1 弁護士になってから
2003年8月、中国黒龍江省チチハル遺棄毒ガス事件に関わって、被害者の医療保障生活保障のため、政府交渉をしています。チチハル遺棄毒ガス事件については、http://www.84qiqihar.net/
をご覧下さい。事件がよくわかりますよ。昨年の11月より、私は公私併せて、6,7回中国黒龍江省ハルピン、チチハルに行っています。2,3ヶ月に一度は行っているので、空港に着けばもう我が庭のような懐かしさです。
2 ハルピンのお酒
のっけからまず、お酒というと私はとてもお酒が好きなような感じがしますが、日本ではほとんど飲みません。ただ中国に行ったら飲みます。言い訳のようですが、中国の東北の方達と飲むときは、飲まざるをえません。乾杯は文字通り杯を乾かさなければいけないので、「ハルピン乾杯」というかけ声と共に一気にのまなければいけません。しかも、「白酒」でです。「白酒」というのは、コーリャンなどの蒸留酒、アルコール濃度は6,70度だそうです。ですから喉ごしは最高で焼けるようです。蒸気を吸うだけでも酔いそうなお酒です。おみやげに買って帰ろうとしたらとても箱を開けただけでアルコールのにおいがプンとして、もし瓶が万が一割れたらと思うと恐ろしくて買えませんでした。宴席では大勢の方が歓迎の意を示すため一生懸命なので私も一生懸命応えようとして飲み過ぎてしまいます。ただのみすぎても二日酔いの性質は良く次の日に残らない良いお酒です。
2 食べ物について
水餃子については、絶品です。私は日本にいても、2,3ヶ月中国の餃子を食べないと恋しくなります。エビの餃子は干しエビと、普通の餃子があって、干しエビは餅もちっとした皮をかむと、ジュワーと中から干しエビの香ばしくて濃いエキスがふんだんに口の中に広がりとても贅沢な気持ちになります。一方エビの餃子は中からつるんとした大きなエビがごろんとエビのあんに包まれていて、これもまた、非常にゴージャスです。書いていて早速行きたくなりました。
3 中国語について
恥ずかしながら中国語をやっています。初心者の言い回しは、ワンパターンなので、賢い中国の弁護士さんから冷やかしで、今から私が言おうとすることを、先に言われてしまったりします。でも早口な東北地方の人たちからすると頗るまどろっこしいたどたどしい中国語ですが、温かい目で見守っていただいています。大陸的なところが好きです。
4 仕事について
これまで書いていることは、ただのハルピンの感想ですが、別に飲み食いと交流のためにいっているのではなく、仕事もしています。
あるときは、チチハルの11月-数十度の日に身も凍るような寒さの中現場検証に行ったり、ある時は、被害者43人からの聞き取りに忙殺され、被害者説明会を開催したり、ある時はハルピンのとある病院で被害者の検診をしたり、中華律師協会、人権発展基金会との共同記者会見を行ったり、中国のごく短い一定期間にミッションを達成するため、粉骨砕身しています(自分でいうのも何ですが)。
2 ちなみに化学兵器について
被害者が被害にあったマスタードガスというのは、「化学兵器の王者」といわれ、治療方法もなく、一度被害に遭えば一生、呼吸器、皮膚、眼、神経等の重い障害に苦しまなければならないものです。実際、被害者が被害にあった後、「風邪をひきやすくなった(月に4,5回等)」「体力が著しく低下した。」「疲れやすくなった。」「記憶力、集中力が低下した」「無気力である」「視力が著しく低下して、小さな活字が読めなくなった」「頻繁に咳が出る」「胸が息苦しく感じる」の症状が多く見られます。事故後、ほとんどの被害者は就労が不能、あるいは子供は就学に著しい支障が生じています。化学兵器の被害者は、現在も様々な形で存在します。戦前広島県大久野島での毒ガス製造に従事した人、湾岸戦争に参加したアメリカの軍人、イラン・イラク戦争の被害者など毒ガスは作る、使う、置いてくるそれぞれの過程で被害者が出ます。戦争中だけではなく、戦争が終わっても、被害者が出ています。生涯にわたる被害を負った人もたくさんいます。ましてや、神栖町ヒ素汚染の被害者、中国の遺棄毒ガス被害者は平和な時代に普通に生活しているだけで被害にあってしまった人です。そして、中国にある日本の遺棄毒ガスは40万発あり、新しい被害者はいつ発生するか知れませんし、平和を守るためにも弁護士としても何か出来ないか考えている今日この頃です。
弁護士 菅野園子