木厳太郎

憲政史上初めて国民主権を謳った日本国憲法

 新年おめでとうございます。
 今年は、憲法が施行された1947年から72目の年となります。日本の憲政史上、初めて国民主権を謳った日本国憲法。私たちは、何のために主権者となったのか、年頭に際し、そのことを改めて確認したいと思います。

 日本国憲法の前文は、次の一文から始まります。
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」

「主権が存することを宣言し、この憲法を確定する」とありますが、その前には「戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し」とあります。「決意」したのは、もちろん「日本国民」です。そして、注目すべきは「戦争の惨禍が」「政府の行為によつて」引き起こされたとの認識が示されていることです。
 つまり、アジア太平洋戦争という惨禍が政府の行為によって引き起こされ、その政府は天皇主権の下での政府であった、したがって戦争を二度と繰り返さないために、国民を主権者とした――この一文は、こうした歴史認識とその教訓を示しているのです。

戦争を起こす主体と平和を創る主体

 また、前文には、次のような一文もあります。
「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」

 戦争を引き起こすのが政府であるとの認識を示したうえで、憲法は「われらの安全と生存」を「平和を愛する諸国民の公正と信義」に求めるとしています。重要なのは、平和を愛する「諸国」や「諸政府」ではなく「諸国民」、つまり世界の平和を愛する諸々の人々だとしている点です。政府ではなく、国境を超えた市民が平和の創り手だとの認識が示されています。

問われているのは戦後の原点であり、私たちの主権者らしさ

 日本国憲法が、国民主権を謳ったのは、戦争の惨禍を起こさないため。そして、国民は戦争を起こさないため平和を愛する諸国民との信頼関係を構築する―これが、私たちが主権者となった原点です。
 改憲論議も行われているところですが、その核心は立憲主義と平和主義をめぐる点にあります。戦争を起こさないために主権者となった私たちが、戦争をするために改憲するのか。私たちは何のために主権者となったのか、まさに主権者としての自覚が問われています。

投稿者: 東京合同法律事務所

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