都心区では高い固定資産税に多くの住民が苦しんでいます。
1994年には、港区の住民の方々が当事務所の弁護士を代理人として、東京都固定資産評価審査委員会に審査申出をしました。
1997年には、「高い固定資産税から営業と住まいを守る会」が結成され、
126名の港区民が当事務所の弁護士を代理人として審査申出をし、赤坂みすじ通りの路線価を減額させたり、個別の減額修正をさせるなど、
大きな成果をあげました。
それと同時に、赤坂みすじ通りの2名の土地所有者が訴訟を提起し、東京地裁民事第3部で勝訴判決を得ることができました
(2002年3月7日)。現在、東京高裁第12民事部で審理中です。
「守る会」の会員の方々は、結成後毎年審査申出を続けており、2000年には港区だけでなく、千代田区、新宿区も含め、
150名以上の方々が協同して審査申出を行い、個別の減額修正をさせるなどの成果をあげています。
また、港区の赤坂と浜松町、千代田区、新宿区の土地所有者の方々が4件の訴訟を提起し、東京地裁民事第2部と第3部で審理中です。
固定資産税はなぜ高いのか?
固定資産税はなぜ高いのでしょうか。また、
地価が下がっているのに固定資産税はなぜ下がらないのでしょうか。
その第1の原因は、平成6年に固定資産評価額を大幅に引き上げたことです。全国平均で約4倍に上昇したそうです。本来なら、
評価額が上がると固定資産税もそれだけ上昇しますから、大々的な反対運動が起こり、評価額を元に戻すか、
税率を4分の1に下げさせたことでしょう。ところが、政府はそれを避けるために少しずつ上げることにしました。つまり、
私たちは4倍の固定資産税への階段を登らされているわけです。少しずつ上がってきたので大々的な反対運動をしないまま来てしまいましたが、
4倍への階段を登らされているのですから、地価が下がっても固定資産税が下がらないのは当たり前です。
固定資産税の大増税から営業と住まいを守るためには、評価額を元に戻すか、税率を下げることが必要です。
固定資産税の税率は東京都が下げることができます。固定資産税に苦しむ全ての人が力を合わせて声を挙げることが求められています。
第2の原因は、固定資産評価額のもととなる標準宅地の鑑定や公示価格、基準地価格が実際の取引事例よりも高くされていることです。
たとえば、赤坂の「みすじ通り」ではこんなことがおきています。
平成9年度、都知事は「みすじ通り」の路線価を1平方メートルあたり280万円としました。これは基準地港5-2の基準地価格
(1平方メートルあたり480万円)をもとに計算したものです。
ところが、その基準地と道路をはさんで隣の土地が先程の基準地価格が発表されるほぼ半年前に売買されました。
その売買価格は1平方メートルあたり379万円でした。この取引事例などをもとに鑑定してもらったところ、基準地港5-
2の価格は1平方メートルあたり300万円となりました。つまり、基準地価格480万円は1.6倍も高いということになります。
この300万円をもとにして路線価を計算すると東京都の計算方法でも163万円となります。つまり、280万円という路線価は1.
7倍も高いことになります。このため、固定資産評価額の方が時価よりも高いという逆転現象すら生まれています。
地方税法は固定資産評価額は「適正な時価」でなければならないと定めています。この「適正な時価」は、
取引事例価格から求めた正常な条件のもとでの価格です。したがって、「適正な時価」より高い固定資産評価額は違法であり、「適正な時価」
に下げなければなりません。
ところが、都税事務所は平成6年からは取引事例を参考にせず、公示価格や基準地価格、不動産鑑定価格をほとんどそのまま使っています。
しかも、基準地価格も不動産鑑定価格も公示価格にリンクしています。公示価格が実際の取引事例と同じ水準なら問題はないのですが、
先程の例のように1.6倍も高いため、固定資産評価額が「適正な時価」を上回る違法状態が発生しているのです。
これを正すには、固定資産評価審査委員会に審査申出をし、それでも改まらなければ裁判を起こすことです。地域で協力して取引事例を集め、
「適正な時価」が固定資産評価額よりも低いことを立証すれば、固定資産評価額を「適正な時価」に改める判決を得ることができるのです。
いま、「みすじ通り」ではその裁判を進めています。専門の不動産鑑定士さんの協力もいただいて「適正な時価」の立証を行っており、
勝訴すればその影響は極めて大きなものとなるでしょう。
「適正な時価」に基づく課税という当たり前のことを実現するためにも、高い固定資産税に苦しむ方々が泣き寝入りしていてはいけません。
「みすじ通り」の裁判を支援していただくとともに、それぞれの地域で取引事例を集め、
是正を要求する大きな運動にしていくことが求められています。
第3の原因は、個別のさまざまな減額補正や免税措置などが、きちんと行われていないことです。
「高い固定資産税から営業と住まいを守る会」では、地域で多くの方に会員になっていただくことによって、
横断的に情報を集め比較検討することができるようになりました。そうした検討を踏まえ、不動産鑑定士、税理士、
弁護士などの専門家の協力も得て、審査申出や都税事務所交渉などを行い、さまざまな減額補正や免税措置を実現させています。
会員が増えれば増えるほど、こうした減免措置の実現も進みますし、
評価額や税率の引き下げによる抜本的な解決のための運動も前進することでしょう。
多くの方が参加され、運動を大きくしてくださることを期待します。
赤坂みすじ通り固定資産税訴訟
港区赤坂のみすじ通りに面する宅地の平成9年度の固定資産評価額の減額を求める訴訟
(98年11月18日提訴 02年3月7日東京地裁で勝訴判決 現在東京高裁で審理中)。
都知事はみすじ通りの路線価を1㎡280万円としましたが、
売買実例に基づけば路線価は130万円になるべきだとして大幅な減額を求めています。
都は基準地価格をもとにして算定したから適正と主張しています。しかし、
基準地価格が売買実例と矛盾する場合は売買実例に基づいて適正な価格を求めるべきです。
この請求が認められれば、関係住民のみならず、固定資産税評価のあり方に大きな影響を与えるものと思われます。