平成30年3月14日、東京高等裁判所第10民事部は、首都圏アスベスト訴訟(原告354名)において、国の責任を認め、原告のうち327名に対し、総額約22億円の支払いを命じる原告勝訴の判決を言い渡しました。
本判決は、一人親方等に対する国の国家賠償責任を全国で初めて認めました。本判決は、労働者性にこだわらず、一人親方のみならず、自ら建築作業に従事する中小事業主をも救済しており、極めて画期的な判決と高く評価できるものであります。
一方で、本判決は、建材メーカーらの共同不法行為責任を認めず、原告の救済を否定する不当な判断であると言わざるを得ません。
原判決の東京地裁判決を皮切りに本判決までに国は8連敗したことになり、国の責任は不動のものとなりました。
既に原告の7割が亡くなっている現状を踏まえ、国は原告に謝罪するとともに本件の早期全面解決に踏み出し、「建築アスベスト被害者補償基金」を創設するための協議のテーブルに着くことを決断すべきです。
また、建材メーカーらも、早期全面解決の立場に立ち、速やかに基金制度創設に同意するとともに国に積極的に働きかけるべきです。
今後も、アスベスト被害者の完全救済とアスベスト被害の根絶のため、全国の被災者、労働者、市民と連帯して、弁護団の一員として尽力する所存です。