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相続・遺言

相続・遺言


死んだ後でも人がものを言えるならば、相続は簡単でしょう。土地は△△に渡せ、預金は××にあげろ、と言われれば、遺産はもともと故人のもの、誰も文句を言えません。でも、死んだら口はきけません。

そこで法(民事法812条以下)は、
①故人が生前に、遺産の分け方への意思をはっきりと表明して残した場合はこれをまず優先する(遺言)
②遺言は、死後争いの起きないように厳格な方式が必要である
③遺言のない場合には、法で相続できる人の範囲、各人が遺産の何分の1を相続できるか
を定めています(法定相続)。


相続をどうするかは、それぞれの人間の気持、生活や生き方が違うように千差万別です。その人の実情にあわせて法がふさわしい相続の方法をきめておくことは煩瑣すぎて出来ません。

そこで法は、子供たちの間は平等、妻は何分の1という風に一律に、いわば機械的に定めているだけです(→③)。

妻と言っても戸籍上の妻であればよく、同居していなくとも、また死ぬ1日前に入籍している妻でも最低でも2分の1の法定相続権があります。

法は、本人の申立等により一部の修正を加えていますが、このような法定相続を基本にすることをあくまで原則にしています。そんな乱暴な決め方があるかと思う方は、どうぞ遺言をしてくれというのが法の建前なのです(→①)。

ですから相続では、もっと遺言が有効に利用されるべきでしょう。


遺言は厳格な方式が必要ですが(→②)、いろいろなやり方があります。
肝心なことは本人が作ったもの、ということです。周囲の方が故人が死んだ後で、本人の気持ちは......であったと、いくら言って駄目です。


但し、法は遺言がなければ、法定相続で遺産の配分を受けられる法定相続人の持つであろう期待を「遺留分」として一部尊重して、遺言が万能ではないとしています。これは遺言から排除された法定相続人にその法定相続分の2分の1を申立により回復させようとするものです(④遺留分制度)。

遺言から除かれると、親の愛情がかけられていなかったと思う子も少なくありません。親の気持ちは、どの子からも死んだ後も親子の縁を切ってもらいたくないことでしょう。

最近遺留分をめぐって相続争いが起きることが実務上多くなっているように思います。遺言では遺留分にも十分考慮して、そのような権利をもつ相続人にも遺産が一部でも配分され、死後に相続争いがおきないように手厚く決めていたした方が良いようです。


遺言は本人でもできますが、どのような遺言をするか、また一旦相続が発生して遺族がまとまらないときは弁護士をつけて相談することをお薦めします。


これまで述べてきたことは、相続の法律の基本中の基本です。詳しくは次の本が分かり易く推奨します。
(弁護士)工藤勇治著「かしこい遺産相続」日本実業出版社発行(94年)


(弁護士 荒井 新二)